広島市民の皆さん、全国各地、世界各国から広島に来られた皆さん。こちらは1950年代の峠三吉の時期の原点に返って原水爆禁止運動を再建することを目指している原水爆禁止全国実行委員会の宣伝カーです。
64年前、8月6日の広島、8月9日の長崎では、一発の原子爆弾で、瞬時に街頭の数万が消え、激しい火傷でのたうち回りながら二十数万人が死に、無傷の者も放射能障害でつぎつぎに死んでいき、六十数年たった今でもなお原爆症で苦しんでいます。殺されたのは女、子ども、勤め人、学生、年寄り、何の罪もない無辜(こ)の非戦斗員三十数万人におよびます。
アメリカの原爆投下は、戦争を終結させるためには何の必要もないものでした。それはソ連や天皇を脅しつけ日本を単独占領する目的のため、そして日本をアジア侵略の拠点にする目的のためでした。そのような周到な計画のもと、人類史上もっとも凶悪な兵器である原子爆弾を、アメリカだけが眉根一つ動かさず人間の頭上に投げつけ、日本人を犬ころか虫けらのように殺したのです。
今オバマ政府は「核のない世界を」と歯の浮くような言葉をいっていますが、実際には広島に隣接する岩国基地に核攻撃能力を持った空母艦載機を移転したり、日本全土にミサイル配備をさせたりして、アメリカ本土を防衛するための核攻撃の盾にしています。世界で唯一原爆を投げつけられた日本が、再びアメリカのために、あの悲惨な原水爆戦争の火の海に投げ込まれることを、どうして黙って見ていることができましょうか。
戦後の自民党売国政府のもとで、とりわけ小泉、安倍政府によって、日本社会はメチャクチャにされました。経済大国といっているあいだに世界でも有数の貧乏な国になりました。自殺者はこの10年で三十数万人となり、大戦争をやっているのと同じ様相です。その一方で、大企業は労働者を安上がりに働かせて100兆円を超える内部留保金をため込み、国民の預貯金などの金融資産は500兆円以上がアメリカ国債や金融派生商品などで巻き上げられ、焦げ付く羽目となっています。そのうえに、アメリカの国益のための戦争に日本を駆り立てています。「平和な国」といっているあいだに、今やいつ戦争が始まってもおかしくないところへきました。
日本はまぎれもなくアメリカの植民地的な隷属の鎖につながれています。日本の支配勢力はアメリカの代理人となって地位を保ち、民族的な利益を根こそぎ売り飛ばしています。そのような属国の構造は、原爆投下に始まるものであり、核配備を中心とした在日米軍基地による軍事支配が根幹となっています。日本が滅亡に向かうのではなく、平和で豊かな国になるためには独立しなければならず、「アメリカは核を持って帰れ」の一大国民運動を起こすことが、今日ほど求められることはありません。
皆さん。現在オバマ大統領が「核廃絶するといった」といって、元社会党代議士の秋葉市長が、原爆投下の謝罪もしないのに広島に招待するといったり、平和団体と称する人たちもオバマ大統領をもてはやしていますが、これはどういうことでしょうか。オバマ大統領は、「アメリカは最後まで核兵器を持つが、よその国が持ったら制裁する」といっています。それがどうして「核のない世界」なのでしょうか。核兵器が拡散しているのはアメリカが核で恫喝していることが原因ではありませんか。また核兵器の数が減れば核戦争の危険が減るものではありません。歴史の事実は、アメリカだけがたった二発しかない原爆を保有しているときだけこの広島と長崎に投下されたのであり、何カ国も保有したあとは使用されていません。
大多数の広島、長崎の被爆市民は、オバマ大統領の口先の言葉で踊るようなことはありません。私たちは今年も、広島、長崎の数万人の被爆市民のなかに入って意見を聞いてきました。私たちは、広い大衆的な基盤に立ち、政党政派を超えた全国民的規模の原水爆禁止運動が大きな力となって登場することを確信しています。
私たちは世界中で核兵器の製造、貯蔵、使用を禁止することを要求します。そのためにはアメリカが率先して核兵器を廃絶しなければなりません。「アメリカは日本とアジアを再び核戦争の戦場にするな」「アメリカは核を持って日本から帰れ」の広島、長崎の痛切な声を全国に、全世界に届けましょう。
現在、原爆展を成功させる広島の会によって、袋町の旧日銀裏、市民交流プラザで、第八回原爆と戦争展が七日まで開催されており、広島の被爆市民と全国、世界の人人との交流がおこなわれています。
原水禁全国実行委員会は、8月6日午後1時から、中区大手町、県民文化センターで原水爆禁止広島集会を開催します。皆さんのご支持、ご参加をよろしくお願いします。