梅光学院大学の矢本浩司特任准教授が、2015年度末での雇い止めは無効であるとし、地位保全などを求めた2度目の仮処分申し立てをめぐって、山口地方裁判所下関支部(池内継史裁判官)は昨年12月27日、梅光学院大学特任准教授としての地位を認める仮処分決定を出した。一昨年9月の仮処分決定に続く勝利であり、年が明けて知らせを聞いた関係者らは喜んでいる。
2017年度の地位保全などを求める今回の仮処分申し立てについて、学院側は「他の学校などに就職する機会は十分あった」などの理由をあげ、保全の必要はないと主張していた。だが地裁下関支部は、矢本氏が以前から研究職を志し、安定した職を辞して梅光学院大学に赴任したこと、就任後1年間で論文を3つ執筆するなど意欲的に研究活動にとりくんでいたことを認め、前回の仮処分決定後の学院の対応によって、やむを得ず独自に研究活動を続けなければならない状況になっていることなどから、「保全の必要性が認められる」と結論づけている。
矢本氏は、2015年4月に梅光学院大学に文学部の特任准教授として採用され、2016年2月24日に突然、同年3月末での雇い止め通告を受けた。学生たちからの評価も高く、さまざまな業務を受け持っていたにもかかわらず、「業務を遂行する能力が十分ではない」などが雇い止めの理由だった。
雇い止めを受けて矢本氏は2016年5月、地位保全と賃金の仮払いを求めて仮処分を申し立て、地裁下関支部は同年9月、矢本氏の主張を全面的に認める決定を出した。学院側の異議申し立ては却下された。しかし学院側は、矢本氏が研究室や図書館を利用することなどを拒否し続けており、復帰は実現していない。
このたびの決定を受けて矢本氏は、「地位と身分の保全を主張していたので、認められてありがたいと思っている。このあと本訴があるので、そこでしっかりと主張していきたい」とのべている。今月16日には、本訴の証人尋問がおこなわれる予定。