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国民合意なく原発推進方針

 菅首相が「エネルギー戦略の見直し」といって、政府の国家戦略室がまとめた素案は、重要戦略として原発推進路線の堅持を明記した。原子力では恥ずかしげもなく「世界最高水準の安全性を目指す」といって、稼働中の原発を維持し、定期検査中の原発を再稼働するとしている。福島第一原発事故を未だ収束できないまま、周辺住民を強制避難させて生活維持のめども立てられない状態においたまま、国民的合意は何もないまま、原発は推進するという。
 「炭酸ガスより放射能がクリーン」などというふざけた理由も通用せず、何兆円もの大損害を出して「原発がコスト安」というペテンも通用しない。今度の爆発した原発はアメリカGEが製造したものであったが、原発はアメリカの指図で、地震列島に五四基もつくる羽目になった。そして福島原発事故の対応もアメリカが直接に指図するものであった。そのアメリカのオバマ政府は「原子力ルネサンス」の旗を降ろさず、東芝、日立、三菱などの原子力メーカーを使って世界中で原発ビジネスをやろうとしている。なおも原発推進を堅持するのは、日本の国益をどう守るかなど考えない連中なのだ。
 今度の原発事故は、アメリカから導入された技術のいい加減さを暴露した。そして東電にせよ政府にせよ原子力学者にせよ、原子力を管理する能力がまるでないことを暴露した。それ以上に、爆発によって大量の放射能を放出しているのにそれを知らせずにだましたり、事故のときの住民避難の計画も態勢もないなど、国民の生命財産を守る意志などないことを暴露した。このようなことに反省のない厚顔無恥が次の原発大事故の要因となる。
 原発事故の根本原因は「コスト第一、安全第二」「もうけ第一、社会的責任第二」「東京指図、現場の働く者第二」といった資本の強欲さにある。国民がどうなろうと、世界がどうなろうと、目先もうければ良いという強欲資本が政府を使って原発推進堅持に突っ走っている。加害責任を負う東電は電気料金と税金で救済され、被害を受けた国民が賠償責任を転嫁される。東電の株主や金融機関は無責任で放免。さらに調子に乗って原発推進である。そういう厚かましさを平気でやるのが当節のアメリカ渡来の新自由主義路線である。

                                     那須三八郎

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