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「世の中は変えられる! 本気で戦う者たちを国会へ」 解散までに国会で起きていたこと れいわ新選組・山本太郎の全国街宣より

(10月7日付掲載)

れいわ新選組・山本太郎の小倉駅前街宣(9月29日、福岡県)

 れいわ新選組代表の山本太郎参議院議員は9月初頭から東北、北関東、近畿、九州、東京の街頭でゲリラを含む屋内外での市民との対話集会を連日のように実施し、来る衆院選に向けての政策や戦略方針について熱を帯びた意見交換をくり広げている。山本議員の能登視察報告と街頭集会でのやりとりの一部を紹介する。

 

◇           ◇

 

 

 質問(北九州) 16歳だ。自民党の総裁選で石破さんが新総裁になったが、今後日本はどんな国になっていくのか?

 

 山本太郎 石破さんが総理になって、日本が抱えるさまざまな問題の解決をしてくれることを期待したいところだが、残念ながらそれはあり得ない。

 

 日本が先進国で唯一、30年も不景気が続いているのは、政策を誤り続けた結果だ。他の先進国は全部成長し、賃金も上がっているが、日本だけ上がっていない。かつて世界の先頭に立つ勢いだった日本を30年かけて破壊し、ここまで食い潰してきたことについて、石破さんが議員生命をかけて自民党内部で反乱を起こしたことは一度もない。

 

 昔の自民党にはそんな気概を持った人もいた。たとえば郵政民営化。小泉人気に乗って、郵政を民営化すればサービスは良くなるという刷り込みがなされた。国鉄を民営化してできたJRと同じだ。その結果、サービスはよくなったか? 

 

 その逆だ。国民の財産を使って国としてさまざまなサービスを築いてきたにもかかわらず、それを民間(資本家)に割安で譲ってしまったのが民営化だ。その民営化に反対した自民党の骨のある人たちの多くは政治生命を絶たれてしまった。公認も受けられず、自民党として議員になることが難しくなり、討ち死にした。

 

 そのような自民党がおこなってきたこれまでの政策の積み重ねの結果が、30年の日本経済の没落だ。その一つでも体を張ってでも止めようとしたことがあるのか? それは石破さんに限らず総裁選候補者の他8人も同じだ。党執行部に対して「間違っている」と主張できず、逆にそれを我慢したり、自分の番が回ってくるまではどんな政策にも加担して自分の身を守った。

 

 そのような者たちが、いくら総裁選で良いことをいって総裁になったとして、その後に何かしらの変革ができるかといえば、そんな期待はできない。自民党のトップが変わることで日本が大きく復活するとは思わない方がいい。日本を30年も売り飛ばすことに加担してきた者たちについては入れ替えるしかない。つまり政権交代しかない。

 

 この国の貧困状態を見ると、厚労省の生活基礎調査で、国民の6割が「生活が苦しい」と回答している。貧困世帯は6・5人に1人、シングル世帯では5割以上、高齢者は5人に1人、単身女性(20~64歳)では4人に1人が貧困だ。高齢女性になると2・3人に1人が貧困だ。

 

 国にはいろんな課題があるが、一番重要なのは国の経済だ。国の経済は、一握りの調子の良い人たちと多くの苦しむ人たちという形では成り立たない。全体的に底上げをする必要がある。だから私たちは消費税を廃止したいと考えている。

 

 一方、石破さんは消費税に関してどのような意見を持っているか?

 

 2019年に当時の安倍晋三首相が「10年間は消費税の増税は必要ない」といった。それに異議を唱えたのが石破さんで、「国民負担の議論を避けるべきではない」とのべている。経済や国民生活の状況を見れば、減税をして、使えるお金をそれぞれに増やしてあげて消費を喚起するのが経済政策の基本だが、石破さんは負担を増やすことを確保しなければならないといっている。だが社会にお金が回っていないとき(不況)には、みんなが使えるお金を増やさなければ不況は終わらない。

 

 2021年10月の衆院選での候補者アンケートでは、石破さんは消費税は「現状維持」と回答。コロナ禍の真っ最中であり、多くの人々が大変な思いをしていた時期でもそんな認識だ。

 

 さらに、同じアンケートで「時限的又は恒久的に消費税率を引き下げるべきだ」という問いに対しては、「どちらかといえば反対」と回答されている。

 

 直近では9月の自民党総裁選の候補者アンケートで、消費税増税について、他の候補者が全員「増税しない」と回答しているのに、石破さんだけが「どちらでもない」と回答。こういう代表選ではだいたいみんな嘘をつく。たとえば岸田さんの場合は「所得倍増」みたいなことをいっていたが、総理大臣になった後は、そんな話はどこかに行ってしまった。その意味で総裁選は有権者を騙すための嘘を重ねる場だから、他の候補の回答も疑わしいのだが、石破さんは正直に「どちらでもない」と消費増税の余地を残している。

 

 記者との受け答えのなかでは「党税調で議論する」とも答えているが、「あなたが総理大臣になってどうするつもりか」を聞かれた場面において「党内の部会で話し合いが必要だ」と逃げている。これでは経済という部分に関しては明るい展望は持てない。

 

 れいわ新選組は、30年続く不安定な経済状況から一刻も早く脱する必要があると考える。それこそが一人一人の活力に繋がる。国防の観点から見ても1丁目1番地であると思う。石破さんはいろんな武器などに詳しい安全保障の専門家を自称されているが、国内の安全保障については無頓着な方のようだ。

 

 つまり、トップが変われば世の中が変わるということはない。踊り子が変われど振り付けは一緒だ。

 

 まずは自民党を倒し、自民党と政策が変わらないような者たちも一緒に倒すしかない。

 

なぜ「野党共闘」ができないのか

 

 質問(福生市) れいわ新選組は、野党共闘はしないという話をしているが、この衆院選をどう戦っていくのか?

 

 山本 残念ながら立憲民主党はもうすぐ沈む船だ。あんなやり方で国民をだましていたらダメだ。戦っているふりはやめろということだ。結局は貴族の集まりなのだ。労働組合がバックについており、労働者の代表ということであるならば、なぜ消費税の増税を歓迎するのか。労働者の味方なら「(税は)あるところからとれ」といわなければならないし、税の歪みを直すべきだといわなければいけない。

 

 立憲民主党のなかにも、国会で良い質疑をされる方、経済政策が私たちと近い方もいる。それでもやっぱり国会の戦い方として許せないことがいくつかある。わかりやすい例をのべる。

 

9月19日、能登半島輪島市を訪問しメッセージを書く岸田首相(当時)

 元日の震災で甚大な被害を受けた能登半島。9月半ば、岸田総理(当時)が訪れ、最後に被災者の皆さんにメッセージを残した。大きなボードに何を書くのか期待して見ていると、書かれた言葉は「頑張りましょう!!」。いや、お前が頑張れよ、だ。地元は元日から休まることもなく、ずっと頑張り続けているのだ。

 

 ところで岸田前総理は震災直後から被災者の皆さんに何を約束してきたのか。「地域のコミュニティが守れるんだろうかという不安に応えなければならない」「できることはすべてやる」「やらなければならないことは必ずやる」(国会答弁)……このメッセージだけ聞いていたら、なんとかしてくれるのではないかと期待してしまう。

 

 では、その後、政府はどのように動いてきたか。総理が最初に能登半島現地を訪れたのは、発災から13日後の1月14日。総理はまず空から被害状況を視察。空からでも被害の規模を把握することは重要だ。1月といえば予算時期なので、能登半島震災に対して国がしっかり予算を付けて復興していくことを約束し、その予算額の規模が被災地への力強いメッセージにもなる。だから総理が事前に現地を見ることは重要なことだ。

 

 では、13日後の現場視察は早いといえるのか? 他国のトップが大規模災害発生時にいつ現地入りしているかを見ると、2011年2月のニュージーランド・クライストチャーチでの大地震では同国トップは発災当日に現地入り。台湾南部地震(2016年2月)でも、台湾政府トップは当日に現地入りした。

 

 インドネシアでは、「サイクロン」台風(2021年4月)で発災4日後。同年11月の西ジャワ州の地震では発災翌日。同年12月のスメル山噴火では3日後に大統領が現地を訪問している。

 

 フィリピンのスーパー台風(2021年12月)でも3日後。トルコ大地震(2023年2月)では2日後。ブラジル・サンパウロ州の洪水(2023年2月)では翌日。同年のイタリア北部の洪水では4日後にトップが被災地入りしている。

 

 能登震災では岸田前総理が現地を視察したのは13日後。もしかすると日本海は風が強いので、天候不良でヘリが飛ばせないこともあったのではないかと思い、国交省に問い合わせると、1月1日から14日までの間にヘリで飛べる状態でない天候だったのは3日、7日、13日だけ。それ以外は飛行可能だった。「頑張りましょう!!」じゃなくて、お前はこれまで何をやってきたのか? という話だ。

 

 被災地では停電や断水も起きており、食事の提供が必須となる。だが、能登半島先端の珠洲市で自衛隊が初めて炊き出しをおこなったのは1月6日。それも100食。7日は470食、8日は570食だ。一方、珠洲市で必要な食事数は1日当り7500食(2月時点)であり、提供数が圧倒的に少ない。もっと酷いのは隣の能登町で、初めての自衛隊の炊き出しは1月28日、提供数は300食。不足分は、ボランティアやNPOが力を合わせてなんとか乗り切っていた状態だ。

 

 能登の6市町は国土面積の0・45%しかない。それさえも救えないのであれば、今後、南海トラフ地震や首都圏直下地震が来たときにどれだけの人が見殺しにされるのか? という話だ。この数字がすべてを物語っている。

 

 私は、すぐにでも自衛隊を投入して食事の安定的な供給体制を作ることをずっと訴えてきた。「民間のボランティアがあるじゃないか」といっても、民間は使える時間や資金が尽きてしまえば終わりだ。当たり前のことだ。頑張ることができるのは国だ。自衛隊は20万人以上いる。なぜもっと投入して人々を守らないのか。

 

 能登の被害は大きすぎて補正予算が必要だ。補正予算とは、本予算に足りない予算を新たに付けるものだ。次年度の本予算は年始めに審議が始まるが、予算編成の過程ではまだ地震は発生していなかったので、能登半島地震に関する予算は1月に提出される2024年度予算のなかには含まれていない。そのため新たに補正予算としてプラスする必要がある。

 

 過去には、同じく1月に発生した阪神淡路大震災(1995年)では、本予算と補正予算の審議を同時並行で実施し、約1カ月後には補正予算として1兆223億円が付けられた。今回の国会ではそれはおこなわれなかった。政府は「予備費でいく」と。

 

 そこで、なぜ野党は戦わないのか。与党が何をいおうが関係ない。目の前で苦しんでいる人たちがいて、そこに必要な予算を補正で付けないなどありえない。絶対に戦うべきところだ。なのに「本予算を通したければ、被災地のための補正予算を組め!」とすらいわなかった。その程度だ。

 

 今になって、立憲民主党代表に交代した野田さんが「補正予算が必要だ」とかいい出している。そんなこともやらなかったのがお前たちなのだが…といいたくなる。酷い話だ。

 

 自民党だけが被災地を切り捨てているわけじゃない。もちろん、さまざまな質問の機会に「補正予算が必要だと思いますが、総理いかがですか?」というやりとりは各党あった。だが、それを予算委員会のなかで理事会の協議案件にまで持ち込んだのは、れいわ新選組だけだ。しかも後で、立憲民主党の者から「そんなものは無理だから降ろせ」といわれた。「自民党が嫌がることだから、それは形にならないんだから要求したってしょうがないだろ」「パフォーマンスでしようとすんな」とまでいってくる。狂っている。こんな輩は絶対に許さない。誰がいったのかは一番効くタイミングで暴露する。

 

裏金も真相究明されず

 

 山本 裏金問題に関しても、自民党議員の4分の1が裏金をネコババして泥棒していたわけだが、その泥棒が作った法案が150日間の通常国会のなかで全部通っていることが問題だ。これも野党は徹底抗戦せず、裏金問題は追及するが、それとは別の法律は素直に審議に応じる。法案提出者のなかには裏金ネコババ議員も入っているのに、その問題の真相がしっかりと究明されなければ他の法案も通すわけにはいかないというのは当然のことだ。私たちはそれを主張したが、彼らはそういう戦い方は一切しない。

 

 本予算の審議は衆議院で粘らなくてはいけない。政権側はなんとしても年度内に予算を成立させたい。それを逆手にとって、数が少ない野党であっても唯一、力を発揮できるのは、この予算を人質にした交渉だ。30年間の経済災害で今苦しんでいる国民のための減税とか、それに加えて能登の人々にしっかりとした補正予算を付けることなどを勝ちとったうえで予算を成立させるなら話はわかる。それができないなら徹底的に戦うべきだ。年度内になんか予算を通す必要はない。本予算が通らなくても国は回る。暫定予算といって必要な経費は別に出るのだから。

 

 なぜ今苦しんでいる人たち、能登の人々のために戦わないのか。それよりも「裏金ガー」といっている。裏金問題も最悪なことだが、こちらは人の命と生活がかかっている。予算案は衆議院を通過して参議院に回されるのだが、実は今回、予算案の衆議院通過までの時間はこの4年間で最も短かった。これが野党側から与党側へのアシストなのだ。こんなことは、よほどマニアックに国会を監視していなければ、わからない。

 

 そのような者たちと、どのように「共闘」すればいいのか。彼らは反対の立場を維持しながら自民党にとって有利な環境を作るだけだ。「野党共闘」とは、私たちの候補者を減らしてでも「あなたたちが勝って、数を増やしたうえで、与党と対峙していく中心になってください」と託すものだ。私たちは選挙でしか数は増やせないのだが、それでも消費税5%減税を政策に据えるというので、4割の候補者を下げたのが2021年の総選挙だ。だが選挙のときは猫なで声で近寄ってきても、選挙が終わったらびっくりするくらい上から目線でてのひらを返す。

 

 しかも、先述したように過去4年間で最短の時間で予算案を通したにもかかわらず、一丁前に戦う振りだけはする。たとえばフィリバスター(議事進行を遅延させるための長時間演説)。壇上に上がって、本来なら15分、20分で終わらなければいけない演説を2時間も3時間もするというようなことだ。

 

 立憲民主党は3月1日の予算案採決を阻止するために2時間54分のフィリバスターをやった。身内で盛り上がっているが、それまでの経緯やその中身を見れば、これこそパフォーマンスだ。その3月1日夜、立憲の安住国対委員長(当時)はテレビのインタビューでこうのべている。「本気でやっぱり戦うときは、こうやって戦うということを私はやっぱり貫徹したい」。

 

れいわ新選組の街宣資料より

 なんのことかわからないが、いよいよ本気になるのか? と思いきや、翌2日の昼過ぎには予算案の採決に合意。そして「もう少し頑張りたかったが、自民党との間である程度とれるものはとったので“この辺だ”と判断した」(安住国対委員長)などという。普段と変わらないものをとっただけで、一体何を貫徹したというのか。

 

 共闘とは共に戦うということだ。戦わない相手とどうやって共闘するのか。彼らは選挙の時だけそれを口にし、自分たちが浮かび上がるために私たちを救命具扱いする。私たちが候補者を立てることによって、自分が1万票でも減れば選挙区で勝てなくなるという恐れが出るので、それを回避するため「野党共闘」の名の下に調整したいだけなのだ。

 

 2021年の総選挙で「消費税5%にする」という約束をもらったので私たちは4割の候補者を降ろしたのだが、この政策すら後に撤回されることになる。民主党時代には「消費税増税は4年間やりません」と国民に嘘をつき、今度は「消費税5%」を野党共通の政策にするといったが、立憲の枝野元代表は「そんなことをすればハイパーインフレが起こりかねない。今減税するというのは絶対に禁句だ」などと、経済オンチ丸出しのことをいい出す。永田町の経済オンチの中では5本の指に入る人だと思う。非常に困った人たちだ。

 

 「自民党を倒すために力を合わせろ」という気持ちはよくわかるが、自民党と対峙するものが自民党とほとんど変わらないとか、自民党劣化版とか、自民党をコピーしたうえでリベラル風味のふりかけをたっぷりかけているようなものではまったく意味がない。

 

 そして私が1人で牛歩をやれば、与党だけでなく野党からも誹謗中傷が飛ぶ。彼らは悪法が出るたびに何かしら街頭でマイクを握り、口を揃えて「こんな悪法は絶対に廃案だ!」「最後の最後まで戦う!」と叫ぶ。ところが法案採決時に最後までバカみたいに牛歩で抗っているのは私1人だけだ。有権者との約束はどこへいったのか。戦うふりをして机の下で手を握っていることがバレるのが嫌だから、抗う私に怒りをぶつけるのだ。

 

 牛歩をする私にわざと体当たりして「お前のせいで電車に間に合わない」と怒鳴る議員もいた。ざまあみろだ。この国に生きる人たちのために戦うこと以上に大事な用事が政治家にあるか。与党も野党も茶番なのだ。だから、この国の停滞は自民党だけのせいじゃない。腰の抜けた野党も私は許せない。私はもう一度あの民主党の後半戦みたいなこと、つまり菅直人、野田佳彦の時代の民主党みたいなものができて、国民を裏切るようなことになれば、その先また自民党が政権をとり戻し、さらに政権を奪取することは非常に厳しい状態になると考えている。

 

本気で戦う勢力を育て茶番国会に風穴を

 

衆院本会議の首相指名投票時にプラカードを掲げ、能登補正予算や裏金問題を放置したまま解散へ進む国会運営に抗議したれいわ新選組の大石晃子議員(1日)

 質問(北九州市) 最後に熱い入魂を一言お願いしたい。

 

 山本 「世の中は変えられない」のか? そう思わされているだけだ。世の中は変えられるシステムになっているのに、変えられないと勝手に思い込む人が増えれば増えるほど、世の中は変えられないものになっていく。

 

 そう考えれば、50%近くの人が票を捨てている社会のなかで、その多くの人たちが「やっぱり自分の力がなければ世の中は変わらないんだな」というシンプルな現実に気がつけば、社会は変えられる。そんな難しい話ではない。

 

 逆にいえば、「世の中を変える? あなたが?」みたいな冷笑系のマインドにあまりにも洗脳されすぎている。恥をかきたくないとかいろんな思いで、世の中を変えるなんて無理だ、自分の生活だって安定しないのに社会を変えるなんて…みたいな思いになってしまう。騙されてはいけないということだ。あなたが諦めることを一番喜んでいる奴らがこの国を壊してきているのだから。

 

 一人でも多くの人たちが諦めたり、考えることをやめることによって、この暴走はさらに激しくなっていく。行き着く先は戦争しかない。国を草刈場にしていくことに関して、金もうけの究極の手段は、他国を草刈場にするか、国内を草刈場にするかだ。この国は30年国内を草刈場にしてきた。楽して簡単にもうけられることに気がついた資本家たちが、コストで一番大きい人件費を削るために働き方を壊した。不安定な働き方にして、安い給料で働かせ、責任持たなくていい労使関係が一気に広がった。

 

 1990年から非正規雇用の労働者が増えたことによって、人々の購買力が弱まり、社会に回るお金も減っていった。社会全体の実質賃金も右肩下がりだ。一部の者たちだけが目の前の金もうけのために社会を壊しながら、結局は自分たちも商売しづらい状況を作った。タコが生きるために自分の足を食べるような状態だ。こんなブラックジョークみたいなことを実社会で実験することさえも政治の力でできてしまう。これが政治の力だ。

 

 だとすれば、その力をもって全然違う国を作ろう、ということだ。少なくともこの国には勤勉な国民がいて、世界の頂点を目指すべくさまざまな産業が特に製造業を中心に広がった。その下地がある国で、30年の不況の間に供給能力が潰されていくようなことを政治はどんどん進めた。物が売れなければ、それを生産する力も廃れていく。30年をもってこの国をこれだけ壊した者たちから、その力をとり戻そうということだけだ。

 

 1人でも多くの人たちが「そんなこと無理だ」と思ったら、もうその時点でゲームセットに近いのかもしれない。でも私は諦めたくない。何をどうやっても勝てない勝負なら、私もこんな面倒くさいことはやっていない。連日街宣を3時間もやって、夜はここにきておしゃべりを披露するほど落ち着きのないおじさんはいない。それでもそれだけのエネルギーをもって、皆さんに伝えたい、皆さんと一緒にやりたいと思うのは、こんなチャンスはないからだ。

 

 この仕組みがあるうちにみんなで力を合わせたい、この先の地獄は絶対止めてやるからな! という思いで溢れているから気力だけでやれてしまう。

 

 おそらく世の中がここまで極まってくると、世の中を変えるチャンスが残っている状態というのはそう何回もない。そう考えると、この数年間にこの国の舵を変える状態にしていくことが非常に重要だと思っている。

 

 いつまでも選挙制度があるわけではない。あと4、5年の間に強い野党を作ったうえで、そのときの権力者と対峙する状態にまで持っていくしかないと思っている。私はそれができると思っている。なぜなら、今は8人しか議員はいない。私たちだけで政権与党になることはかなり無理がある。8議席からいきなり250議席、300議席もとれるわけがないからだ。だから、まず20議席くらいの規模を目指す。中規模政党になってキャスティングボートを握る。8議席なら「とっとと潰せ」で終わるが、20議席をこえると潰せないから、「あいつらをとり込んで前に進めようぜ」みたいな動きが出てくる。

 

 そう簡単にとり込まれない。そこではこちら側の要求も呑まなくてはいけなくなる。それが消費税の減税(廃止)であったり、さまざまな要求を突きつけていくことが可能になるのは、20議席をこえた段階からだ。それは決して無理なことではない。

 

 野党のなかで一番弱い経済政策、さらに一番弱い国会での戦いに「芯」を入れる。徹底的に戦って、政府の膿、つまりこの国で何をやろうとしているのかということを国の隅々にまで伝わるくらい、マスコミもとりあげざるを得ない状況を国会のなかで作る。手打ちして採決に応じればその話は終わるのだから、格好悪くても体を張って粘る。

 

 2018年の移民法(改正入管法)で外国人労働者の受け入れを拡大したことにより、賃金の下降圧力が強まった。コストカットのために安い労働力として外国人を大量に入れるわけだから当然だ。それによって労働環境が悪化しても外国人が悪いワケではない。それをおし進めた経済界と自民党、その他の政党が一番悪いのに、外国人に怒りをぶつけるのは矛先を間違えている。そんな法律さえもあっという間に成立した。自民党だけではなく、野党も委員会質疑まではやっても最後は採決に応じて粛々と進んでいく。「最後まで戦う!」というのなら、1カ月でも2カ月、3カ月、国会を不正常化させるくらいのことをして、マスコミが法案の中身を報じ、全国民が関心を向けるくらいの状況を作らなければならない。そうやってようやく政権交代の下地ができるのだ。

 

 それなのにぬるっとテーブルの下で手を繋ぎ、「次の選挙で数を増やすしかない」「これ以上は戦えないんだ」みたいなことをずっといい続けているのが今の野党だ。自分の地元で「この法律が通るのは仕方ない。私たちは数が少ないんだから」と説明するのか? だ。できるわけがない。

 

 徹底的に戦うという勢力はみんなで育てるしかない。与野党はこれまでの歴史のなかでずっと仲良しクラブでやってきたのだから、この国会の中に緊張感を作り出すような勢力を拡大させるためには、そんな勢力をみんなで育てるしかない。今それに該当する政党は、れいわ新選組しかない。なぜなら私が国会の茶番に嫌気がさして自分で旗揚げし、空気の読めない人たちを大量に送り込むという決意をした人間だからだ。この拡大に力を貸してほしい。

 

 私自身は議員であるかないかなんて、どっちでもいい。本来政治家はそれくらいの気概がなければいけないのだが、残念ながら「職安」として議席が利用されているのが永田町の現状だ。そんなものはぶっ飛ばしていかなければいけない。

 

 完璧に人々の側に立つという勢力をみんなで育てていくことだ。私もご存じのように完璧ではないし足りないところばかりの人間だが、ここまでの気概と覚悟を持ってやると腹が決まっている人間を利用するしかない。あなたの手先として動かしてほしい。経団連や統一教会が自民党を動かすように。

 

 この閉塞感だらけの社会は一刻も早く変えたい。誰が変えるか? 政治家が変えるのではない。政治家の飼い主である、この国のオーナーが変える。この国のオーナーはあなただ。力を合わせて、奪われた30年をとり戻し、奪われた所得をとり戻そう。

 

 30年間、一部の者たちがこの国の人々から搾りとって過去最高益をあげてきたのなら、次はみなさんの番だ。この国に生きる者たちの番だ。嫌な社会はさっさと終わらせて、みんなで将来に希望が持てる楽しい日本を作っていこう。そのために背中を押してもらいたい。

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