下品な桃色疑惑が立て続けに噴き出して、まるで何者かが電波ジャックしているかのような光景だ。財務省の福田財務次官による記者へのセクハラを皮切りにして、新潟県では米山県知事が買春疑惑で辞任。続いて文科相の林芳正によるヨガ通いがいかがわしい雰囲気をまとって報じられ、それが不発に終わると、今度はアイドルグループ・TOKIOの「山口メンバー」がやらかしたとかで、2月に起きた出来事をここにきて大騒ぎしている。あっちからもこっちからもスキャンダラスな桃色のカーテンがあらわれ、二重三重のモヤモヤが波打っているその向こうで、モリ&加計疑惑を抱えたのが思いっきりダッシュして逃げていやしないか? と思うのである。不倫、セクハラ、エロ親父の類いのゴシップに世間の目を釘付けにして大切な問題がかき消され、ずるい形ですり替えられるというのはありがちである。自称「美しい国」の道端には、世の女性たちが辟易するほど、薄汚れた自称「ニッポン男児」どもの醜聞がごろごろと転がっているのである。
財務次官のセクハラにせよ、それは話にならないほど品位に欠けるもので、許される行為ではない。霞ヶ関のトップオブザトップと呼ばれる官僚の長が、その地位によって得るであろう情報を傘にきて女性記者たちを呼び出し、弄んでいるなど言語道断だ。そのような低俗な振舞は正面から批判され、断罪されてしかるべきである。
しかし同時に、こうもゴシップが続くと、何かがフェイクされているような胡散臭さすら感じ、「ところでモリ&加計はどうなったんだ?」と思うのである。国会もどことなく「♯ME TOO」(私も)に軸足を移し、メディアも「福田次官が--」「ヨガ経営者は--」「人気アイドルグループの--」を延々とやっている。そして林芳正がどんなヨガポーズをしているかなど興味も関心もない下関市民は「あいつはヨガよりジムに通った方がよかろうに」と冷ややかな視線とともに話題にしている。
桃色の波状攻勢はまだまだ続くのかもしれない。しかし、それでモリ&加計疑惑や公文書改ざんの真相、統治崩壊の深刻なる状態を誤魔化してはならない。 吉田充春