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北朝鮮核実験問題 軍事衝突必至の「臨検」画策

 朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)による核実験を口実に、安倍政府は即座に追加発動した朝鮮からの貿易や入港・入国も禁止する経済制裁に加え、「臨検」を実施する特措法整備へ着手した。公海上で朝鮮船籍を見かけただけで、米軍や自衛隊が強引に船を止めさせ、武器携行で乗り込んで荷物を調べあげ、船長に行先変更を指図するとんでもない内容。その危険性はアメリカが船舶検査のために海上を封鎖し、一触即発の事態となったキューバ危機(1962年)を見ても明らかである。安倍政府が「核実験反対」といいながら進行させている現実は、アメリカの下請になって日本を核戦争にまで引きずり込む、戦時内閣の危険な本性を暴露している。

 真先に米軍を警護・臨検は下関と佐世保で実施する方向
 安倍首相は15日、国連安保理が北朝鮮制裁決議を採択したことをうけ「国連憲章7章に言及した厳しい措置の決議が採択され、国際社会は北朝鮮の核保有を許さないという強いメッセージを出すことができた」と絶賛。「日本としては国際社会とともに、北朝鮮の核保有、核拡散を阻止するための対応を取る」と強調した。麻生外相も15日にテレビに出演。国連安保理の決議採択について「ある国の行動が国連安保理で平和に対する脅威などと決定され、安保理決議の経済制裁の対象となり、日本の平和と安全に影響する」など周辺事態法が規定する周辺事態の6類型にあてはまることを強調。共通して「臨検」実施に踏み込む意欲を示した。
 「臨検」をめぐっては米国のシーファー駐日大使が13日、直接首相官邸へ行き「制裁という仕組みができあがったときには意味のある貢献をせよ」と要求。その翌日に塩崎官房長官が「政府としてはあらゆる状況を想定し、総合的に検討する立場だ。いま現行法制のなかで何ができるか考えているところだ」と忠誠を誓い、政府の対処方針案を示した。
 対処方針は第1段階として「周辺事態」と認定されない段階は「テロ対策」で米軍の三沢、横田、横須賀など各主要基地を自衛隊員計1000人規模で警護する方向。さらに佐世保港(長崎県)、舞鶴港(京都府)、大湊港(青森県)などの自衛隊施設を、米艦船に提供することも規定した。そして周辺事態と認定すれば臨検を行う場所として、佐世保港と下関港を指定港にする方向。事前に臨検場所として適切かどうか詳細を調べるとしている。
 14日には自民党が特措法骨格を提示した。現在の周辺事態法による船舶検査は、不審船とみなせば船長に停止を要求し、船長の承諾を受けて自衛隊員が相手船舶に乗り込み、禁輸品があれば目的港や航路の変更を要求する。
 これを自民党骨格は海上自衛隊の武器使用を緩和し強制的に停船させる権限をもたせる。具体的には「警告射撃を認める」「禁輸物資輸送の疑いがあるだけで日本や目的地以外の国へ回航措置を命じられる」「乗組員を一時的に拘束できる」などが内容。公海上で突然銃をつきつけて、乗組員を逮捕すれば、武力衝突するのは明らかで、あからさまな先制攻撃の準備にほかならない。
 そのほか、安倍首相や久間防衛庁長官は地対空誘導弾「パトリオット3(PAC3)」と海上配備型の「スタンダード・ミサイル3(SM3)」の配備前倒しなどを公言し「朝鮮と対抗する」と主張している。

 国内治安レベルを強化・朝鮮敵視を煽動 
 こうしたなかで国内の治安弾圧体制強化が進行している。安倍政府は11日段階で「北朝鮮工作員が日本国内でテロを引き起こす可能性が高まる」とのべ国内の治安レベルを強化した。
 防衛庁は陸海空3自衛隊に「即応体制の強化」を指示し、情報本部が国内6カ所にもつ通信施設で北朝鮮内の交信状況を監視しはじめた。海上自衛隊も偵察機を日本海などに飛ばし米軍とともに情報収集に入っている。
 警察庁も次長をトップにした警備対策本部を設置し国内でのスパイ活動警戒を指示。溝手国家公安委員長は「北朝鮮による対日有害活動」を防止すると都道府県警に指示。漆間長官も「ちゅうちょすることなく確実に摘発を」と全国の警備部長に通知した。海上保安庁も「入港禁止に反する北朝鮮籍の船があれば船長を逮捕する」方針を示し、法務省も北朝鮮籍の人の入国禁止を徹底。そうして国をあげて「朝鮮を懲らしめよ」と総動員する体制を整えようというのである。安倍首相が真に核廃絶を目的にしているなら世界最大の核保有国・米国が核を振りかざし世界中を恫喝する脅威を問題にするはずである。その脅威には何もいわず一方的に朝鮮への圧力と制裁で突っ走るのは別目的があることを浮き彫りにしている。それはアメリカに盲従して朝鮮を徹底的に殴りつけて暴発させ「日本防衛のため」と戦争をしかける悪らつな意図を示している。

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