東電の福島原発事故は収束の「工程表」なるものを出したが、今後もどんな「想定外」があるかわからず実際に収束するという信用はない。放射能は大気中にも海洋にもずっと出つづけているが、4つの原発が爆発したときにもっとも大量に放出したと、あとからいう。そのとき、放射能が放出されていること、刻刻と風向きはどうなっているから風下側は逃げろとかいう住民への警告はなかった。
福島県から群馬県に至る野菜から基準以上の放射能が検出され、東京都の水道水からも、茨城県の魚からも検出され、ヨーロッパやアメリカからも放射能が飛んできたといわれて、チェルノブイリ原発に匹敵するレベル7だったと発表する。住民がそれを知らずに浴びつづけたなら命を縮めることがわかっていて知らせなかったのは殺人行為であり、処罰されなければならない。
原子炉を扱う東電や政府・保安院や安全委員会とか学者・専門家、そしてメディアというものが、国民の生命や安全を守る意識などないのである。それは学問、科学、技術、情報などというものが、社会のためという基準をとり払って、金もうけのためとしてきたアメリカ直輸入の新自由主義改革の産物である。この腐敗物どもに原子力を運営する能力などない。
福島原発もなお大地震、大津波の危険にさらされているが、地震活動は活性期に入っており日本中の54基の原発も同じである。原発は立地市町と隣接市町、県知事、地権者、漁業権者という一部の同意だけですすめてきた。民主主義をやめるのでなければ、既設原発についてはあらためて周辺100㌔、200㌔範囲の住民、いな全国民の同意を得直すことなしには廃炉にしなければならない。
いわんやアメリカの尻馬に乗って、中国、朝鮮などとのミサイル戦争の前面に立とうとするなどキチガイざたである。「アメリカの核の傘の抑止力で安全」などといっているが、原発を抱えた日本は核汚染の巣窟である。今度の事故は、原子炉容器は頑丈であっても、そこに無数につながっている配管や、電源や使用済み燃料が破壊されたら容易に爆発することを暴露した。日本民族絶滅作戦はアメリカによって第二次大戦で体験したが、それは原発推進の政治に貫き、さらに戦争で破局的にくり返そうとしている。これを黙ってみているわけにはいかない。
那須三八郎