民主党野田政府は消費税の増税と原発の再稼働の強行を決めた。失業と貧困が広がるなかでの大収奪であり、福島原発事故の収束のめどもないなかでの再稼働である。政府というものが選挙の公約を破るのは屁のカッパであり、国民の生活や生命の安全などまるで心配しないものであるという姿を暴露している。
消費税の増税も原発の再稼働も、財界や官僚機構、メディア、御用学者など権力機構がその方向で動いて、代理人たる野田政府が実行している。そしてもっともそれを要求しているのがアメリカである。消費税増税は日本に十数兆円もの拠出金を出させているアメリカの代理人であるIMFの指図である。原発再稼働は東芝、三菱、日立など日本の原子力メーカーを使って世界に原発の普及をはかるアメリカの要求である。
広島、長崎でアメリカは人類史上もっとも凶悪な大量殺人兵器である原爆を、眉根ひとつ動かさずに投下した。そして日本中の都市を空襲で焼き払った。消費税増税とともに原発再稼働をする神経は、「日本人はサルか虫けらだ」と叫んで焼き殺したアメリカの神経と同質である。日本の権力機構に君臨する者たちは、アメリカの要求なら民族的な利益のすべてを売り払って自分の地位を守ろうという売国奴にほかならないことを教えている。
これはかれらにお願いをしたり、説得をして聞き入れる代物ではないことを人人に思い知らせている。かれらにいうことを聞かせるのは、大衆的な政治斗争の力である。アメリカと売国独占資本がいかに権力を振るおうとも、生産を担う働く人民を従わせることができなければ権力支配は維持できない。60年安保斗争では、アイゼンハワー大統領は来日できなかったし、岸売国政府はうち倒された。明治維新では、強大な権力を誇っていた徳川幕藩体制はうち倒され、近代統一国家を誕生させるとともに、外国列強の植民地になる道を絶った。
あらゆる政党は大衆的な政治斗争を押さえる側に立っており、そのイカサマぶりは広く暴露されるに至っている。全人民の共通利益のために私心のない大衆的なたたかいが下からまき起こるすう勢を押しとどめることはできない。
那須三八郎