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米国産内閣の輸入自由化

 日本国内では国民には何も説明できないまま、TPP参加を表明しにハワイに行った野田首相だが、オバマとの会談で「全品目サービスの原則自由化を約束」と発表されてあわててごまかしを頼んだが相手にされずまるで子ども扱い。国益よりオバマへのごますりを大事にするアメリカの利益代理人。今度の「ドジョウ内閣」は、国産ドジョウの内閣ではなく米国産ドジョウの内閣かと人をあきれさせている。なるほど「全品目輸入自由化」の約束は米国産内閣の輸入自由化からはじまっているわけだ。
 この売国政治はいまにはじまったことではなく歴代自民党政府がやってきたことである。さかのぼれば60年安保改定以後、重化学工業化でアメリカナイズをやり、小麦や大豆、オレンジや牛肉と自由化をやって農業をつぶしてきた。小泉構造改革に至って、大店法撤廃で日本中の商店街をシャッター通りにしたり、タクシー規制緩和や派遣労働解禁で労働者の生活をめどのないものにしたり、自治体は平成の大合併で地方は壊滅の危機にさせてきた。地方交付税などの財政削減で浮いた90兆円ほどの金や、貿易黒字で貯まったドルもアメリカ国債購入で貢ぎ、大企業は260兆円もの内部留保をため込んだ。おかげで金はすっかり回ってこなくなり、国民は貧乏の一途となった。
 アメリカはこれでもまだ足りぬというわけだ。TPPはアメリカの貿易、投資のルールを全面的に強制し、アメリカ企業の営業の自由を制約する制度やルールは企業が政府を訴えて、IMFが裁判をするというもので、日本の国家主権もなにもない。つぶれるアメリカと無理心中をする究極の自由化、売国政治である。
 民族的な利益はすべて売り飛ばしてアメリカのいうとおりにすれば自分の地位は安泰という売国奴が、自民党も民主党もその他の政党も、さらに官僚や検察や自衛隊、またメディアから御用学者、文化人までうちそろっている。しかしいついかなる時代も、支配者は大衆を納得させ動員できる間だけしか支配者になれない。国民の理解を得る意志も能力もない者は支配者として終わりを意味している。最大の政治力を持っている国の本当の主人公である働く国民は、国がつぶされ、絞め殺されるのを黙ってみているわけにはいかない。安保斗争どころか明治維新につづく本当のたたかいがはじまるときに来ている。
                                      那須三八郎

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