新型コロナウィルスの日本国内での患者数が増え続け、韓国に次いで日本やイラン、イタリアも「警戒」レベルに達していると米CDC(アメリカ疫病予防管理センター)が指摘している。イタリアでは都市封鎖の事態にも至っている。ダイヤモンド・プリンセス号における初期対応のまずさが国際的に問題視されてきたが、その後は対応にあたった厚労省職員自身の感染が確認され、症状はあったのに検査していなかったことや、ゾーニングがまるでなっていないことを自己暴露した橋本岳のフェイスブック投稿写真など、信じ難い事実ばかりが次々と浮かび上がっている。下船させた後に陽性がわかった客も複数おり、帰路は公共交通機関で移動させたことも市中感染の広がりにつながったことは否めない。かくして、全国のあちらこちらで感染患者が増え続け、「この1~2週間が瀬戸際」というのである。しかし、マスクをしようにもドラッグストアもみな売り切れである。
発症した患者たちの体験からわかったのは、病院をいくつも転々とたらい回しされた挙げ句、ようやく検査してもらって陽性がわかったという事例があまりにも多いことだ。検査しなければ治療も隔離もなにも始まらないのに、検査を断られる事例すらある。中国への「渡航歴」がなければPCR検査を受けられないという縛りによって対応が後手後手となり、事態はより深刻度を増してきた。韓国が1日5000人規模で検査体制をとっているのと比較しても、日本国内での検査規模は一けた台。しかも新型コロナウィルスの治療は保険適用外であり、この即時対応も極めて鈍い。政府がつけた対応予算は150億円程度で、中国や韓国が数千億円の予算を投じ、国家をあげて封じ込めをはかっているのと比べても、「舐(な)めている」というほかない。富山化学が開発している抗インフルエンザ薬・アビガン(国家備蓄がある)が初期症状の患者には効く(妊婦等には投与すべきでない)という医療研究者の突き上げや発言によって、ようやく投与を検討し始めたのもこの数日であり、なぜもっと早め早めに手を打たないのかと思えて仕方がない。
厚労省及び統治機構の危機管理能力はどうなっているのか? が問われている。そして、彼らは国民の生命や安全を守る意志や能力を持ち合わせているのか? を私たちはずっとこの間の経過から目撃している。中国が国家の威信をかけて、それこそプロパガンダも含めて「国家の本気」を国民にアピールしているのと比べても、あまりに国民の生命や安全に対して鈍感すぎる為政者としての姿をアピールしているように思えるのである。ポンコツではないか--と。邦人の生命と安全を守るというのは、武器を爆買いすることではない。こうした事態に際してどう向き合うかで本性が暴かれる。 武蔵坊五郎