それはウルトラマンを見終えて気持ちが高ぶったのか、たたかいごっこがしたくなった当時5歳児のガキんちょから、「おい! デブ、かかってこい!」といわれたのがきっかけだった。怪獣名ならまだしも、デブ呼ばわりされた側としては如何とも悔しくて心に刺さり、とりあえず空前絶後のコチョコチョの刑に処しながら、「よし、鍛えてひきしめよう!」と心に決めたのだった。そうこうして2年半、ベンチプレスもようやく100㎏×10レップ×3セットがこなせるようになり、次なる目標に向かって威勢良くいきたいところ、あんまり高重量で無理をすると三角筋のフロントにズキズキとした痛みが走るし、もう十分なんじゃないかな…とビビッてもいる。一方でたたかいを仕掛けてくる際のガキんちょからの呼び名は「デブ」から「ゴリラ」になり、「ゴリラ? いいじゃない。最大の褒め言葉じゃない」とも思う。
周囲には楽々とベンチプレス180㎏なんて上げている屈強なトレーニング仲間がいるかと思えば、ひょろっとしているのにデッドリフト180㎏(バーベルに20㎏プレートを4枚×2)なんて軽々と床引きしているおじさんがいたり、世の中には化け物かと思うような筋力の持ち主がいるから驚かされる。見た目からして筋骨隆々の人もいれば、外見はそうでもないのにとてつもないパワーを秘めている人だっている。
そんななか、もっとすごい化け物もいるもんだと驚愕したのが次期衆院選に山口4区から出馬するれいわ新選組の竹村かつしさんだった。筋トレでも神種目とされているBIG3の現役時代のMAX重量を聞くと、ベンチプレス190㎏、デッドリフト220㎏、スクワット260㎏というから、こうなると素人は足下にも及ばない。プロレスラーとして強靱な肉体作りをしていたことが数字だけ見ても歴然としているのだ。スクワット260㎏って、そりゃバーベルそのものの重量20㎏を差し引いて、20㎏プレートが左右にそれぞれ6枚かよ! って、下関でそれだけの重量でスクワットできる人間が果たしているだろうか? と思うようなレベルなのだ。4枚&4(180㎏)枚を担いでいるトレーニーを見るだけでも大概羨望の眼差しを注いでしまうけれど、まるで桁外れな重量に感服することしきりである。
この何が凄いのか? いきなり260㎏担げる人間などどこにもいないわけで、100㎏(20㎏プレート2枚&2枚)を達成し、140㎏(3枚&3枚)を達成し、180㎏(4枚&4枚)を達成し、220㎏(5枚&5枚)を達成し、260㎏(6枚&6枚)にたどりつくまでの努力だろう。スクワットというと、ぶっ潰されるような重量に耐え、腹圧をかけてうりゃーっとフルパワーで担ぎ上げていくただそれだけではあるが、強靱な肉体と同時に強靱な気持ちがなければできるものではない。「人当たりのいい優しい男」なんて評判の一方で、相当に心も強いんだろうなと思うのである。でなければ4区から挑むなんてことも普通は考えないだろうと--。
れいわ新選組が安倍晋三元首相のお膝元である山口4区に立てた対抗馬として、徐々に認知もされ始め、街にピンク色のポスターも増えている。足下にも及ばない末端のトレーニーとしては、願わくば怪力・竹村かつしのパワーの凄さについても是非知っていただきたいと思う。街頭演説に遭遇した際は、「あっ、この人260㎏担ぐんだ」という目で見るのもアリのアリなのではないかという気すらする。投票するしないは別であろうし、それが政治家の資質として必要であるか否かはわからないけれど、トレーニングという苦しみを乗り越えた先に到達した260㎏の凄さは侮れないし、「スクワット260㎏、ベンチ190㎏、デッドリフト220㎏の竹村」の情報は、せめて4区のトレーニーたちのなかだけでも共有したいと思ったりする。並のトレーニーがゴリラなら、竹村かつしはさながらゴリラのなかのゴリラこと「キングコング」なのだ。
武蔵坊五郎