下関市議会の関谷博議長がなんのはずみでか全国市議会議長会の会長になることが決まったと報道されている。下関市議会が全国の市議会のモデルとなるわけである。お上の方からは「まさか」と思うことを平気でやるのが当節の流儀ではあるが、下関市民にとってはまさに「まさか」の出来事である。
国政の方も、大災害で苦しむ国民の難儀をほったらかして、自分らの権力争い、利権争いに目の色を変えているが、そういう国政から見て下関市議会のありようが大変気に入られているわけである。地方自治体は二元代表制という建前になってきたが、下関はそういう規制を早くから突き破って、執行部・議会一体の一元代表制を実行している。「市民の代表」とか「議会の執行部にたいする監視機能」などというのは「チャンチャラおかしい」派が圧倒し、「市長と議員の個人の自由」「市政の自由化」、市の「営利企業化」が先行している。下関市議会は何十年も前から連合も公明党も自民党安倍派で、今どき大連合といっている国政よりはるかに先行している。そして街は、安倍代議士が首相になって、「万骨枯れる」状態である。
こういう下関市議会を全国モデルにすることは、日本中の市議会を抜け殻状態にすることを意味している。下関市民の迷惑から全国の市民の迷惑に格上げである。東北復興では、東京で金貸しどもが計画をつくり、住民を追い出してビジネスチャンスにしようとしているが、こういう連中から見て、「地方自治」などという議会は「時代遅れ」であり、下関モデルこそ先端的なのだ。
この際せっかくのこと、関谷会長がいらっしゃる下関市議会であるから、日本中から議会視察を受け入れるキャンペーンを始めるべきである。委員会の所管事項は本会議で質問できないし請願議員にもなれないとか、傍聴させない委員会とか、4年間一度も発言しない議員の紹介とか、冠水地に消防を移転させることに賛成した議員の紹介とか、また菅首相に先立つ中尾市長の公約破りの「いいわけ理論」や「複式簿記理論」の紹介とか、視察者の興味は尽きないと思われる。「さすが」というか、「バカが」というか、それは視察者の自由である。 那須三八郎