日本郵便は普通郵便、ゆうメールについて、1月半ばから2月にかけてエリアごとに順次、翌日配達を廃止する。土曜日配達の中止に続く郵便事業の縮小で、山口県は1月22日に廃止となる。2020年におこなわれた郵便法の改定によって普通郵便の配達頻度が「週6日以上」から「週5日以上」に変更されたことを受けたもので、これまで翌日配達だった地域は翌々日に、翌々日配達だった地域は3日後の配達へと配達日が繰り下げられる。郵便事業の長い歴史のなかで確立されてきた翌日配達を放棄するのは初めてのことだ。17日にはゆうちょ銀行も硬貨の取扱を有料化するなどの改定をおこなっており、改定前最終日の14日には窓口やATMに行列ができた。郵政民営化から15年をへてサービス低下に歯止めがかからず、「民営化すれば競争によってサービスが向上する」といううたい文句がまるでウソだったことが浮き彫りになっている。
ゆうちょ銀行は17日、硬貨の入出金の有料化や小切手の大幅値上げ、振込手数料の値上げなど、各種手数料の値上げを実施した。改定前の最終日となった14日には、レジに硬貨がたまっていた商店主や、小切手を買い求める人などで郵便局はにぎわい、「郵便局がもうけ第一に走っている」「民営化していいことはない」という会話がかわされていた。
駄菓子店を営む商店主は、「いつも1円玉を持って駄菓子を買いに来るお客さんがいるので、1円玉を貯め、ときどき郵便局に持って行ってお札にかえている。先日持っていくと1600枚あり、窓口で17日以降は1650円かかるといわれて驚いた。これからは1円玉の支払いを断るしかないと思う」と困惑していた。
別の飲食店主も「商品の端数で細かい金額が出るが、たまると入金するにもお金がかかるということだ。今後はお客さんから受けとっても使えなくなる…」と話した。現金で支払いを受ける小売店は多く、硬貨の入出金が有料化される影響は大きい。
1月17日(月)からのゆうちょ銀行の利用料金改定では、窓口やATMでの硬貨をともなう全ての手続きが有料化されることになった。今まで郵便局での公共料金の支払いやペイジーでの支払い等、受取人負担の払込書(赤い印字の用紙)で支払う場合は、全て無料でおこなえていたものが、1回につき110円の手数料が発生する。
さらに、これまでATMに小銭を入金しても手数料はとられなかったが、今後は硬貨を含む入出金処理をすれば、1回につき110円とられ、50枚までが220円、100枚までが330円と加算される。逆に口座から出金する際に、1枚でも小銭があれば110円とられるようになる。
そして窓口では50枚以上から1回550円、500枚で825円、1000枚で1100円、1000枚をこえると500枚毎に550円が加算される。
また、ATMの利用料金も有料化される。郵便局に設置されているATMはこれまで通り無料だが、駅やショッピングセンター、ファミリーマート等に設置されているATMからの入出金の場合(これまで無料だった)は、平日の午前8時45分~午後6時、土曜日は午前9時~午後2時の時間外は1回110円の手数料が発生する。
今回の値上げは、「硬貨取扱いに対する手数料」という位置づけなので、例えば、公共料金の支払いのため窓口を訪れた場合、従来通り払込書と現金だけだと110円が加算されるが、通帳またはキャッシュカードを持参(印鑑と暗証番号が必要)すれば、現金をいったん口座に入金して口座から支払う形になるので無料となる。
窓口業務はというと、これまでは預かった現金をそのまま払込先に支払えば済んでいたが、今後は預かった現金を口座に入金し、口座から払込先に支払う処理をしなければならない。その間、印鑑を押したり暗証番号を入力したりと煩雑な手続きに時間を要し、待機時間も長くなることが見込まれる。
窓口ではなくATMからの払い込みをする場合は、払込書を通した際に、振込を口座からか現金からか二択ができ、口座からを指定した場合は無料だが、現金を指定すると110円がかかってしまう。
手数料なしで支払いをしようと思ったら、通帳と印鑑、ないしはキャッシュカード(暗証番号要)を持参しなければならず、ATMで処理しようとすれば(硬貨が含まれる入金であれば)確実に手数料がとられ、どちらにしても負担感がぬぐえないものとなっている。
ちなみに、ATMからの送金は、これまで通り1回につき100円の手数料がとられる。いずれにしても、郵便局の窓口に相談すると支払いのイメージができ、局員も丁寧に説明してくれるとのこと。そのほか、企業関係が利用する小切手帳は1650円から倍の3300円に値上げとなるなど、さまざまな手数料が軒並み値上げされる。
全区域配達日数繰下げ
一方、本業の郵便事業は翌日配達が廃止となり、すべての区域で配達日数のくり下げが実施されることが決まっている。これまでの郵便法は、郵便物の配達頻度を「週6日以上」とし、郵便物の投函から配達までの期限を「3日以内」と定めていた。しかし、2019年8月に総務省の情報通信審議会郵政政策部会が配達頻度を「週5日以上」に変更して土曜日の配達を廃止し、配達期限を「4日以内」として翌日配達の原則廃止を認める答申案を決定。その基本方向に沿って2020年11月の臨時国会で改定郵便法が成立した。
電子メールやデジタル通信が発達した影響による郵便物の減少、配達員の人手不足などの対応策として「働き方改革」を進めるため――というのが理由だ。しかし最大の眼目はコストカットで、日本郵便は土曜日配達の廃止と翌日配達の廃止によって年間50億円程度の経費削減を見込んでいる。昨年後半頃から、郵便局の窓口で「今後は急ぐ郵便物は速達にしなければ、時間がかかることになります」という説明がおこなわれたりしていて、市民のなかでも話題となっていた。
昨年10月2日に普通郵便物の土曜日配達はすでに廃止されている(ただ、配達員が土曜日に休んでいるわけではなく、ゆうパックやレターパックなどの配達をおこなっている)。翌日配達の廃止はこれに続くものだ。現在、夜間・深夜にその日差し出された郵便物の仕分け作業をおこない、翌朝には各地域の郵便局が配達できるよう体制をとっている。その深夜帯の作業を人件費削減のため廃止し、翌日の日中に作業時間を移行するため、翌日配達を成り立たせてきた体制が不可能になる。土曜日配達の廃止との相乗効果で、とくに木曜日以降の週後半に差し出す郵便物は配達までの日数が大幅にくり下がることになる【表1】。これに休日が加わるとさらに配達日数はくり下げとなる。例えば月曜日が休日の場合、木曜日に差し出した郵便物は翌火曜日、到着まで5日ほどかかる。
本紙は山口県下関市から全国に読者のみなさんに新聞を月・水・金の週3回、発送している。もともとは中国地方へは新聞発送日の翌日(火・木・土)に、それ以外の地域には翌々日(水・金・翌週月)に配達されていた。しかし、昨年10月の土曜日配達の廃止にともなって、山口県内を含む中国地方も金曜日発送分は翌週月曜日の配達へと2日のくり下げとなっている。これに加え、1月22日以降は以下のように変更される。
・現在、翌日配達の地域(おもに中国地方)
月曜日発送→水曜日
水曜日発送→金曜日
金曜日発送→翌月曜日
・現在、翌々日配達の地域
月曜日発送→木曜日
水曜日発送→翌月曜日
金曜日発送→翌火曜日
郵便制度では、明治期の創設当初から、広く世間の出来事を伝える出版物、とくに新聞の発達が重要だという観点から、新聞雑誌の低料送達の制度(第三種郵便)がもうけられており、本紙もその制度を利用して全国の読者のみなさんに新聞を届けてきた。郵便物が減少しているため、郵便制度を維持するためにはその範囲内でコストカットをしなければならない――というのが、今回の配達日数繰り下げの理由だが、翌日配達からすると郵便事業の大幅な後退であり、郵便事業にかかわってきた現場の人々にとっても衝撃的な改定だったといわれている。
配達支える縁の下の力
全国一律の料金で、投函した郵便物が翌日(翌々日)には配達されるシステムは、どのように支えられてきたのだろうか。町中で郵便配達員を目にする機会は多いが、聞いてみると、目に見えない部分で多くのスタッフが従事しており、緻密な配送網が敷かれてきたからこそ成り立ってきたことがわかる【図参照】。これまでもこの「縁の下」部分のコストカットや再編などがおこなわれてきていて、現在は次のような体制で翌日配達がおこなわれている。
その日一日、窓口に差し出された郵便物のほか、集荷を担当する社員や委託業者がポストなどから郵便物を回収し、夕方になると下関郵便局に集まってくる。差し出された郵便物を宛先の地域ごとに仕分ける作業をするのは地域区分局の山口郵便局(区分作業に特化した郵便局、2017年1月30日開局)だ。下関市内で差し出された郵便物もすべて一度、山口郵便局まで運ばれるようになっており、夕方、郵便物を積み込んだ2台のトラックが山口郵便局へ向けて出発する。この区分作業は、以前は山口県西部は下関郵便局で、東部は徳山郵便局でおこなっていたが、区分局の再編で、山口県内1カ所に集約された経緯がある。
下関を出発したトラックがおよそ1時間後、山口郵便局に到着すると、すぐに山口郵便局の社員が郵便物の仕分けにとりかかる。まずは時間のかかる県外宛ての郵便物を素早く仕分け、約2時間後には県外宛ての郵便物が順次、山口郵便局から出発するという。その後、深夜から未明にかけて山口県内の郵便物を地域ごとに仕分ける作業がおこなわれる。今は機械が進化していて、定型郵便は機械に通すと配達の道順に沿って並ぶようになっているということだ。
仕分けされ、道順に並んだ郵便物が未明に山口郵便局を出発し、翌早朝には下関郵便局など各配達局に到着する。そして配達担当者が出勤してくると、定型外郵便など機械で道順に並ばない郵便物を手作業で並べ替え、午前九時頃に配達に出発する。こうして前日に投函した郵便物が翌日には宛先に届くようになっている(なお日本郵便中国支社は、山口郵便局で深夜帯の作業に従事しているスタッフ数については非公開としている)。
全国に張り巡らされた郵便局の配送網は、このように、およそ19万5000人の日本郵便の従業員や運送事業者など多くの人々によって支えられている。
公的インフラのはずが
1871(明治4)年にスタートした日本の郵便制度は、「日本近代郵便の父」と呼ばれる前島密の理念にもとづいて築かれ、2021年に150年を迎えた。前島は日本の近代化のために通信・交通の発展が必要だと、その社会的必要性から制度創設に心血を注いだといわれる。
「自由、平等、公平」の実現を目指し、身分や肩書に関係なく、だれもが平等に使える制度として構築した郵便システムは全国津々浦々に張り巡らされ、今でも災害時や過疎地域でも住民を支えるシステムとして生き続けている。「縁の下の力持ちになることを厭うな。人のためによかれと願う心を常に持てよ」。その言葉通り、空気や水のごとく当たり前の社会インフラとなり、光が当たることは少ない。しかし、万国郵便連合(UPU)が2016年に170カ国の実績を比較した調査で、郵便物が速く届く点などサービス水準の高さが評価され、スイス、フランスに次ぐ3位となるなど、日本の郵便制度は世界的にも誇れる水準となっている。
民間企業が参入しないへき地や過疎地でも必ず郵便局があり、貯金や保険なども扱い、1通84円という低料金で沖縄から北海道まで郵便物が届く。その国民共有の生活インフラは、「郵便局ビジョン2010」の言葉を借りると、「公的存在として常に公共性を追求」し、「利潤最大化を行動原理としない」組織であったからこそ成立してきたものだ。税金によらない独立採算でありながらも、「民間企業のように株主への利益還元、事業のための投資の観点からの利潤最大化のインセンティブが働かない」からだ。
しかし、民営化で金融二社と切り離され、株式上場、日本政府の保有株式売却をへて、その構造は大きく変化している。今も「全国あまねく」「いつでも」「公平に」というユニバーサルサービスが義務づけられている一方で、赤字解消に対する圧力が郵便局の現場にかけられ、「効率化」による配達の遅れや負担増、過剰なノルマによる年賀状の自爆営業など、民営化前にはなかった事例も頻発してきた。
日本郵政は昨年5月に発表した中期経営計画のなかで、業務の効率化によって2025年度までの5年間で、さらに3万4500人(従業員数約39万人の約10%)を削減する方針を明らかにしている。もっとも従業員が多い日本郵便で3万人、ゆうちょ銀行が3000人、かんぽ生命1500人という内訳で、郵便事業のさらなる後退は免れない。
全国一律の低料金で、過疎地までカバーする郵便事業は赤字だからこそ国営でおこなわれてきた。郵政民営化は300兆円という巨額の日本国民の貯金を外資に差し出すためだけのものであり、150年の歴史のなかで培ってきた郵便事業を破壊する愚策であったことが15年をへて浮き彫りになっている。
国が国民の貯金を外資に差す出す。年金も税金も外資に差し出す。
日米地位協定と日米合同委員会は日本が占領国であることを示唆しているし、国際社会の中でも敵国なのだ。つまり日本という偽装国家の本質は敗戦国で占領国で世界の敵国。それが現実なのだ。戦後は終わらない。
しかしてこの虚しさ、悲しさに憤りを感じずに、お上に与えられた日常を人生と読み違える国民性に1番の罪がある。
結果、日本人は政治が下手くそだし向いていない。誰かの言うことを聞いているのが好きな生まれながらの奴隷根性。市民は上司や所属組織に、国会議員はアメリカに、それぞれ嬉々としてまたは漫然と隷属している。昭和初期で潰えた日本人の共同体意識はもう存在しない。
「我々」を自覚できない民族集団、社会、ひいてはそのまとまりである国家とは一体何であろう。日本は既にして亡霊。「日本という過去」なのではないか。
郵政民営化は反対でした、国鉄と違い 競争相手がおらず(郵便)は 公共性が強い
二度と国営化は出来ない 後戻りは、出来ない
赤字になろうが、サービスの質を低下させない約束はどうなった
そもそも国営時は黒字だった 民営化で赤字になるなんて、本末転倒で、完全に失敗している
政治家はその責任は取らない
責めてサービスの質が低下しない 策を講じるべきではなかったのか
多くの企業は、サービス向上と業務の効率化の両立させるために努力しているのに対して、日本郵政はただの手抜き!消費者の足元ばかり見て競争意識が低すぎる。上層部はマヌケばかり。小泉純一郎のバカヤロー!