長周新聞創刊60周年記念祝賀集会が17日、下関市の海峡メッセ下関で開催され、地元下関や山口県はもとより、広島、長崎、沖縄など全国の読者・支持者ら400人が参加した。戦後70年・創刊60年をめぐる紙上での総括論議の発展を反映して、どうやって戦争を阻止するかについて真剣な発言が続くなか、被爆者や戦争体験者から、安倍政府が集団的自衛権の行使を可能にする安保法制11法案を閣議決定したことに対し「みんなで力をあわせて絶対に阻止しよう」と気迫あふれる発言が続いた。記念集会は既存政党のオール与党化・野党解体のなかで、全国の参加者が長周新聞を武器に「独立、民主、平和、繁栄」の旗印で団結し、日本を変える新しい運動を起こす出発点となる画期的な勝利をかちとった。
会場には、長周新聞の60年の歩みを紹介する五六枚のパネルや創刊以来のバックナンバーが展示されたほか、書家の道岡香雲氏が本紙新年号に寄せた書22点が展示され、参加者が熱心に見入っていた。
肥後容子(北九州・小学校教師)と富田ももこ(劇団はぐるま座)の2氏の司会で始まった集会は、はじめに集会参加者の構成について実行委員会の斎藤さやか事務局長から報告があった後、主催者を代表して挨拶に立った佐藤公治実行委員長が「今日の集会を、戦争阻止をめざす全国的な運動の飛躍発展の場にしよう」と訴えた。
続いて長周新聞社の森谷浩章編集局長が挨拶に立ち、「いかなる権力者も大衆の協力なしには戦争などできないし、人民が全国的に結びつくなら戦争を阻止できないわけがない」「長周新聞は人民に奉仕する思想に徹して大衆の中に入り、大衆の深部に流れる発展的な世論をとらえて形にするのが活動の基本で、そうするならマスメディアの大本営報道にうち勝って人民世論を力強いものにすることができる」とのべた。
森谷建大編集長が総括報告をおこなったあと、佐藤実行委員長が再度登壇。読者を代表して森谷編集長に記念品(バックナンバー収納棚)を贈呈した。そして川崎市の医師・柳田明氏が「私たちが長周新聞を生活の中で活用する、つまり“長活”で新しい時代を切り開いていきましょう」と乾杯の音頭をとった後、第2部のテーブルスピーチに移った。
熱こもるスピーチ 広島、長崎、沖縄からも
古くからの読者で退職教師の古田好都氏は「戦争放棄の国是を国会も開かないで覆すというのは独裁政治だ。戦争をなくすためにも長周新聞が発展するよう応援したい」と発言。原爆展を成功させる広島の会会長代行の高橋匡氏は「かつてのように気がついたら戦争になっていたということにならないよう、安倍政府の戦争放棄を絶対に阻止しなければならない」とのべ、同じく長崎の会の永田良幸氏は「真に原爆の恐さを知っているのは広島と長崎であり、長周新聞がその本当のことを世界に伝えてほしい」と発言した。下関原爆被害者の会会長の大松妙子氏は「アメリカが日本を植民地支配し、総理や官僚もその下僕になりさがっているなか、日本の誇りをとり戻す福田精神を継承する皆様とともに平和のために頑張る」とのべた。
次にはぐるま座が登壇して礒永秀雄の詩「新しい火の山に想う」(次号四面掲載)を朗読し、続いて豊北原発反対斗争のなかでつくられた『つぶせ原発』を合唱すると会場から手拍子が起こった。はぐるま座の田中早苗氏は、「この5年間の再建斗争で人民に奉仕する劇団として立場を移しかえることができた」と報告した。
続いて下関の本行寺住職・藤井日正氏、高杉東行碑前祭実行委員長の清水勇作氏、元下関市PTA連合会副会長の海原三勇氏が連続して挨拶に立った。
さらに原爆展を成功させる広島の会の眞木淳治氏、同じく長崎の会の高木昌章氏、そして沖縄から参加した石原イカリ氏が発言。眞木氏は「戦争をしない国を根底から崩そうとする安保法案を絶対に許すことはできない。こうした時代だからこそ、広島の本当の声を一人でも多くの人に伝えたい」と力強くのべ、石原氏は「賛成・反対ではなく、自分たちの地域を自分たちでつくりあげていく運動が、米軍基地を追い出し、独立・民主・平和・繁栄の日本をつくる」と発言して、会場から大きな拍手が送られた。続いて石原氏がギターを持ち、沖縄からの参加者も一緒に登壇して、沖縄の歌「童神(わらびがみ)」を歌った。母親が子どもを授かったときに大きく育つことを願い世界の平和を願う歌で、沖縄を思い広島・長崎を思って会場は一体感に包まれた。引き続き沖縄の野原郁美氏が、昨年来の沖縄県民のたたかいを報告し、「長周新聞のように大衆の中から大衆の中への運動をつくっていく」と決意をのべた。
次に上関町祝島から「沖縄や岩国で米軍基地反対を頑張っている方方や下関の風力発電反対で頑張っておられる方方、全国の人たちとともに、これからも原発絶対反対で頑張る」とメッセージが寄せられた。
岩国基地拡張反対連絡会議の森脇政保氏、下関市議会議員の本池妙子氏、下関市民の会の堅山キヌ子氏が発言に立った。本池氏は「安倍代理市政の下でも、市民は圧力に負けず運動を発展させている。市民の会は30万市民を代表する運動に転換することで飛躍できた」とのべた。安岡で風力発電反対をたたかっている婦人は、「風力発電で漁師は魚が獲れなくなり、住民は低周波がもたらされ、とても心配している。これからも風力反対をよろしくお願いします」と発言した。
さらに北九州市と宇部市の若い女性教師からは、被爆者や戦争体験者に学ぶなかで「教師としての本当のあるべき姿に導いてくれた」「平和の担い手を育てることが本当の教育だということを学んだ」と、みずからの生き方を変えた経験が出された。
大阪から参加した関西生コン支部書記長の武洋一氏は「私たちも大衆とともに歩くということを信念にしている」とのべ、このような運動を広げるために共に奮斗するとのべた。
スピーチはさらに、岡山県の原爆と戦争展を成功させる会で活動している中井淳氏、同じく愛知県の矢神繁氏、そして原水爆禁止全国実行委員会の川村なおみ氏と続いた。
参加者はスピーチや出し物に集中しつつ、あちこちで交流の輪ができ、まるで旧知の間柄のように親交を深めた。最後に長周新聞勤務員が未来を受け継ぐ子どもたちとともに登壇し、『大行進の歌』を合唱。続いてはぐるま座も一緒に登壇して『民族独立行動隊の歌』を歌った。最後に参加者全員で『がんばろう』を合唱すると盛り上がりは最高潮に達し、みんなが団結してこの運動を全国に広げることを誓いあい散会した。