いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

「失われた30年取り戻すたたかいを」 躍進目指すれいわ新選組 山本太郎の街宣に熱気 衆院選に35人擁立

(10月14日付掲載)

れいわ新選組山本太郎代表の街宣に足を止める人々(11日、東京・新橋)

 27日投開票の衆院総選挙の公示が15日に迫るなか、れいわ新選組(山本太郎代表)は8日に東京都の新宿駅西口でマニフェスト発表会見を開き、9日に小岩駅前、11日に新橋駅前、12日に中野駅前で街頭対話集会を開いた。13日には渋谷中心部で大規模な増税反対デモを実施し、30年の不況と物価高で疲弊する経済や暮らしの底上げを訴えて練り歩いた。石破政府の発足からわずか1週間後の解散と、裏金問題の真相究明や能登被災地の苦難も置き去りにしておこなわれる総選挙に対して、これを開けて通してきた既存野党の欺瞞も暴露しつつ、国会内で徹底的に抗う勢力を増やすべく人々に支援を呼びかけた。街宣での山本太郎議員の訴えの概要を紹介する。

 

○      ○

 

 山本 本当は今、解散総選挙などやっているときではない。そもそも石破さんがどんな方で、これから何をやろうとしているのかも知らないのに、それを選ぶか選ばないかを決めろという無茶苦茶な選挙だ。

 

 今の日本はどうなっているか。誰もが実感しているのが物価高だ。どれくらい値上がりしているのか。総務省の消費者物価指数は、すでに物価高が始まった昨年との比較なので、みなさんの肌感覚とはズレがある。だから私たちは、2020よ年8月時点の値と、コロナ前の2018年平均値とを比較する。

 

 上昇率を見ると、紙おむつが12・2%、ガソリンが17・3%、電気代は21・8%、都市ガス22・9%、灯油は29%も上がっている。
 続いて、食料19・8%、鶏肉10・5%、国産牛肉13・9%、コーヒー・ココア15・3%、食パン22・4%、米類22・5%、マーガリン24・7%、調理カレー26・1%、国産豚肉27・5%、魚介類28%、ハンバーガー29・5%、小麦粉35・7%、トイレットペーパー38・1%、輸入牛肉43・2%、食用油46・1%、照明器具64・2%……値上がりしていないものはないくらい軒並み価格が高騰している。

 

 一番問題なのは、ここまで物価が上がっているのに、皆さんの収入(使えるお金)は増えているか? ということだ。「まったく問題ない。物価高に負けないくらいお金が入っている」という人がどれだけいるだろうか?

 

 逆に、この物価高に抗えず、自分の生活を小さくしなければならない人たち、ただでさえギリギリだったのに生活が立ちゆかないという人たちが全国にたくさんいる。倒産件数も過去最高にのぼる勢いで、その8割が不況型倒産だ。

 

 この状況は、自己責任もしくは民間の努力でどうにかなる話ではない。つまり、国がさっさと経済政策を打て、ということだ。だが残念ながら、事実上の放置プレイが続くのがこの日本だ。この物価高だけでみなさんの暮らしがしんどいわけではない。日本は世界でも唯一、30年にわたって不況が続き、そこにコロナ禍、物価高という災害が襲い、みなさんの苦しみに拍車を掛けている。

 

 1997年を100とした実質賃金指数の推移を見ると、先進5カ国(米、英、独、仏、カナダ)は2023年までに概ね139~118と右肩上がりだが、日本だけは右肩下がりで83・4。30年間で賃金が上昇していないどころかマイナスだ。

 

 一方、物価だけは上がっていく。消費税とは、物価の強制的な値上げだ。景気が悪いときに消費税で物価をさらに上げるという、国民への経済制裁をやる間抜けな政府は日本だけだ。

 

 では、具体的にどれだけ貧乏になったのか?

 

 30年近い不況のなかでみんなの賃金は下がり、所得の中央値は25年で約131万円も低下した。こんなに低下する国は世界でも異常な部類だ。これは誰のせいか?

 

 あなたが頑張らなかったからなのか? 違う。そんな問題では、こんなことは起こらない。この状況は、政治があまりにも間抜けという以外に理由が見つからない。

 

 すべてのルールを作っているのは国会だ。この国の方針を決め、そのように現実が変えられていく。その舵取りを間違えれば、当然この国の経済は弱る。その政策を30年間違え続け、多くの方々が苦しい状況にある。

 

 厚労省の調べでは、「生活が苦しい」と感じている世帯の割合は、全世帯の59・6%。高齢者も59%。児童がいる世帯では65%だ。もう無茶苦茶だ。これは貧困そのものではなく、「物価が高く、生活がしんどい」と感じている人たちの割合だ。

 

 逆に「あなたの所得では貧困です」といわれる人は、日本の中にどれだけいるのか。厚労省の調査では、この国の貧困率は15・4%。つまり6・5人に1人が貧困だ。ひとり親世帯では2・2世帯に1世帯。高齢者でも5人に1人。単身女性(20~64歳)では4・2人に1人であり、それを高齢者(65歳以上)でしばってみると2・3人に1人が貧困だ。もうこの国に政府が存在していないかのような状態だ。

 

 こんな状態が放置されている一方で、日本全体がそんな人たちばかりなのかといえば、そうではない。がっつり懐に持っている人たちもいる。大企業、資本家だ。

 

 1997年に142兆円だった企業の内部留保(貯め込んでいる資金)は、2023年には601兆円。過去13年連続で過去最高を更新した。これを現預金で見てみると、この13年で139兆円の新たな金を貯め込んだことになる。過去最高益を上げ続けているのがこの人たちだ。

 

 このように、一部の者たちだけが莫大にもうけ、それ以外の大多数が貧しくなるような経済の構造にされてしまっている。そのように仕向ける政策を打ってきたのだ。

 

 実は、日本の富裕層は世界で2番目に多い。フランスの大手コンサル『キャップジェミニ』の調べでは、日本の富裕層は365万人で世界第2位。この場合の富裕層とは、今の生活を一切変えることなく、すぐに100万㌦(1・4億円)以上を投資できる人たちを指す。

 

 お金持ちがいて、大企業がもうけること自体は構わない。だがその一方で、人々がこれだけ貧困化するというのは制度として狂っている。国内を草刈り場にしてもうけ続けるということで、人々が苦しみ、国内が疲弊していったのだから。

 

 つまり、現在国民は、30年の不況、コロナ、物価高という三重苦にあり、今すぐなんとかしなければならない。解散している場合ではない。「経済といえば自民党」という人がいるが、以上のデータを見ただけでも経済は悪くしかなっていない。

 

30年この国を壊し、切り売りしてきたのは間違いなく自民党だ。そして、それに対して体を張って止めてこなかったのが今の野党たちだ。こんな政治は根本的に変えるしかない。

 

なぜ消費税廃止なのか 貧困拡大させた30年

 

渋谷スクランブル交差点を進む、れいわ新選組主催の「増税?ダメ♡絶対!」デモ(13日、東京)

 山本 では、どのような政策を打っていくべきか。私たち、れいわ新選組の一丁目一番地の政策は「消費税廃止」だ。これを聞いて馬鹿らしくなって帰る人がいるかもしれないが、ここから先が重要なので聞いてもらいたい。

 

 廃止すべき理由と廃止できる理由をお話する。

 

 なぜ消費税が必要とされているのか? 社会保障の財源のため? それはテレビ、新聞、財務省に騙されている。消費税が上げられるときは必ずそれとほぼ同額の法人税が下げられてきた。

 

 法人税率は昭和、平成、令和にかけてずっと下げられ続けてきた。そのタイミングは、消費税が3%、5%、8%、10%と引き上げられる前後だ。このためにつくられたのが消費税なのだ。

 

 消費税が導入される1989年以前の議論を見れば、消費税の目的は明らかだ。「直間比率の是正」――つまり、金持ちからとる直接税(法人税)を減らして、間接税(消費税)を増やし、大企業や富裕層を助けるというのが一番の目的だと論議されている。

 

 「社会保障のため」などというのは後付けの理由であって、その後の大企業の利益の推移を見れば、本来の目的が達成されていることがわかる。

 

 あなたから搾りとった消費税は、一部しか社会保障には回されていない。政治家が議員バッジを得るために、まとまった組織票、企業献金をくれる人へのご恩返しのために、あなたが払った消費税が使われているのが現実だ。こんな馬鹿な話はない。

 

 消費税をやめれば、年間20万、30万円というお金をあなたの手元に置いておくことができる。貯金する人もいるだろうが、その一部でも使われたら、その消費は誰かの所得になり、社会に回るお金が増える。この国が弱っていった30年をとり戻さなければならず、失われた30年の所得をとり戻さなければならない。そのためにはまず分配が必要だ。減税によって使えるお金を増やし、その消費が所得に変わっていくことを実現しなければならない。

 

 消費が30年弱れば、投資も30年弱る。消費と投資をあわせた需要が30年も失われたのが日本だ。日本経済を復活させるためには、これを徹底的に底上げすることだ。景気が悪いのに賃金は上げられない。全国津々浦々にお金が回って景気が上向いてこそ、賃金が上げられる。

 

 参院調査室による試算では、消費税を5%に減税すれば、1人当りの賃金は、何もしなかった場合と比べて17・5万円増える。消費税を0%にすれば、35・7万円増える。これを12カ月で割っても大した額ではない。だが、消費税が消費に与えたブレーキの効き目を考えれば、そのブレーキを解放すれば当然消費は喚起される。

 

 この国の企業の99%は中小零細企業だ。税の滞納でもっとも多いのが消費税だ。消費税が払えずに倒産したり、借り入れをしてまで納税する中小零細企業もいるなかで、彼らを助けることにもなる。将来に不安しかないという人が溢れている状況では、国は弱っていくばかりだ。将来に希望が持てる状況をつくっていくための第一歩は経済の安定であり、そのために消費税廃止は必須の政策なのだ。

 

 自民党も立憲民主党の幹部も「消費税廃止は時間がかかる」というが、各国がコロナ禍などでおこなった消費税(付加価値税)の減税を見ると、イギリスでは発表から7日、ドイツでは28日でやっている。また2018年に付加価値税を廃止したマレーシアでは発表から16日で実現した。各国が消費税を減税した理由は、不況時に消費を喚起しなければ、社会にお金が回らず、事業者も倒産し、国の供給能力が毀損されるからだ。つまり、国の安全保障政策として減税をしている。

 

 日本では、自民党だけが30年勝手なことをやってここまで国が壊れたわけではない。ぬるい国会にして、野党も体を張って止めてこなかった。同罪だ。国会を職安にするなということだ。体を張って止めろ、気概を見せろということだ。

 

 私たちは人間の尊厳を守れる社会をつくりたいと思っている。そのために必要なのは、やはり経済。生活が安定し、明日の心配をしなくていい、当たり前のことを当たり前にやってくれる政治をつくっていくことだ。

 

 自民党は「まず成長、次に分配」という間抜けを言い続けているが、まずは分配だ。軍資金がなければ人々は動けない。つまりは減税、社会保険料の減免、悪い物価高が収まるまでの現金給付、そして消費税廃止だ。

 

 経済はマインドで動く。消費税を廃止すると宣言したとたんに社会は動き出す。需要が増えることを見越して企業は設備投資を始め、人手を確保するために賃金も上がる。だが、現在は「選択と集中」などといって限られた業界だけに絞る。これでは人が死ぬ。30年の不況の間毎年2万、3万人もの人々がみずから命を絶ってきたのだ。

 

 しかも今、能登半島では元日からの地震に加え、豪雨災害でたくさんの人が苦しんでいる。それなのに国は水も食料も届けない。疲弊する自治体を助けるために応援職員も送ってニーズを調査し、リソースを振り分けるための人手を確保しなければいけない。そんなこともせずに、解散総選挙をしている場合ではない。なぜ今やるのかといえば、今やった方が自民党が議席が得られるからだ。国民のことなど見てもいない。そんな政治は滅びた方がいい。

 

国会の中で見た「地獄」 れいわの目的とは

 

演説する山本太郎議員(11日、新橋)

 山本 私は10代から芸能人をやっていたが、3・11の原発事故を契機にして、原発についてモノをいいすぎて芸能の仕事がなくなった。原発はものすごい数の企業の利益につながる業界だから、そこからコマーシャル料をもらって成り立っているテレビは、それら企業の利益が阻害される可能性がある言動をする人間は速攻で切る。私の替わりなんて業界には山ほどいる。

 

 でも我慢できなくて、直接国会にいって文句をいってやろうと思い、2013年に東京から参議院に送ってもらった。

 

 国会の中には絶望しかなかった。なぜなら野党は戦っているふり。自民党が決めることといえば、次の選挙の票になるか否か、あるいはカネになるか否かだけだ。国会という「おしゃべり小屋」では、人の命は一番安いものとして扱われる。

 

 そして6年の任期を終えそうになったとき、もう一度自分に問いただした。自分の人生、もう一度政治に身を投じるのか? と。ガス抜きにしかなれていない自分だが、それでも、もう一度やるのか? と。

 

 自分の中では諦め切れなかった。そんな政治のしわ寄せはどこへ行くのか。みなさんだ。政治で決まったことで社会が変えられ、みんなの首がどんどん絞まっていくことは目に見えている。それなら、与党にも野党にもくみしない、空気は読めるが空気は読まないということを決めて徹底的にやるしかない。そんな人間を増やすしかないと思った。一番ややこしい、うっとうしい人間。国会で嫌われ、虐められるような存在になっても、徹底的にやり抜く人間の数を増やして、まず国会に緊張感を作りだそう、話はそれからだと思い、れいわ新選組を立ち上げた。

 

 国会で、そして衆議院で、一番嫌われるようなこと、本当のことばかりをいう、悪を絶対に逃がさないという議員たちが生まれた。山本太郎という有象無象(うぞうむぞう)、そして全国の有象無象と力を合わせて、旗揚げから5年で国会議員は8人になった。奴らにとってはこれが一番怖い。なぜなら、バックに統一教会もなければ、大企業も連合も宗教団体もない。カネや票で魂を売らない。自分たちが納得したことしかやらない。永田町で通用する票とカネのコントロールが一切効かない連中だからだ。

 

 私たちのバックはみなさんだ。外に向いては「戦います」といいながら、国会の中ではテーブルの下でぬるっと手を繋いでいるような茶番には与さない“わからず屋”を数多く国会に送り込まなければ、あそこに緊張感など生まれない。ダルダルのユルユルだ。まずはそこからだ。

 

 今、この国に必要なことは、政治が国民を慮(おもんぱか)る気持ちと国民に対する最大限の投資だ。失われた30年、失われた所得をとり戻す戦いだと思っている。どうか一緒に戦いに参加してもらいたい。

 

沖縄に候補立てた理由 1区は取り下げ

 

 質問 沖縄4区(野党統一候補は立憲民主党)、1区(現職は共産党)になぜ候補者を立てるのか?

 

 山本 沖縄の選挙区は1~4区あり、超党派でつくる「オール沖縄」では、1区に共産党、2区に社民党、3区に立憲民主党と棲み分けが決まっている。まだ4区(現職は自民党)に誰もいないときに、れいわが手を挙げて候補者を発表したが、それに「待った」がかかり、一本化しようということになって、野党による選考委員会ができた。私たちはそれに応じるにあたって、各政党や団体代表の8人だけの多数決で候補者を決定しないこと、つまり、もっと広く4区の候補者を誰にするかについて地元の人たちに諮ってほしいということを条件にした。なぜなら4区は沖縄本土の南部だけでなく、それ以外にも宮古島や石垣島など離島を数多く抱える選挙区だ。

 

 だが、この要望は叶わず、結局は8人の多数決で、立憲民主党の人が統一候補に選出された。この人は2021年衆院選で落選した人だが、自身の政治資金収支報告書に承諾を得ていない人の名前を会計責任者として勝手に記入し、印鑑を付いたという、有印私文書偽造の疑惑がある人だ。

 

 さらに、沖縄では今、南西諸島に急速にミサイル基地や自衛隊基地が配備され、地元の意思に反して軍事化が進められている。沖縄では昔から近隣国や島々との交流の歴史があるのに、ミサイル配備によって緊張が一気に高まっている。有事になれば真っ先に犠牲になるのがこれらの島々であり、すでに攻撃を受けたときのための避難計画まで作成されている。

 

 一方、自民党政府は「脅威」といっている北朝鮮や中国とも実質的な外交をおこなっていない。北朝鮮のミサイル発射に対しても、中国経由で抗議するといった状態だ。外交の努力をせずに軍事化だけを先行させている。このように緊張が高まっているときに、自民党とほとんど変わらない国防戦略や軍事政策を持っているのが立憲民主党だ。米国追従への加担、武器輸出、国内武器製造や共同開発の拡大などの与党の政策に賛成し続けている。

 

 沖縄の人々の代表となるべき「オール沖縄」の候補者だが、そのような党の考えをこえられるのか? といえば、それは難しい。そうであれば、4区のうち二つの選挙区を立憲民主党に委ねるのは非常にまずい状態になる。

 

 私たちは戦争ビジネスには加担しない。彼らは軍事ビジネスに43兆円ものカネを注ぎ込むとしているが、それは極めて限られた分野だ。この国の産業全体に波及するものではない。これは経団連がずっと求めてきたものであり、武器を製造して海外にも輸出し、それを使用するというサイクルのなかに、日本も入っていくということになる。その先にはアメリカ型社会、つまり軍事が基幹産業になり、定期的に戦争をする国になっていかざるを得ないものだ。アメリカは建国以来、コンスタントに戦争を続け、イラク戦争のように大量破壊兵器の証拠をでっち上げてでも戦争を起こし、フセイン時代よりももっと酷いどん底にイラクの人々を陥れて恨みを買っている。このようなアメリカの戦略に日本が付き合ってはいけない。沖縄で起きている問題は日本の問題なのだ。

 

 また、私たちは先日、(現職の共産党議員が立っている)沖縄1区にも候補者を立てることを発表した。これについては本日、候補者を下ろすことを決定した。だが四区については、候補者を立てて戦うことになる。選挙互助会のような決められ方をすることについては納得がいかない。

 

 沖縄1区に関していえば、たとえば一つの選挙区に対して複数の政党が競合してしまう形になれば、しんどい戦いになることは目に見えている。一人しか当選できないし、比例復活があるとしても、かなりしんどい戦いになる。その場合、政党間で選挙区の調整という作業が入ってくる。

 

 だが共産党は「調整はしない」という。こちら側が検討している内容(他の選挙区での競合を調整すること)を伝えても、話し合いもしないということなので、一歩踏み込まなければ話にならないんだな…ということで、私たちは共産党の現職がいる沖縄1区に候補者を立てることを発表した。一方、私たちが候補者擁立を発表している全国16ほどの選挙区に、共産党は候補者を立てている。もちろん、そういう状態が起きるのが選挙であるし、そこで調整がおこなわれたらラッキーなのだが、おこなえない場合もある。その結果、それぞれ独自に戦うということになれば、当然私たちの得票率が高いところに立てる以外にない。れいわ新選組の得票は東京が最も高いが、その次に高いのは沖縄だ。だからそこに候補者を立てることを発表したのだが、それでも共産党は「一切調整には応じない」ということだった。

 

 だが、こんな政党間の話は、地元の人からすれば関係ない話だ。そんなやりとりをしているうちに、これまで野党がやってきた同じことを私たちがやろうとすることはちょっと違うのではないかと思い直した。話し合いのテーブルにつくことを求めてやったことだが、それが難しいということであれば、これは引くしかないと判断した。

 

 これに関してご心配をかけた皆さんや、嫌な思いをされた皆さんにはお詫びを申し上げたい。

 

 もっと喧嘩できる力を私たちが蓄えなければいけないということだ。まだまだ弱い自分たちの実力を自覚し、引き返す勇気を持つことも重要だと思う。私たちが目指すべきビジョンと体制をしっかりと再構築して、背中を押してもらえる段階で再チャレンジしたい。(れいわ新選組の公式ホームページでこの件についての声明を発表している

 

徹底的に抗う勢力増やす 野党に「腰」を入れる

 

 質問 れいわ新選組が政権与党になるためにこれから何をしていくのか?

 

 山本 今は国会議員が8人しかいない。今回の衆院選で立てる候補者も35人ほどだ。仮に全員当選しても国会議員700人のうちの35人だ。

 

 だから私たちが目指すべきは、まず中規模政党になって野党に骨を入れる役目だ。最終的には、与党を倒して政権をとる必要があるが、今何かしらのラッキーが重なって立憲民主党が政権をとったところで、日本に生きる人々はおそらく幸せにはならない。消費税の減税もしないし、むしろ「4年間は消費税を上げない」といって政権を任されたのに、消費税を上げたのが旧民主党政権だ。武器輸出解禁に道を付けたのも、TPP交渉参加も彼らがやったことだ。原発再稼働に加え、国内での武器の共同開発や製造の入り口をつくったのも彼らだ。

 

 つまり、自民党さえ一気には踏み込めなかった“汚れ仕事”を全部、民主党政権のうちにやり、政権を自民党に奉還した。つまりは自民党のコピーでしかなく、そこに人権風味、リベラル風味のふりかけをまぶしているだけなのだ。与党の自民党も、野党第一党の民主党も、ほとんど変わらない者たちなのだ。

 

 だとするならば、野党をもっと強くするしかないし、そのなかで私たちが力を持つしかない。そのためには自分たちの数を中規模政党になれるくらいに増やし、野党内での交渉力を高めなければいけない。私たちを絡めなければ前に進めない状態にするために、まず二桁の議席獲得を目指す。

 

 今のような野党の戦い方では、有権者は誰に入れて良いかわからない。体を張ってでも止めて、国会を不正常化させるくらいやらないといけない。野党時代の自民党がやったことだ。

 

 自民党がどうして民主党から政権を奪還できたかといえば、国会で抵抗し続けたからだ。その抵抗の仕方はまるでチンピラだった。思想や政策は私たちと真逆であり、人々を不幸にするものだが、それを自分たちがやるために権力をとることにこだわり、あらゆる手段を使って徹底的に抵抗しまくった。そのうえで「こいつら(民主党)には決められない」「俺たちにしか前に進められない」ということを国民にアピールし続けて政権を奪還した。

 

 それと比べても今の野党は貴族だ。国民の代わりに戦うために国会の中にいるんだったら、徹底的に戦って、有権者から誰に託せばいいのかという選択肢として日頃から意識してもらえるようにならなければダメだ。現状は、与党なのか野党なのかもわからない。

 

 だからこそ、まず野党のなかで、徹底的に抗う者たちの数を一定増やし、現在の野党が一番弱い経済政策に腰を入れる。国会の中で徹底的にやりあうためのステップが必要だ。その先に政権交代が叶うような野党が作れるのではないかと思っている。

 

 日本は本当はすごい国だ。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれた時代もあったが、それが30年でここまで壊された。消費が弱れば、人々が疲弊するだけでなく、モノを作る供給能力さえ棄損されてしまう。世界に誇る「ものづくり大国」の基盤が壊されてきたということだ。これを立て直すことができるのは政治だけだ。その政治を変える鍵を握っているのは、この国のオーナーであるみなさんだ。あなたがいなければ始まらない。

 

 れいわ新選組の票は読めない。バックに統一教会も経団連も、連合もいない。山本太郎と同じ全国の有象無象が、社会を変えるために力を合わせたとき、その結果がどんなものになるのか。それは大手メディアも誰もわからない。

 

 どうかこの地獄のような社会を変える先頭に立たせてほしい。一緒に力を合わせて、たるみきった政治に緊張感を与え、おもしろい社会をつくっていこう。

 

渋谷でおこなわれた増税反対デモ(13日)

街宣をおこなうれいわ新選組の山本太郎、天畠大輔の両参議院議員(11日、新橋)

JR中野駅前での街宣でも山本太郎の訴えに多くの人が耳を傾けた(12日)

関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。