4年に1度の統一地方選挙の口火が切られた。統一地方選は、都道府県の知事・議員、政令指定都市の市長・議員を選ぶ「前半戦」(9日投開票)、それ以外の市町村と特別区の首長・議員を選ぶ「後半戦」(23日投開票)があり、全国の地方政治の現状が一斉に可視化される。れいわ新選組(山本太郎代表)は、発足以来初挑戦となる統一地方選に75人の候補者擁立を表明し、課題であった地方の足場固めに挑む。その行方が注目されている。
れいわ新選組が統一地方選に擁立する公認候補者は、北海道から鹿児島までの75人(4月3日現在)。公募の中から選出した。別に党推薦候補者が17人いる【地図参照】。
すでに3月31日に告示されている前半戦(9日投開票)では、北海道・札幌市議選(西区)にすぎやまえみこ(元介護福祉従事者)、埼玉県議選(南第2区)にほんだまさき(会社役員)、神奈川県・横浜市議選(磯子区)にもりた洋平(元会社員)、静岡県議選(伊東市)に犬飼このり(元伊東市議)、愛知県・名古屋市議選(千種区)にかねしげ政玉(元内閣府共生社会担当調査官)、京都市議選(右京区)に安持成美(ライフプランナー)、大阪市議選(阿倍野区)にかばた健吾(元介護福祉業従事者)、大阪市議選(東成区)に野入俊二(介護・障害者福祉事業所経営)、福岡市議選(東区)にとみなが正博(元福岡市議)の9氏が公認候補として出馬している。党推薦候補者は、千葉県議選、山梨県議選、広島県議選、鹿児島県議選、相模原市議選(南区)、神戸市議選(垂水区)に各1人ずつ。
16日に告示される後半戦(23日投開票)では、北海道4人、秋田県1人、岩手県2人、宮城県1人、福島県1人(別途9月のいわき市議選に1人)、茨城県1人、千葉県2人、埼玉県6人、東京都24人、神奈川県3人、山梨県1人、岐阜県1人、静岡県1人、愛知県5人、京都府1人、大阪府6人、兵庫県2人、奈良県2人、福岡県1人の合計66人。推薦候補は11人となっている。
元職や現職も含まれるが、多くは政治経験のない一般市民であり、れいわ新選組のボランティアとして草の根活動を続けながら、初めて政治の舞台に踏み出した人々だ。
3月下旬、統一地方選に挑むにあたり、れいわ新選組は「地方から国を揺らせ!」と題する声明とともに自治体選挙におけるマニフェスト(公約)を発表した。マニフェスト冒頭では次の様に呼びかけている。
* *
この30年、『官から民へ』『行政のムダを省く』というスローガンのもと、緊縮財政と小さな政府を目指す政治が続いてきました。そんななかで、大きなしわ寄せを受けてきたのが、地方自治体です。
財政を『健全化』させるため、中央政府は地方に配分する財源を減らし、社会保障の負担を地方自治体に押しつけてきました。地方交付税交付金は地方自治体が一般財源として使えるお金ですが、充分な額が確保されていません。国全体の最低限の生活水準を保障するための、介護・医療・保育・教育などの支出についても、中央政府は十分な財源を手当せずに、自治体に負担を強いています。
その結果、地方自治体の公務員も十分な人員を確保できず、賃金カットや非正規化、長時間労働が常態化しています。過去十数年にわたる緊縮的な経済政策の結果として、高齢化や人口縮減という地方の課題にも、対応が大幅に遅れてしまいました。就職氷河期世代は放置され、ひとり親世帯の子どもの貧困も深刻です。
今、何よりも、人々が豊かになるための経済政策への転換が必要です。特に、地方政治は、私たちの日々の生活そのものです。日々の生活を守ることが、国を守り、すべての人を守ることにもつながります。暮らしに最も近い、自治体の政治を積極財政に変え、何があっても心配しなくていい、そんな社会を一緒に実現しましょう。
マニフェスト 子ども支援や雇用創出
れいわ新選組共同代表の櫛渕万里、大石晃子の両衆議院議員、長谷川ういこ・参議院政策委員は3月22日に会見を開き、統一地方選への意気込みとマニフェストの内容を発表した。
大石晃子氏(政策審議会長)は、「れいわ新選組はもともと国政にこだわって4年前に山本太郎が旗揚げした政党だ。なぜなら、この国には通貨発行権がありながら、この30年間、この国では社会全体にお金が回らず、“お金がないから節約”みたいなことばかりいい続け、その結果一人一人の生活が貧しくなる景気の悪循環が続いており、これを逆回転させる力は国にあるからだ。国が通貨発行権を使って社会にお金を回す――積極財政を掲げ、国政においては3年半で8名の国会議員を生み出してきた。次は、地方で私たちの仲間がどういうスタンスで議員となってたたかっていけるのかということを今回のマニフェストに込めた」とのべた。
統一地方選マニフェストのポイントは大きく以下の3つ。① 地方から国を動かせ!――地方交付税交付金の大幅増額で全国津々浦々にお金を回す。② 地方から積極財政を!――貯めこんだ「基金」を今こそ人々の生活や地方の活性化に使い、地方から積極財政に転換する。③ 民間資金も活用し地域を活性化――財政投融資や地方団体金融機構の融資を活用し、投資によって地域経済を循環させる。
大石氏は、「一つ目は、地方は国に屈服するのではなく、お金を出すようにたたかっていく仲間が必要だということ。二つ目は、地方でも緊縮財政によって介護・保育・医療などさまざまな予算が削られている。一番悪い例が“身を切る改革”だ。身を切るのではなく、国とたたかわなければならないのであって、地方もケチってはいけないということ。三つ目は、民間資金も活用して地域をもっと活性化させていくということだ」とのべた。
マニフェスト作成にかかわった長谷川ういこ氏は、「地方からも国を動かしていこうという意気込みのもとで作成したものだ。れいわ新選組は国による積極財政を掲げているが、それは地方からでも十分可能だ。国の予算では、地方に対する支援や交付金をほとんど増やしていない。今まさにコロナからの回復途上にあるが、輸入物価高騰による深刻な危機が地方を襲っている。国が地方を支えないといけないのに、それをほとんどやっていない。小泉改革以来、地方に回るお金は大幅に減らされ、多くの地方自治体は支出を削ってきた。国はさまざまなルールを課して緊縮政策を促し、地方は疲弊した。今回コロナ禍ではさまざまな支援が国から出されたが、地方はそこで貯め込んだ基金を今こそ人々の生活に回し、地方を活性化させなければいけない。またデジタルやグリーンの分野では、財政投融資を含めてお金を回す仕組みができつつある。現在、投資先がなくて困っている地方ファンドや信用金庫などとも連携して投資先を作り、さまざまな地方のさまざまな事業を活性化させることも可能だ。“地方から緊縮を打ち破れ!”ということで、この三つを柱とした」と説明した。
具体的な政策では、「子ども支援」として、全自治体での18歳までの子ども医療費や学校給食費、保育料、学費、小学校の放課後対策事業の無償化(5つの無償化)、ロスジェネ世代の公務員採用や「就職氷河期世代雇用ニューディール」などを自治体規模に応じて実施、非正規公務員の時給値上げや雇用無期限化、会計年度任用職員制度を廃止し、保育士や幼稚園教諭、図書館職員、介護職員、相談業務の職員の正規化を進めるなどの「地元の安定雇用の創出」などを挙げる。また、自治体への定住や中小企業支援で若者が抱える奨学金債務の免除、多様な教育環境の整備などを「教育は成長産業」という理念で実現を目指すとしている。
そのほか、ひっ迫する介護業界の人手不足解消のための施策として、介護職員の報酬アップ、公務員化、家賃補助(最大月10万円)の実施。地方インフラの整備、急増する空家や団地の空き部屋を活用した低廉な公共住宅の拡充、公立病院の統廃合中止と保健所機能の強化、インボイス制度の中止、中小事業支援策の充実、地域農業の保護と地産地消の推進、軍備増強に反対し地域から平和構築を目指すことなど、国に求めていくことと自治体でとりくむことの両面で多岐にわたる政策をうち出している。
東京都内の候補予定者発表会見で、櫛渕万里氏は、「何よりもこの物価高や光熱費の高騰のなかで、“何があっても心配するな”といえる公助をしっかり市民のために出していけるような政治に切り替えるため地方から揺り動かしていくことが大きなキーワードだ。自治体でそういうことができるのか? という声も聞くが、すでに全国では首長が独自政策を掲げて子育てや防災をやっている自治体がある。地方自治体だからこそできるものもある。候補者たちはこの4年間を支えてくれたボランティアの仲間であり、地域のリーダーであり、仕事を辞めて今回選挙に挑戦するという人生の決断をした人もいる。無所属かられいわに加わって選挙に臨む仲間もいる。豊かな地域を作るために、“何があっても心配するな”といえる政治を身近な政治(地方議会)から作り出していくために、仲間たちの動きに注目していただきたい」と訴えた。
代表の山本太郎参議院議員は、「れいわ新選組は、緊張感もなく弛緩しきった国会でガチンコの喧嘩を仕掛ける存在にならなければいけない。野党の弱点である経済政策を強化して塊にし、野党の形も変えていく。その先頭に立ちたい。この国を変える力を集め、一緒に変えていける政治家を育てていただきたい。地方議会は、あなたが払った税金が実際にどう使われているのかについて最もわかる場所だ。心ある政治家を選んでいただき、地元に密着した問題解決の力にしてもらいたい」と呼びかけている。
私は栃木県在住です、ネットで山本代表が各地で街宣活動の様子を毎日のように見てますが何故か栃木での活動情報がありません、是非栃木にも来て頂きたい、生の演説を見たいです 応援していますので頑張って一人でも多く県議や市町村議員を増やして頂きたいです
頑張って下さい!応援してます!