世間を賑わせてきた森友学園の籠池夫妻がついに逮捕された。教育勅語を暗唱させ、「安倍首相がんばれ! 安倍首相がんばれ!」と園児たちに叫ばせて応援していたのに、雲行きが怪しくなったら「しつこい人」呼ばわりされ、名誉校長に就任して100万円を寄付していたであろう安倍昭恵も逃げていき、さらに日本会議界隈の右傾化集団からも恨まれて切り捨てられた。これほどはっきりと昨日と今日の敵と友が入れ替わってしまった人間もそうそういないのではないだろうか。ただ、この何カ月かの攻防を見ていて、「私だけが悪者にされる…」から始まったトカゲの尻尾による反撃は、ある意味迷いがなくあっぱれだと思って注目していた。恐らく、この籠池の乱がなければ、事態は隠蔽されていたに違いないと思ったからだ。
籠池が「しつこい人」呼ばわりされたのは、「安倍首相がんばれ!」の映像やその教育内容に世間がドン引きしたことが一つのきっかけだったように思う。それで「か、籠池さんでしたっけ?」としらばっくれたものの、実は100万円を寄付していたことや、名誉校長に就任していた安倍昭恵の秘書・谷査恵子が財務省に問い合わせしていたことが暴露され、財務省は記録も記憶もないととぼけたり、8億円値引きやその根拠となっていたゴミが存在しなかった問題など、つぎつぎと疑惑が浮かび上がり泥沼化していった。従って、「詐欺師が逮捕されたのだ」で終わる問題ではなく、そんな者になぜ9億円相当の国有地が実質200万円程度で払い下げされたのか? が解明されなければ終止符にはならない。
もともとが右傾化ビジネスに便乗して学校建設を願望していただけに、叩けば埃くらい出てくるだろう。ただ、首相界隈に反旗を翻したからといって籠池のみを袋叩きにするのは筋が通らない。その学校建設を幇助した連中や、財務省に問い合わせまでした者、8億円の値引きを承認した財務省そのものも同時に裁かれなければ、「法の下に平等」など誰も信用しない。今度は検察が忖度集団の烙印を押されるだけである。
かくしてモリ&カケのモリだけが逮捕され、首相にとって腹心の友のカケは雲隠れしてメディアにすら出てこない。この扱いの違いも疑問である。 吉田充春