いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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長周新聞創刊65周年祝賀集会中止のお知らせ

 

 長周新聞は1955(昭和30)年4月に山口県下関市で創刊され、今年で65年を迎えました。当初、この春に創刊65周年記念祝賀集会を開催するべく、実行委員長の海原三勇氏、呼びかけ人の柳田明氏、源河朝陽氏をはじめ、全国津々浦々で長年にわたって読者として支えていただいてきた36氏による実行委員会が結成され、ともに準備を進めてきました。65年の歩みを糧に、さらに70年に向けた言論機関としての針路を鮮明にする場であると同時に、日頃は紙面を通じて対面している読者の皆様と忌憚のない意見を交わし、直接お会いできることをスタッフ一同心待ちにしていました。

 

 しかしご存じの通り、2月以後に深まりを見せたコロナ禍により、予定していた5月の開催は難しくなり、春先に延期を発表しました。コロナの収束がどのようになっていくのか不安を抱えながら、その後は秋以後の開催に望みを託して、会場の仮押さえや飲食の手配等等、関係する方々とも連絡をとりながら準備してきました。

 

 しかし、8月末にさしかかる現段階においても、全国で第二波といわれる感染拡大の趨勢にあり、集客を伴うイベントの開催は困難な状況が続いています。祝賀会を開催するにしても、入り口での検温や、ソーシャルディスタンスを保つために席の距離を空けること、飲食物についてもオードブルは難しいこと、会場に対する人数制限(これまでの集客人数の半数)が加わることなど、これまでにないさまざまな悪条件が重なり、どうするべきか協議を重ねてきました。そして、実行委員長、呼びかけ人の皆様にも一連の事情を相談の上、年内開催は不可能であろうと判断し、やむなく中止を決定しました。

 

 このご時世にあえてみずからが密を呼び込み、感染拡大のきっかけをつくるべきではないこと、南は沖縄から北は北海道まで全国各地から数百人規模でお越しいただくなかで、その安心安全を担保できる保証などなく、とりわけご年配の方々が安心して参加できない(重症化リスクを伴う)もとで決行するべきではないこと、隔絶されたソーシャルディスタンス祝賀会では読者同士、あるいは読者の皆様とスタッフとの交流もままならず、体を為さないことなどを考慮した結果です。

 

 残念ではありますが、あえてイベントをやらずとも、長周新聞としては次なる70年に向けて不断の努力を続け、「いかなる権威にたいしても書けない記事は一行もない」言論機関として、より社会的に有用とされる紙面をつくり続けることが使命であると考えます。ひたむきに紙面作成に力を傾注するべし--。これが編集局スタッフ一同の総意でもあります。

 

 長周新聞は終戦から10年目の1955年、50年問題を契機に共産党が分裂し瓦解しているもとで、共産党から排除されていた山口県の有志が集まり、福田正義が発行責任者となって、まさに徒手空拳のなかから創刊して今日に至ります。戦争は生活のうえにいい知れない痛ましい傷跡を残し、郷土に無惨な荒廃をもたらしました。人々は荒廃のなかから立ち上がり、平和で豊かな美しい郷土を建設してゆくために不断の努力を続けていましたが、依然として明るい展望は開けない--。そうした社会状況のなかで大部分の商業新聞は資本の支配下にあり、支配勢力の忠実な代弁をつとめ、事の真実は歪められて、大衆はいおうにも口に鉄をかまされた馬のように語るべき何らの機関も持たない--。「われわれは真実を泥土にゆだねてはならない。いいたいことをあからさまにいい、欺瞞のベールを引き剥がし、そのことを通じて、真に大衆的世論を力強いものにしなければならない。そのために必要なことは、いかなる権威にも屈することのない真に大衆的な言論機関をみずからがもつことである」と訴えを発し、まさに裸一貫からの創刊でした。当時の本社は間口一間の掘立小屋で、電話1台に交通手段は自転車1台。紙面はタブロイド判、10日刊からの出発でした。

 

 この65年の歴史のなかで、政治的、経済的な困難や迫害、妨害は当然ありましたが、なにもないところから自己の路線の正しさと大衆的な支持を確信し、「大衆の中から大衆の中へ」を基本原則にした新聞活動によって歩みを重ねてきました。当然、記者たちも代替わりを経ながらバトンをつないできました。創刊期や中間期を支え、鬼籍に入った先輩記者たちの意志を引き継ぎ、現在、20~40代が編集局の主力スタッフとして紙面作成に励んでいるところです。

 

 長周新聞は経営上の浮き袋となるような組織やスポンサーを持ちません。創刊以来、「いかなる権威に対しても書けない記事は一行もない」言論機関として存在するために、特定の組織やスポンサー、団体に金銭的に依存したり、あるいはその支配に屈服する道を拒み、読者・支持者の皆様からいただく購読料とカンパによって成り立たせてきました。大衆的な利益を守りぬき、歴史の発展方向を見据えたジャーナリズムとして経営を維持するためには、読者の皆様に依拠し、その負託に応えて支持され、支えていただくよりほかにはありません。長周新聞の65年以上にわたる歴史は、構成員の奮闘やその家族の支えはもちろんですが、広範な人々の支えなしにはないものです。

 

 私たちは、引き続き真理真実を誰にも遠慮することなく報道し、戦争も貧困も失業もない、より豊かな日本社会の実現のために、ジャーナリズムとしての役割を果たしていく所存です。そのためにスタッフ一同、新聞人としての実力を磨き、みずからの能力の限界に挑んでいくことが課題でもあります。65周年という節目の年に、コロナ禍という特殊事情によって読者の皆様と会することはなりませんが、次の70周年に向けて、現状に甘んじることなく常に新しい課題やテーマに挑戦していく姿勢を大切にし、コツコツと真面目に、しかし時には大胆かつパワフルに取材・新聞発行に励むことをお約束します。「面白きこともなき世を面白く」するために、記者一人一人が思い切り一つ一つの問題やテーマに切り込んでいきたいと思います。そのことによってより多くの人々とのつながりを深め、日本社会の在り方を憂う本気の仲間たちと力を束ねたいと思います。

 

 読者・支持者の皆様、5年後に是非お会いしましょう。

 

 2020年8月21日   長周新聞社

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