いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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密着・れいわ新選組関東ツアー in 池袋・甲府

◇池袋

 

 れいわ新選組の山本太郎代表は15日、東京都豊島区の池袋駅西口で街頭記者会見をおこなった。北海道から沖縄まで全国行脚をくり広げて東京入りした山本代表を大観衆が迎えた。年配者や退職者、サラリーマン、子ども連れの親、車いすの障害者、主婦、学生、小中学生など、世代をこえて山本代表の言葉に耳を傾け、過労死問題、自殺、障害者世帯の困難、消費税廃止などの政策をめぐり、生活実感をともなった質問や激励が寄せられた。消費税廃止や奨学金チャラなど、人人の生活に密着し、さまざまな困難の壁や圧力に対しても非妥協的にたたかう山本代表の姿勢に強い拍手や声援がおくられ、演説後には多くの参加者が地元で支持を広げるためにポスターやチラシを持ち帰った。

 

 街頭記者会見は「海外でも“KAROSHI(過労死)”で通じるほど、過労死や過労自殺が蔓延している。日本人は働き過ぎといわれるが、実際は企業による働かせすぎではないか。ブラック企業対策を聞きたい」(男性)との質問を皮切りに始まった。

 

 山本代表は「ブラック企業を淘汰する気概は今の政権のなかには見えない。納税すれば働き方が無茶苦茶でもいいという考え方すらあると感じる」とのべ、「世界で一番企業が活躍しやすい国をつくる」(安倍首相)という政府方針のもと、過労死ラインを「月の残業時間が80時間」(厚労省)としながら、「働き方改革」として「もっとも忙しい1カ月は残業100時間未満、2~6カ月は残業80時間以内の労働」を政労使で合意している矛盾を指摘した。

 

 また「労働組合が弱体化されてきたことも背景にある。日本における新自由主義の開祖である故・中曽根元総理がJRを皮切りに次次に国営企業を民営化した。それによって労働組合を切り崩し、生産性の向上という名の下に人件費をコストとして削り、一人あたりが抱える労働量を大幅に増やした。大きく見れば、これが逆に生産性を悪くしている。それは心身を壊すことに繋がり、社会全体が抱えるコストが増えていくからだ。企業によって壊された人人は国が助ける以外にない。であるなら、病気にならない働き方を標準にしていく必要がある。残業100時間というようなブラック企業を野放しにすることは改革でも何でもない。1日8時間労働であたりまえに暮らせる社会にしていくべきだ。厚生労働省を労働省にして拡充し、働き方にメスを入れる監督機関としての労働基準監督署を大幅に増員する必要がある」との方針を示した。

 

 さらに「今大学院で研究をしているが、奨学金で実家の家計を支えている状況だ。若い人や親たちに伝えたいので、奨学金徳政令について詳しく聞かせてほしい」(男性)との質問に対して山本代表は、「大人が借金をするときは年間所得を証明しなければならず、返済能力に応じて借金できる額が決まる。学生や教育を受けようとする人たちは将来どんな職業に就き、どれだけの収入があるかもわからないのに借金をしなければ教育を受けられないシステムにされている。そして年間350億円という利息を金融機関が得る。これでは少子化になるのはあたりまえだ。薄給から奨学金を返済し、家賃を払えば、自分一人生きるだけで精一杯だ。私たちはこの誤った奨学金制度の犠牲になられた方は、損害賠償として国がチャラにする。日銀が年間6兆円の上場投資信託(ETF)を買い入れているが、9兆円で奨学金をチャラにできれば555万人の人生をもう一度スタートさせることができる」と訴えた。

 

 そして、奨学金問題対策全国会議で語られた内容として、「自分は自己破産し、連帯保証人である母が返済している。母は高齢であり、いつまで払えるかわからない。自分は障害があって働けないので、母を助けられない」「親が説明せずに私の名前で奨学金を借りていた。機構から大金を一括請求されてただ驚き、途方に暮れた。これまで一度の連絡もなく、ペナルティーの延滞金まで払えという態度に納得できない」「失業中だ。返済猶予の利用をくり返してきたが、年数を使い切ってもう猶予ができないといわれた。連帯保証人である父のところに請求が来ている。叔父も保証人になっており、迷惑かけたくない。自分が死んで支払いを免れるなら死んでしまいたい」「障害一級で働くことができない。機構から裁判を起こされ、免除の申請をした。免除の事由には該当すると思うが、障害が発生する前に延滞金が生じていたとして、免除を認めてくれない。父が僅かな年金の中から払うことになりそうだが、父は他の3人の兄弟の奨学金の保証人になっていて、そちらも裁判を起こされている」などの奨学生の切実な声を紹介した。

 

 「だったら奨学金を借りなければよかったじゃないか、ということにはならない。先進国でありながら教育にお金を注ぐ責任を果たしてこなかった結果だ。少子化を問題にして国会を解散するくらいなら、国家戦略として少子化を克服するための一つとして奨学金の借金をチャラにすべきだ。これは個別の損得の話ではなく、社会全体の利益として考えてほしい」と強調した。聴衆からは強い拍手が送られた。

 

 茨城県から訪れてマイクを握った男性は「零細事業者だが、このひどい世の中や悪行について太郎さんのおかげで気付くことができた。うちの社員もみんな頑張っており、もっと給料も上げたいし、処遇を改善したい」「売上が下がり、赤字か黒字かギリギリのところでも消費税の請求は必ずくる。だから設備投資も処遇の改善もできず、なんとか踏ん張っている状態だ。ぜひ力を貸してほしい」と訴えた。

 

 山本代表は「今の政策は中小零細企業を淘汰しようとしている。その筆頭が消費税だ」とのべ、「消費に対する罰金である消費税で強制的に物価を引き上げて消費が抑制され、世の中にお金が回らなくなっている。間違った経済政策を積み重ねてきた結果、あなたの首が絞まったのに、それをあなたのせいにされている。消費税を廃止すれば中小零細事業者が一番助かるはずだ。消費に繋がる設備投資や処遇改善を国の施策によって抑制しているからだ」と指摘した。さらに消費税廃止や最低賃金1500円の政府保障などの政策によって「全国どこでも担保される状況になれば、東京を含む三大都市圏への人口集中という状態が解消される。どこでも安定した収入が得られるのなら地元にとどまったり、地元へ帰る選択肢も出てくる。地方でもお金が回り、地方経済も底上げされる。それはいずれやってくる大規模地震などの災害に対応する国の安全保障としても必要なことだ」と力を込めた。

 

 会見のなかでは「“生産性で人を計るのではなく、あなたは存在しているだけで価値がある”という山本さんの言葉に共感しているが、今の政治はそうではない。私も友だちや担任の先生の自殺に直面して心を病んだ。山本さんも自身の命を守る対策をとってほしい」(女性)との意見もあり、山本代表は「殺す価値がなければ殺されないだろう。今はまだそこまでの価値は自分にないと思っている。殺せば逆に運動が盛り上がる可能性もあり、失脚させるための手段はカネやスキャンダルなどだろう。だが例え謀略的な仕掛けが働いたとしても、みんなで世の中を変えていくという意志さえぶれなければ問題ない。どんな圧力も妨害もどんと受け止めたり、受け流したりしながら前に進んでいくしかない」と返した。

 

◇甲府

 

 16日には山梨県甲府市の甲府駅前で街頭記者会見をおこなった。気温4度を下回る冷え込みの中、年配者や会社員、自営業者、親子連れ、中高校生までが演説に耳を傾け、介護の公務員化、不登校問題、高額兵器を米国から購入する政府支出の問題点、消費税廃止を実現するための財源問題などさまざまな質問をめぐって熱い論議となった。

 

 衆院選での野党共闘について質問を受けた山本代表は「私たちは消費税5%に減税するという旗がメインに立てられるのなら野党と塊になって戦う。その場合、私たちの議席は増えないが、消費税5%が実現する方が世の中の役に立つ可能性が高い。だが、一致できなければ自分たちで100人の候補者を立ててたたかう。選挙区によっては立憲民主党などの野党候補者とぶつかってしまうことも考えられるが、大胆な財政出動によってこの国の人人を救うという考え方を持てない人と競合する場合は遠慮なく候補者を立てさせてもらう」と意志を示した。

 

 マイクを握った聴衆からの意見に対し、山本代表はデータや資料を示しながら、介護や保育職などの公務員化、現在の日本社会における格差拡大や労働環境、お金や税の仕組みなどの矛盾や問題点を指摘し、れいわ新選組が掲げる政策や改革方向を訴えた。

 

 また「今の日本はアメリカや一部の人人の望む仕組みのなかで回されている。だがここは日本だ。少なくとも自国のルールに則っていなければならない。変えていく過程でこれまで自分の地位が守られてきた一部の人人から攻撃や反対を受けることもあるだろう。だが、私の身に危険があるからといって圧力に妥協して政策を曲げていく必要はない。私にとっての不利益などどうでもいいし、覚悟は決まっている。また圧力や不正な情報を逐一発信してみなさんに知らせていくことで自分の身を守ることができると思う。そもそも私が今続けている活動は誰かにやらされているものではない。そして一緒に実現したいと共感して仲間たちが集まってきてくれている。私もツアーを続けることは体力的にきついが、ツアーを支えている仲間たちはもっときつい思いをしながら設営や運営を担ってくれている。お金ではなく、世の中を変えるためにやっている」と決意をのべた。

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この記事へのコメント

  1. 加藤三郎 says:

    素晴らしい写真です。
    ありがとうございます。
    励まされます。
    わたしも、岐阜県で、れいわ新選組と共に生きる会、岐阜、
    みたいなもの作って、活動しているので、
    こんな写真を見ると、勇気づけられます。

  2. 40代母 says:

    れいわ新選組の街頭演説ツアーが掲載されている号を一部ずつ送って頂きました。
    丁寧な取材記事、臨場感の溢れる写真の数々、どれも貴重なものばかりで読み入っております。れいわ新選組をまだよくご存知ない方々にもお譲りし、少しでも支援者の輪が拡がるよう育児の合間を縫いながら活動しています。
    太郎さんの誰一人粗末に扱わない愛と優しさに満ちた行動力に感謝。今度は私たち一人ひとりが太郎さんになったつもりで、周囲の人々に優しさをもって接していきたいものです。
    長周新聞さん、丁寧な取材、ありがとうございます。また今後もよろしくお願い致します。

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