南アフリカで新たにオミクロン株なる変異株が発見され、同国界隈でデルタ株をも凌駕する勢いで広がっていることから、各国で入国制限などの緊急措置がとられている。既にイギリス、ドイツ、イタリア、ベルギー、イスラエル、オーストラリア、香港などで次々とこのオミクロン株の感染者が発見され、今後の世界的感染拡大が懸念されている。WHOは最も警戒すべき「懸念される変異株」に指定し、専門家もこれまでで最も変異が多く一部は感染力を強め、ワクチン効果を低減させる可能性があるというものの、その毒性や感染力についてははっきりしない部分も多い。いずれにしても未知なるウイルスがさらに変異を遂げ、これまでの主流だったデルタ株と置き換わり始めたことが明らかになっている。
東京五輪を前後してデルタ株が猛威を振るっていた日本国内ではこの間、なぜか感染者が激減し、その要因について専門家の多くは「わからない」のだという。科学的にはなぜ収束に向かっているのか専門家すら首を傾げているが、いずれにしても新規感染者数は第五波のピーク時に比べるとはるかに減少し、偶然の産物であってもそれ自体ほっと胸をなでおろしたくなるものでもある。自宅療養という名の放置、医療体制の逼迫など信じがたいような事態はひとまず乗りこえ、それがなぜなのかはわからないけれど、束の間の安堵でもある。
しかし、一方で隣国の韓国では感染拡大の趨勢にあり、欧州各国でもワクチン接種大国のイスラエルでも感染拡大が止まらず、これまた「なぜか?」のはっきりとした科学的解明は追いついていない状態だ。ワクチンを二度打ったからといって安心なわけでもなく、その抗体の失われ方も人ぞれぞれであったりばらつきもあるというし、引き続き防疫の基本である検査、保護・隔離、感染防止に努めないことにはどうしようもないのだろう。コロナについては、もう心の底から勘弁してほしい…と思うけれど、得体の知れぬ変異株に身を構えつつ、やるべきことを淡々とやるほかないのだ。
専門家いわく第6波は必ずくると誰もが危機感を示し、第5波のような混乱状態に陥らないためにも備えを万全にするよう求める意見が大半である。オミクロン株の世界的感染拡大が問題になるなかで、まずは抗原検査程度しかやっていない水際対策を強化してPCR検査に切り替えるとか、海外からの渡航者の隔離期間を徹底するとか、島国としての予防措置を万全にすることが先決だ。ベータ株もデルタ株も水際がユルユルで国内感染に至った教訓に立って、早急に対応しなければ“二度あることは三度ある”のくり返しである。感染症の封じ込めもこれまでのようなノーガードのフルボッコ&なぜか収束してよかったね! ではなく、無料PCR検査を拡充させて保護・隔離し、重症者には治療が施せるような体制強化が必須である。例え備えが過大であっても、いざというときの備えほど大切なものはないことを第5波は教えたはずだ。
大方2年にわたって辛抱してきて、時短であったりイベント中止であったり、あるいはワクチン接種であったり、国民としては随分と我慢のときを過ごし、協力もしてきた。飲食店をはじめとした業種によっては存亡の淵に立たされてきたところも少なくない。コロナ禍で生活苦に追い込まれている人も相当数おり、都市部で生活支援に携わっている人々曰く炊き出しに並ぶ人の列は明らかに増えているという。そして、ここにきてガソリンや食料の価格高騰などオンパレードで、給料は上がらないのに生活費は跳ね上がって、暮らしはサンドバックのような状態だ。オミクロン株如何にかかわらず、生活支援のための給付金を早急に支給することが必要で、この期に及んでなにがクーポンかと思う。
武蔵坊五郎