れいわ新選組(山本太郎代表)は、増税反対デモとあわせて街頭や屋内での対話集会を継続している。3月末には大阪市、尼崎市、西宮市、横浜市、茂原市、甲府市、4月からは調布市、福岡市、筑紫野市と全国を北へ南へ往復しながら毎週開催。各地の参加者からは、自民党裏金問題、物価高や災害の対応、インボイス制度導入後の失業、社会保険料の負担増、2024年問題による運送業者への影響、教育無償化の道筋、介護・保育の低賃金、安全保障問題などさまざまな質問が飛び交い、既存政治への幻滅とともに有権者自身の手で新しい政治刷新の機運を作っていく意欲が渦巻いている。直近のおしゃべり会での山本代表の質疑から、今国会で動いていることを中心に内容を紹介する。
選択肢がないなら創るしかない
質問 自民党の裏金議員が逮捕されず、国税庁も動かないのはなぜか?今後同じことがくり返されないための解決策は?
山本 究極的には、検察や国税などに期待する時点で他力本願なのかもしれない。もちろんそういう機能をもっている者たちがちゃんと仕事をすればいいのだが、これだけ国のあり方が歪め続けられてきた日本の国のなかで、そのような者がちゃんと機能することを期待することは時間の無駄なのかもしれない。もちろんプレッシャーをかけることは必要なことだ。要するにコケにされているのは、この国のオーナーである有権者であり、国民が一番怒らなければならないということだ。
昨年末あたりから裏金疑惑が騒がれ始め、今年に入ってからはずっとテレビや新聞を賑わせ、もうテレビのコンテンツとして飽きてしまっている人も一定数いるだろう。それではまずい。国民の怒りがピークに達して爆発している状況なら、政治はそれを一番恐れる。そういう運動を作っていかなければならない。
国会議員という、ある意味での「下僕」をジャッジできるのは有権者の皆さんだ。捜査機関の腰が引けている問題もあると思うが、そもそも「選挙に勝っている」というのは国民の負託を受けているということであり、捜査機関が大きく踏み出せないという逃げ口がある。「きちんとケジメをつける」ということを有権者側がやりきるかどうかにかかっている。
自民党のデタラメは今日始まったことではないが、自民党以外の政党、政治家を育てるということをやってこなかった。「自民もダメだが、野党も大概だろ」ということで思考停止し、政治を動かす有権者としての責務を放棄すれば政治は暴走していく。私自身がそうだった。そこから脱却し、今自分ができる最大限のことをやるしかない。
30年間この国を食い潰し、一部の政治家と一部の資本家でこの国に生きる者たちを不安定にし、貧しくし、エネルギーすら奪って将来の夢も見れない国にしてしまった。本当なら打ち首ものだ。ここまでコケにされて「なめるのも大概にしろ!」「我慢も限界だぞ!」と、政治的に打ち首にしなければいけない。
全国で巨大デモが起きるくらいの形になれば、おそらく何人か辞職せざるを得ない状況になっていたはずだ。そういう意味では、この国のオーナーである有権者の怒りを可視化できるようなものが本当は一番必要なのではないか。「デモなんかやっても意味ないだろ」みたいに思われる方もおられるだろうが、国民の怒りを可視化することは選挙以外でもやれることであり、そのような行動を拡大することは非常に重要だと思う。
地方自治法の改定 被災地支援でさえ冷酷
質問 地方公務員だ。地方自治法が改定されようとしている。大規模災害時や感染症蔓延時など国民の安全に重大な影響を及ぼすときに自治体の事務に国が指示を出すことは、住民の声を聞いて地域の実情に応じて考えようとすることを破壊することではないか?
山本 端的にいえば、地方自治法の改定には反対だ。そもそも国と地方は別であり、地方自治体は、地方自治として自分たちで住民の命を守るさまざまな施策を考える必要がある。もちろんベースには国の法律や法令があるが基本的に別だ。
もう一つの問題は、地方自治体に自立してやっていける体力があるところが少ない。地方が経済的に自立できるだけの国全体の成長や産業の育成を国自身が怠ってきたことのツケが地方に回っている。
逆にいえば、国がカネで地方を買うことを続けてきた。国が地方の足りない財源を補填するのは当然の責務で「カネは出すが口は出さない」が基本であるはずなのに、沖縄県を例に考えてみても国から必要な予算が充当されることがない。基地問題などで国と対立しているからだ。逆に懲罰として予算が減額されることも起きている。「国のいうことに従うなら出すが、従わないなら絞る」という不当なコントロールが続いているのだ。
地方の事務などさまざまなことに国が口を出し、国が上位に立ち、地方自治体を下部組織のように操る要素は絶対に排除しなければならない。
一方、能登半島地震の被災地について考えてみてほしい。石川県知事(馳浩元自民党国会議員)が「一生懸命やっている」というならばそうなのかもしれないが、その割に住民は非常に過酷な苦しみのなかにある。私としては危機管理ができていない知事だと思うのだが、たとえばそういう時には国が先回りしながらさまざまな支援をしなければいけない。しかし、知事も国もその支援についてものすごく冷たいのだ。
国会でも指摘したが、奥能登地域における食料の安定供給がまともになされていない。たとえば珠洲市では、1日3食のうちの1回分の食事に必要な最低量が2500食であるにもかかわらず、自衛隊が提供する食事は1日で1600食程度だ。圧倒的に足りない。政府は「民間の力を借りて…」というが、少なくとも衣食住に関しては基本的に国が供給することがベースになければむちゃくちゃなことになる。
珠洲市での自衛隊の炊き出しは、発災5日後の1月6日に初めておこなわれ、その数はわずか100食。もっとひどいのは能登町で、1月28日に初めて炊き出しがおこなわれ、提供されたのはたった300食。地元住民や支援するNGOは発災直後からずっと「炊き出しをしてくれ」「供給を増やしてくれ」と要求してきたのに、その声が届いてやっと炊き出しが始まったのが27日経過してからだ。県知事も国もポンコツなのだ。食べ物、住まい、トイレ…人間の生活にとって必要最低限の支援のすべてがボロボロの「プッシュ型」に陥っているのに、今、それさえも打ち切って「そろそろ自力でやってくれ」に移行しようとしている。
そんな国が「お前ら地方に何かあったときは、俺たち国がリードできるように地方自治法改正だ」といっている。危ないとしかいいようがない。
国と地方はそれぞれが独立したものであるべきだが、災害対応などの知見が積み上がっているのは国の方であり、初めての被災でパニックになる自治体に、人・物資・資金を出すことを大々的にやって一刻も早く地域の生活が復旧できるようにサポートするのが国の役割だ。今本気でやれない奴らが「法改正したから本気でやれる」という話であるなら、あまりにもポンコツすぎて本当に危険すぎる。地震や津波から命を守れた人たちが国の政策によって命が絶たれることに繋がるのではないかと危惧している。
機密保護新法の本質 自滅的な対中強硬路線
質問 先日国会で審議入りした身辺調査法案(セキュリティークリアランス制度の導入)とは何か?
山本 機密保護のための身辺調査といっているが、今一番身辺調査が必要なのは自民党議員ではないか。あれだけのネコババがばれるのが最近だったということ自体、そもそも身辺調査の確度が低すぎるのではないか。
一方、この法案でやろうとしていることは、軍事において武器の国内製造をさらに拡大し、海外に買ってもらえる確度の高いものにするための共同開発を推進するものだ。そのためにはさまざまな経験を積んだり、知見を入手しなければならず、そこで得た秘密情報が守れる体制がお互いになければ共同開発が難しい。だからそこへのセキュリティーを強化するということだ。
狙いは何かといえば、要するに米国との関係だ。今動いている戦闘機の共同開発にはイタリアやイギリスも入っているが、とくに米国は日本側に武器を開発していく幅をさらに広げてほしいのだ。ウクライナでの米国の戦略は「オフショア・バランシング」(直接兵は送らず、同盟国に武器だけ送って支援する)で、それによって戦争需要を享受し、自国を潤わせるというものだ。だが後半戦は弾切れ(供給力不足)になってしまった。米国としてはこれでは困る。覇権国家として二方面、三方面で脅威を示さなければならず、そのためには日本にも兵器を作らせる必要が出てくる。
日本は、長年「白人の高級クラブに入りたい」「名誉白人にしてほしい」と願ってきた。そのために隣国ロシアとの関係が悪化しても、欧米の経済制裁に参加してきたわけだ。さらに「お前たちは情報を守れることを示せ」という米国の求めに応じて法整備をし、機密保護法の枠を民間企業にも広げて、民間人の身辺調査もやる。夢に見た「高級会員制クラブ」に入れてもらうための努力の一つだ。
これに乗っていけば、欧米に背中を押されて、ロシアと戦ったかつての日露戦争を彷彿とさせる構図になっていく。アジアの緊張を高めるためにみずから進んで貢献していくというものだ。反対だとしかいいようがない。
質問 大石議員がセキュリティークリアランス制度に反対する質疑をしていたが、これは外資によるメガソーラー用地買収や自衛隊基地への電力供給などの危機管理に対応するために必要な法案ではないか?
山本 これは2013年に成立した特定秘密保護法の「経済安保」情報版だ。米国と中国の関係性のなかで、昔は米国は中国に対して関与する政策をとってきたが、オバマ、トランプ、バイデンになってから対中強硬路線に入っていく。
そこで軍事だけではなく、経済的にも対抗していくために、「経済安保」にかかわる機密情報に触れるものを国として「適性評価」して保護していくという制度だ。これは中国に対してより強硬に対峙する姿勢を強めていくことを日本がアシストすることになる。
米中の摩擦があるなかで、日本が軍事と経済両方で対峙していけるように西側諸国と連携していくということになる。でも冷静に考えてもらいたいのは、西側諸国は中国から遠い。一番近くにいるのは日本だ。遠くにいる彼らは、アジアで緊張状態が生まれるだけで金もうけに繋がる。軍事的緊張が高まるだけで株価が上がることはウクライナ戦争を見てもわかる。一線をこえて戦争になっても西側諸国は実質無傷で済み、逆にビジネスチャンスが生まれるのだ。
西側諸国と足並みを揃えながら、自分の近場で「敵国」を想定していくことは、かなりの自爆行為だと私は思っている。今回の「経済安保」情報の保護を名目にした法律は、その全体のなかの一部の話でしかない。
対中強硬路線のなかで西側諸国と足並みを揃えることで、「ファイブ・アイズ」(米国、英国、豪州、カナダ、ニュージーランドの機密情報共有の枠組み)と呼ばれるアングロサクソン・チームのなかに入りたい、「シックス・アイズ」になりたいという思惑が政財界には以前からある。
だが、それは大きな勘違いだと私は思う。なぜなら日本は奴隷だからだ。残念ながら米国との関係性が変わらない限り、日本は植民地のままなのだ。「NATOと一体となって」「肩を並べて」といくら夢想したとしても、向こうはそんなことは思っていない。
なによりも日本の国益を守るためには、西側と手を組みながらアジアの国々で緊張を強めていくようなことをやってはいけない。もちろん日本国内で生産される工業製品や食品も含むあらゆる必需品をすべて国内で調達できるようにすることが一番の理想だが、現実はそうはならない。
たとえば、スーパーコンピューター「富岳」でおこなったシミュレーションでは、中国からたった2カ月間、部品など(金額にして1・4兆円分)が調達できなくなっただけで、国内で約53兆円分の生産額が消失する。これは「モノが作れない」ということだけでは終わらない。生産ラインで非正規労働者から首を切られたり、輸送やその他さまざまな関連産業に影響は及ぶ。53兆円の損失で済む話ではないのだ。
つまり揉めたらいけない、煽りに乗ったらダメだということだ。では、どうするか? 今までやってこなかった外交をやることだ。西側と一緒になって中国包囲網をつくることに乗っかっていけば引き返せなくなる。今でさえ43兆円もの軍拡を進めている。このままでは緊張がさらに高まる。ソーラーパネルがどうしたという次元の話ではない。関係するもっと大きな視野で見れば、覇権国家の米国が台頭する中国をさらに押さえつけることで生まれる緊張感のなかで、日本が最前列で駒として使われるということを強化するようなことであり、絶対にやってはいけないのだ。
日本は米国の顔色をうかがって、まともに外交をやってこなかった。北朝鮮のミサイル問題でも、日本政府は中国経由で文句をいうだけで、北朝鮮とまともに対話交渉したこともない。その一つをとってもいかに外交をしていないかということがわかる。
今必要なことは、西側と連携を強化して中国包囲網を築くのではなく、お互いに「上客」である中国と日本は、その関係を構築していく方向に戻らなければいけない。日本と中国はお互いに引っ越しできない隣国だ。誰にもこれは変えられないのだから、うまくやるしかない。この法案は、緊張状態が加速し、戦争にもなりうる状態を補完していくための法案だ。
それになぜ野党第一党が賛成しているのか? だ。本当なら与党は特定秘密保護法をさらに拡大した法律をつくりたかったのだろうが、2013年に野党第一党だった民主党は特定秘密保護法に反対しているので、今回、特定秘密保護法にドッキングさせる形で法案が出た場合は、野党第一党は反対するしかなくなる。だからあえて分離し、違うもののように見せている。そういう政治上の駆け引きもあるのだろうと思う。その思惑の背景にどういうものがあるのかを見なければ、法案の本質が見えない。大石議員は一番嫌な所を突いたのだと思っている。
「備え」という詭弁 国民の安全保障は放置
質問 地方自治体議員の呼びかけで、九州全域の超党派議員による「戦争だけは絶対にダメだ」という有志の会をつくろうとしている。れいわ新選組にはそういう危機感はあるか?
山本 おそらく政党では1、2を争うほど、そういう危機感をもって活動している者たちだと思っている。そのような地方自治体議員の皆さんのとりくみもすばらしいと思う。
ただ問題は、戦争はビジネスとしておこなわれる。43兆円の軍拡もビジネスだ。米国から武器を買うという宗主国への献上であるのと同時に、国内でも経団連が以前から「武器をつくらせて輸出しろ」とずっと要求し続けている。これは自分たちの票とカネで繋がっている者たちへのご恩返しとしておこなわれる。
それらを正当化する者たちは、表立って「戦争をやる」とはいわない。「もちろん戦争には反対だ」というが「備えは必要だ」となる。「わが国をとり巻く安全保障環境は厳しさを増し…」とくり返しいわれ、ウクライナ・ロシア問題などが起きると「やっぱり備えはより強固なものにする必要がある」という民意が醸成されていく。そちらに誘導されていく。財界に支えられているメディアも当然それに乗っかっていく。
先の戦争では、日本国内で暮らす人が身近に戦争を実感したのは、本土空襲が始まってからだという。それはもう戦争の終末期だ。頭では戦争をしていることを理解していても、兵士は遠方へ、遠方へと出て行っていたから、多くの人は戦争を身近に感じることがなかったということだ。ミサイルが飛んでくるようになってから気がついたのでは遅い。だから今、政府や財界が暴走し、最後の大きな草刈場として、そういうものを動かそうとしているということに危機感をもってもらうことは非常に重要なのだ。
先ほどのセキュリティークリアランス法案でも、一般的な法案質疑であればその中身の不備などを細かく指摘していくのだが、少ない国会での質問時間(れいわの持ち時間)では、まず大きな全体像から問題を組み立てていくようになる。
この国は、戦争の準備をやっている場合ではない。そもそも一番の安全保障が守られていない。この国に生きる6・5人に1人が貧困状態、食料自給率が4割を切り、種子の自給率も含めると1割を切るというのは国として終わっている。日本海側の沿岸に原発が剥き出しで林立し、通信部門では今後、NTTが持つ40兆円もの資産を外資も買える状態にしていくという。つまり、何の安全保障も考えていない奴らが、この国を切り売りしている最中にあるということだ。
戦争と聞いてもいまいちピンとこない人たちにも、その背景がくっきり見えるように一歩踏み出していかなければいけないと思っている。
NTT法廃止か 40兆円資産を民間へ切り売り
質問 3月から閣議決定された法案にはさまざまな悪法があり、通信インフラの根幹であるNTT法も廃止されようとしている。これでは国防や災害にも脆弱になる。どうやって政治で変えていくのか?
山本 この30年間、働く環境を壊され、負担が増し、生活するのもやっとだという人たちが大勢つくられてきた。「生かさず殺さず」の状態にして、みんなの政治に興味を持つ余裕さえ奪った。それをさらに拡大させた先にあるのは、一部の者だけに貢献するための社会だ。これは「公務員は全体の奉仕者であれ」と定めた憲法15条違反であり、その状態が30年続いているからこんな法案が次々と出てくる。
その責任は、それを前に進めた政治家たちにあるが、そのような権力を与えているのは誰かといえば、私も含む有権者だ。政治の世界に入るまでの私のような無関心な大人が社会を壊してしまったと思う。自分から変わらなければ、「政治がおかしい」とぼやいたところで何も始まらないのだ。
もちろんNTT法の廃止などやってはいけない。郵政民営化、国鉄がJRに民営化され、国営時代よりもサービスはよくなっただろうか? まず金もうけにつながらない不採算部門からどんどん切られる。JR北海道や四国でも利用者が少ない路線は次々に廃線。郵便局も週末は動かなくなり、田舎の郵便局は廃止された。経済効率優先で合理化を進めるので、サービスは二の次になり、株主への利益還元が第一の仕事になる。だから輸送や通信などのユニバーサルサービスはマイナスにしかなっていない。
そして今度は、NTTの資産を狙うということだ。国営企業を民営化して生まれたNTTは現在、NTT法により全株式の3分の1以上を国が保有している。NTTの保有資産は40兆円にものぼる。電信柱、電線、光ファイバー、地下管路、建物不動産、東京ドーム350個分ほどの土地など含めてすごい資産規模だ。通信事業は長く国営としてやってきたわけで、電話を引くときにはみんなから保険料を徴収した。そのように国民みんなから集めたお金でつくった公共の資産だ。
そのNTTへの国の関与を定めたNTT法を廃止し、国が保有する株式を売って完全な民間企業にしてしまおうとしている。役員の外国人比率を緩和したり、株主への利益還元率までも決める権限を与えてしまう。今回の法改正だけでこれらすべてを売り払うことは無理だが、次回に「NTT法廃止」というのが、法律の本則ではなく、付則に入っている。つまり今回これをクリアしたら、その先にはそれが待っているとみるべきだ。これは国民が怒らなければいけない。なぜならあなたの資産だからだ。
前例はいくらでもある。郵政民営化や国鉄(JR)民営化でどうなったか? 国営であれば、日本で暮らす人たちの移動や通信手段を奪うことは絶対にやってはいけなかったのだが、民間企業になると利益を上げるためにそれをどんどんやる。国として保証すべきインフラの民間への切り売り――その通信版をやるということだ。この動きに対しては、逆にNTT以外の通信会社が180社くらい集まって「やめてくれ」といっている。それほど日本の通信が不安定になり、外資グローバル資本に食われてしまうということが心配されているのだ。
最近、国会の中で「スパイ防止法が必要だ」という話もされるのだが、スパイ防止法ができれば、これまで米国やグローバル企業にこの国を切り売りしてきたスパイどもは捕まるのか? という話だ。もともとのスパイがつくる「スパイ防止法」とは一体何か? ということでもある。むちゃくちゃな話だ。
この地獄のような状態を変えるために一人で旗揚げした。有権者の無関心が、これを開けて通してしまう。50%が投票に行っていないのだから、まだ勝ち目はある。この腐った者たちに対峙していくうえで、その突破口として誰に力を与えるかという選択が問われていると思う。私たちとしては、その力を広げていくしかない。
れいわを突破口に 政局に地殻変動起こす
質問 次の選挙で最低でも与党議員を過半数以下にしなければ、このまま進んでいくことになる。どうするのか?
山本 30年かけて進んだ腐敗を1回の選挙でひっくり返すことは難しい。ステップ・バイ・ステップでしかない。しかし、山本1人から始まったものが、この4年で国会議員8人になった。これは社会を変えようとして動いた一人一人の力であり、前例のない快挙だ。だが700人いる国会ではまだ弱小勢力だ。その数を増やせるのは皆さんしかいない。一過性のものに乗っかって興味を持ったり、飽きたりしているような状態では勝てない。新しい政治家を、政党を育てていかなければならない。
自民党の与党であり続けようという気迫はすごい。その一方、野党第一党にはその気迫はない。自民党のエラーで自分たちの価値が高まっているだけ。それ以上でも以下でもない。それでは変わっていかない。
ひっくり返すまでの力を持つためには、自力をつけていくしかない。本当に人々のための政策を前に進めて、国会の中でガチ喧嘩していかなければダメだ。まずやることは野党の力をつけていくこと。野党に希望を持ってもらうこと。そのためには国会の戦い方を、今みたいに自民党に対して親切な進め方でやってもダメだ。ここ何年もひどい法律がいっぱい通っているわけだから、それに体を張って徹底的に抗っている奴らでなければ、国民に選択肢を示せない。
そうなるには時間がかかると思うが、まずは私たち(れいわ新選組)が数を増やして、野党の中で「あいつらを取り込むしかない」と思わせるまでにならないと本当に腰の入った闘いというのはできないと思っている。
たとえ今すぐなんとなく政権交代したとしても、そのしっぺ返しを食らうのは皆さんではないかとも思う。考えてほしい。民主党はどうだったか? 上げないといっていた消費税の増税、TPP、武器輸出だって民主党政権のときに前に進んだ。それを考えると自民党も立憲民主党も、もちろん維新も、それほど遠い存在ではない。みんな親戚みたいなものだ。
だから、そこに対してそれではダメだという旗をしっかり揚げていく必要がある。自民党強硬派から自民党穏健派的な野党に権力が委譲されたとしても、また皆さんに絶望、そのときにはもう立ち上がる気力も残っていないほど疲弊させられている可能性だってある。
だから遠回りのように見えるかもしれないが、れいわ新選組的な永田町の空気を読まない奴らの数を増やして、野党の中でしっかりした経済政策をもって闘い、政局に地殻変動を起こしていくしかない。だから次の選挙では2桁議席を狙うしかない。
誰もが人間の尊厳を守られ、そんな人生を送れるようにサポートするのが国であるはずだ。そのために政治があるのに、その力がまったく違うものに使われていることは誰の目にも明らかだ。この状況を諦めるのではなく、みんなの力で変えるしかない。おもしろい社会を一緒につくろう。新しいステージにみんなで進みたい。