桜を見る会の疑惑が解明されず、問題が長引けば長引くほど、ホテルニューオータニのイメージダウンがひどいものになっているような気がして、ホテル側としてもとんだとばっちりだろうにと心中を慮る。日本を代表する格式であったり、御三家として超一流と見なされてきたホテルが、ある意味、下品な騒動の舞台として利用されたばっかりに巻き込まれ、品格も何もあったものではない、まるで疫病神にでも取り憑かれたように大迷惑を被っているのである。このままでは、権力者や自民党政治家とズブズブで、公職選挙法違反を問われかねないような催し(領収書等の扱い含む)にも加担するホテルとして汚名を着せられ、安倍晋三及びその後援会のせいでレッテルを貼られかねないように思う。ここは、ホテルニューオータニの名にかけて、真実を赤裸々にすることによってしか透明性や信頼を取り戻す方策はないが、一方で時の権力者がまるで「ホテルニューオータニ主催だった」みたいなあり得ない設定をしているなかで、「オイオイ!」とも思いつつ下手に動けない…、しかしイメージダウンもたまらない…。恐らくそんな耐えがたい心境なのではないだろうかと推察する。権力者であろうがなんであろうが、ホテルの名を汚す者にどのような対応をするのか、それこそ一流かどうかを見極めるリトマス紙でもある。
それにしても、この疑惑は既に嘘に嘘を重ねてきたことが歴然としているではないか。経過を単純に整理してみると、当初、「1人5000円の参加費は安すぎるのではないか?」(同ホテルの鶴の間でのパーティは最低でも1万1000円とされていた)という疑問から出発し、仮に安倍後援会が料金を補填して支援者をもてなしていた場合、有権者への利益供与として公選法違反に問われるというものだった。しかも、安倍後援会の政治資金収支報告書にはまったく出入金が記載されておらず、後援会が主催するなり関わっていたとすれば政治資金規制法違反にも問われる。
すると、「すべての費用は参加者の自己負担。旅費・宿泊費は各参加者が旅行代理店に支払いし、夕食会費用については、安倍事務所職員が1人5000円を集金してホテル名義の領収書を手交。集金した現金をその場でホテル側に渡すという形で、参加者からホテル側への支払いがなされた」(安倍晋三)などと言い始め、まるでホテル主催の前夜祭であり、ホテル側が会費の設定や参加者からの料金徴収をおこなったかのような説明をした。それ自体あり得ない話ではあるが、安倍後援会の介在はなく、ホテルと参加者による直接の支払い関係だというのである。一流企業でもあるホテルニューオータニが宛名なしで800枚分の領収書を発行し、安倍事務所職員が手交するなど通常では起こり得ないし、当日の現場徴収で800人分の料理を準備することもあり得ない。それこそ一流の名が廃るようなむちゃくちゃな説明でもあった。
そして、最近になって野党がホテル側の明細書を出すように要求すると、今度は「個別の案件は営業の秘密に関わる」などとしてホテル側が答えなかったとの趣旨の答弁をしたが、それに対して過去に会場となったANAインターコンチネンタルホテル東京が「主催者に対して明細書を発行しないケースはなかった」と野党側に回答し、首相答弁についても「『営業の秘密』と申し上げた事実はない」と説明。総理大臣の国会での答弁との“ズレが生じた”というより、大嘘が暴かれることとなった。主催者に明細書を出さないホテルなど常識的にあり得ないし、子どもでもわかるような嘘の上塗りが限界を迎えているのである。ANAホテルとしては一流のプライドをかけて白黒はっきりさせた対応をとり、ニューオータニとの明暗が分かれた。
なお、ANAの対応にたいして、自民党からは恨み節がもれているとして「首相側近は“なんで(ANAホテルは野党に)回答を出したんだろう”と困惑し、自民党幹部の一人は“もうANAホテルを使うのはやめよう”。同党ベテランは“ANAホテルは外資系だからかな。(対応が)スッキリしている”と述べ、忖度のない対応だと感想を漏らした」などと報じられてもいる。嘘が暴かれたので「もうANAホテルを使うのはやめよう」というのも傲慢な話である。もうこうなったら、自民党は今後、政治資金パーティその他の催しをする場合、ANAホテルではなく、APAホテルで開催したらどうだろうかと個人的には思う。 武蔵坊五郎
今後、政権のメンバーだけを入れ替え、何事もなかったかのうように
安倍政権に対する個別具体的な司法上の責任が不問のままなりうる。
桜問題、検察の定年延長問題、コロナウィルスへの対応遅延、などなど
きちんと最後まで責任追及をする必要があると思う。