福島第1原発の大事故は収束のめどが立たず、放射能災害は拡大の一途である。原子炉に水を入れなければ爆発し、水を入れれば高濃度の放射性物質が海に流れる。千葉県から三陸沖の大漁場は壊滅の危機にさらされ、農業も見通しがなくて福島県は県として成り立たなくなりかねない。それは東京から東北に至る地域に広がろうとしている。
GE、日立、東芝などの原子力メーカーと東電、国策といって推進してきた自民党につづく民主党政府、経産省・保安院、そして東大を中心とする原子力研究者からメディアなど、54基もの原発をはやしたててつくってきた連中が、いったん事故が起こったら原子炉のコントロールができない。そして原子力災害対策の準備もなく右往左往している。かれらには、原子力を運営する能力はまったくなかったのである。国民の生命と安全を守るという社会的な責任がない腐敗利権集団が国を好き勝手に動かしてきたのである。
そしてこの日本の指導層の無様な姿が、世界中の怒りを買い、笑いものになっている。40~50年も運転すればやられることが明らかな地震国に54基もの原発をつくるというバカげたことをやったのは、アメリカの要求であり、それに従えば出世もでき金も得るからである。アメリカは50年代、広島、長崎の原爆への怒りをかき消す政治的な意図をもって、「原子力の平和利用」「夢のエネルギー」などといって押しつけた。その旗を振って政府に原子力推進をはじめさせたのが、CIAのエージェントであった読売の正力松太郎であり、中曽根康弘であった。アメリカがいうことなら、民族的な根本利益を売り払ってみな丸飲みするという戦後の売国政治が現在の惨状をもたらした根源である。
爆発した福島第一原発の4つの原発は、みなアメリカGEの設計で東芝、日立が下請になってつくったものである。メディアは、米軍が19隻の艦船を派遣し救助しているとか、横須賀で水道代タダの真水を提供してくれたとか、原子力専門家を派遣したとか、恩着せがましい振る舞いを褒めそやしている。原発を日本に押しつけたアメリカに、この期に及んで恩を感じるところに売国奴の面目躍如たる姿がある。この政治家、官僚をはじめとする指導層連中の無様で無能な姿は、売国奴・民族裏切り者の姿である。中曽根は日本人なら、命がけの作業員がいる原子炉の前で座禅をくんで祈りをしてもいい。
那須三八郎