東北地方を巡回中のれいわ新選組の山本太郎代表は、13日には秋田市の秋田駅前アゴラ広場、14日は山形市の霞城公民館で「おしゃべり会」、15日は仙台市の一番町商店街のシリウス・一番町前で街頭記者会見をおこなった。いずれも300人前後の聴衆が聞き入った。山本氏は「北海道から九州など地方都市を回るとどこも疲弊している。昼も夜もシャッターが降りている地域がある。消費税増税やTPP、日米FTAなどは地方都市が一番影響を受けるものだ。地方があるから都市が成り立っており、国の屋台骨は1%の大企業ではなく99%の中小零細企業だ。なぜ人人の首を絞めるようなことをするのか。私は地方の人人と手を繋いで政治を変えてきたい」と訴えた。
各地の演説会で、消費税廃止の財源、子どもの虐待問題、日韓関係を悪化させた徴用工問題、ヘイトスピーチなど幅広い問題が議題にのぼった。なかでも、「桜をみる会」騒動の陰で、国民にはまったく知らせぬまま与野党が国会承認を急ぐ日米FTAについての質問があいついだ。山本代表は「日米FTAで一番の問題は交渉の中身がわからないことだ」とのべた。
5月26日、トランプ大統領と安倍首相が2時間半にわたってゴルフをした後、トランプ大統領がSNSで「日本の7月の選挙後まで多くを待つことになろうが、そこでは大きな数字が予測される」とツイート、8月25日にはフランスでの日米首脳会談で同協定の9月署名が合意された。
「トランプが5月に言ったことが9月前に形になっている。しかし日本の国民には何も知らされていない」と指摘し、日米FTAの主な内容について次のようにのべた。
「アメリカ側の農産品ファクトシートから明らかになった情報として、アメリカ側は農産品の完全撤廃、緩和により合計7500億円分の恩恵を受ける。対して日本側は40億円分の影響しかないという。この金額の差は何なのか」。
「今回、関係するのは全22項目のうち農業とデジタルに関する内容だが、『今後も包括的な貿易交渉を続ける』という記述がある。今回は交渉の入り口に過ぎないということだ。日本はアメリカから車に25%関税をかけると脅され、自動車業界を救うために農業を差し出したが、フタを開けてみると自動車関税を守るいう確約も得られていない。これを売国といわずになんというのか。トランプは〝輸入車への追加関税について現時点で日本には考えていないが、しかし私が望めば、後日、発動できる〟と日本側を牽制する発言をした。これからも自動車への25%関税を脅しに使っていくということだ。そして日本は、日米FTAによって日本の産業や経済にどのような影響がでるのかの試算についてはまったく明らかにしていない」。
またこのような何も内容が見えない日米FTAを衆議院の外交委員会で採決しようとしていることを激しく糾弾した。
「政府側は日米FTAを今国会で絶対に通して1月からスタートさせたいという思惑がある。衆議院の本格的な質疑は11月6日に始まったが、8日の質疑では政府は要求資料の提出に応じなかった。出したらまずい内容が見つかったりするから出さないのだ。にもかからわず与野党の合意で採決日程が決まった。一体何を合意するのか。桜を見る会であれだけの疑義が出ているのだから、総理入りで予算委員会で集中審議を開き、野党議員が体を張って国会を全部止めるぐらいの大問題にしないといけない場面だ。結局、野党側が何をいうかといえば、〝選挙で勝たないと意味がない〟という。相手(自民党)はまもとじゃない。野党時代の自民党を見ても、徹底的に足を引っ張って権力を奪取した。それは権力をとらなければやりたいことがあっても何もできないことがわかっているからだ。それに対して、今の野党はといえば戦い方はまるで貴族だ。正攻法で勝てるわけがない。徹底的にやって一番嫌な存在、めんどくさい存在にならなければ、権力などとれるはずがない。多くの人たちの首が絞まることになると考えれば、普通に通せる話ではない。体を張るしかなく、それによってなぜこれほど揉めているのか、政治がどれほどひどいかを全国の人人に知らせるコンテンツを野党側が提供するような気概が必要ではないか」と訴えた。聴衆からは「そうだ!」という声が上がり何度も拍手が沸いた。
宮城県仙台市での街頭記者会見で山本代表は、先月の台風19号で広範囲が浸水被害にあった丸森町を訪れたことを語り、災害対策のあり方について意見をのべた。
台風上陸から1カ月が経過し、15日には自衛隊による災害派遣活動(入浴支援活動)が終了。それに合わせて県の災害対策本部も廃止される。
「対策本部を廃止するのが早すぎる。わずか1カ月でそれぞれの自治体に丸投げしていいのか。本当にマンパワーが足りているのだろうか。避難所の張り紙には自衛隊の入浴支援が終了するにあたり、『阿武隈荘の風呂を午後2時~8時まで無料開放する』とあった。ということは、高齢者や無職の人は風呂に入れるだろうが仕事終えて残業して帰る人は風呂に入れないということだ。たかが風呂で……というかもしれないが、非常に重要なことだと思う。台風被害で自宅が水に浸かり、2階に住んでいる状況が多くある。家の片付けをしたいが、仕事しないと生活できないという人がいる。どうして県がこの自衛隊のサービスの延長要請しないのか」。
「他にもある。避難所の前からすごいカビの臭いがした。なんだろうと思ったら、目の前のゴミの集積場に畳が積み上がっている。当然、一番カビが発生しやすい環境にある。それを避難所の目の前に置くのか? と感じた。被災自治体は目の前にやるべきこと山積して手が回らないのだろう。だからこそ県や内閣府がサポートする気遣いが必要だ。やっと一から家の中の土砂を排除し、床板を外した状態で人人は一階部分は使えずにこのまま年越しするのか。どうしてもっとカネと人を出さないのか。国として自衛隊がもっと災害対策に重きを置く運用に変えていただきたい。ボランティアやNPO任せであればいつまでたっても復興などできない。元の生活に戻りようがない。昨年の災害からまだ再建できていない人など、何年も前の災害から再建できていない人が増えていったら国の力は落ちていくしかない。だからこそ国がカネとマンパワーを集中させて短期間のうちに復旧、復興を進めなければならない」と訴えた。
また20代の女性が「参院選後に政治に興味を持ち、宮城県の水道民営化問題がとても心配だ。県の広報でも2ページぐらい触れられているだけだ。どう考えるか」と意見すると、聴衆から質問に対する共感の拍手が起こった。
山本代表は次のようにのべた。
「宮城県の水道民営化について”民営化ではない。期間付きで運営権を譲渡するだけだ“という人がいるが、それが事実上の民営化だ。なぜ私がこれを前置きしたのか。それは麻生財務大臣が高らかに水道民営化すると宣言しているからだ」
「アメリカの民間シンクタンクCSISで“水道の料金を回収する九九・九九%というようなシステムを持っている国は日本の水道会社以外にありませんけれども、この水道はすべて国営、もしくは市営、町営でできている。こういったものをすべて民営化します”といった。水道だけでなく、学校にも触れている。公的インフラを使って民間をもうけさせることを宣言している。民間企業は株主をもうけさせることを第一に考える。もしも水道でそれをやられたらどうなるか。水道料上げられないから水質下がってもコストカットすることにならないだろうか。改修すべき水道管があっても元がとれなければ交換しないという事態も起こらないだろうか」
また、「世界では水道民営化によって「料金の高騰」「経営の不透明さ」が問題になり、この15年間でヨーロッパ、南北アメリカ地域、アジア、アフリカなど35カ国、180件が再公営化しており、日本だけがこの世界の動きと逆行していることを指摘した。
「この旗振り役の竹中平蔵は、2015年12月に“人口20万人以上のコンセッションを義務づける。国や県が持っているインフラの運営権を民間に売る”と明言している。だが、見落としていることがある。民営化された場合、水道局の人たちによる宮城県としての水道分野のおける技術的、知的な蓄積はすべて民営側に行く。何かが起きて再公営化の流れになったとしても水道事業に関するノウハウが宮城県内から失われることに等しい」とのべた。
そして、11月の宮城県議会で水道民営化が提案される予定になっていることについて、「これは間違いなく、みんなで止められる。国が民営にすると法律化したとしても自治体で止めればいい。国がとんでもないことをしているが、みなさんの力で止められる。県議会に対してプレッシャーをかける必要がある。県は宮城方式といい、上下水道、工業用水道の3事業の運営権を売却すればよくなるというが、その根拠を示せということだ。もうこれ以上国を切り売りさせてはならない」と訴えた。
以下、写真特集で各地の様子を伝える。
◇ 仙台
20代の若者、会社帰りのサラリーマン、子どもを連れた主婦など多数の人が足を止めて耳を傾けた。山本代表は冒頭、記者会見の前に台風19号で被災した丸森町に立ち寄ったことを語り、間もなく自衛隊が撤退する状況について、「もっと国が金を出して人々が生活を取り戻すようにすべきだ」と訴えると大きな拍手が起こった。市民からは宮城県が全国初でおこなう水道民営化に対する懸念や、経済問題などの質問が出され、終始白熱した論議となった。
◇ 秋田
13日におこなわれた秋田市の秋田駅前アゴラ広場での街頭演説会は、秋田県内で進む大型風力発電計画をめぐる問題やエネルギー政策、同じく秋田市に国が計画しているイージス・アショア配備計画をめぐる問題、非正規労働者の窮状と解決策などが論議になった。れいわ新選組から参院選に出馬した辻村ちひろ氏(環境保護NGO職員)も駆けつけ、人々の生活や環境保護の視点からエネルギー問題についての見解をのべた。
◇ 山形
14日の山形市での街頭記者会見は、悪天候のため急きょ室内でのおしゃべり会に変更となった。会場となった霞城公民館には約200人が詰めかけ、国会で審議入りした日米FTAのについても質問が出され、山本代表は知らされていない日米FTAの内容や問題点を指摘し、まともな審議もなく国会採決に合意した野党を批判した。
我々一般庶民を思い、考えて
行動できるのはれいわ新選組だけだと考えます。
山本太郎氏の声が、一人でも多くの人々の心に届くことを願っています。