国民の年金資産(150兆円)を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、18年10~12月期に15兆円もの赤字を記録していたことが明るみになっている。僅か四半期のうちに総資産の1割が吹き飛んだというから決して小さな話ではない。「年金支給は68歳から」などと政府や自民党界隈が言い出し、巷ではみんなが「ふざけるなよ!」「詐欺じゃないか!」と話題にしていたが、案の定、原資すら溶かしまくる勢いで、とことんふざけた事態が進行していたのである。
株価至上主義のアベノミクスをお膳立てするために、膨大な資金が株式市場に投入されるようになり、日銀やGPIF、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、三共済は「5頭のクジラ」などと呼ばれてきた。中央銀行である日銀は特殊としても、残りの4頭はみな他人の年金や預金の寄せ集めであり、この巨額の資金がみなの知らぬ間に金融市場でカモにされている。
GPIFはこの間、30兆円分以上の日本株を買いあさってきたと見られている。こうして官製相場を捏造してクジラたちがドカ食いする分ほど株価はつり上がり、安倍晋三が「バイ・マイ・アベノミクス」(アベノミクスは買いだ)などと吹聴していたが、海外投資家、すなわちヘッジファンドなどのハゲタカどもは利ざやを稼いだ後は売り浴びせて株価が下がった。すると株価維持のためにさらにクジラが買い支えのために資金を突っ込んで、穴埋めするかのようにドカ食いをやり、それを海外投資家が弄んで東証は玩具にされた。そして気付いてみたら、引っ込みがつかないところまで泥沼にのめり込んでいるのである。現状では進むも地獄、引くも地獄の状態であり、いずれリーマン・ショック以上の大恐慌が到来するといわれるなかで、株式市場が揺れるだけでも15兆円が吹き飛び、傷口は広がるばかりである。クジラたちが仮に資金を引き揚げれば、それ自体が日経平均大暴落の引き金となり、大量に保有している株式も同時に紙屑となって、甚大な損失を被ることは避けられない。実質的な国有企業(筆頭株主が日銀等等)と化した大企業の経営基盤にも多いに影響するだろう。
他人のカネで了承もなく博打をやり、一億総すってんてん社会が到来した場合、この責任は誰にどうとらせるのか、戦後処理は曖昧にするわけにはいかない。首謀者たちを監獄に放り込んでも割に合わない被害額となる危険性を伴っている。武蔵坊五郎