下関市でも25日、新型コロナウイルスワクチンの集団接種が始まった。第1回目は25~28日の4日間で1128人への接種を予定している。会場となった下関市立体育館には、15分ごとに指定された予約時刻をめがけて高齢者が集まった。
初日の集団接種は、予診確認をする医師2人、ワクチンを接種する看護師3人、相談にのる看護師などのほか、人材派遣会社のスタッフ約50人が会場案内や予診票の記入案内や確認などをおこなった。予診確認には4ブースもうけてあり、医師の体制がとれる場合は最大4ブース使用する予定だという。
訪れた高齢者たちは、受付後に予診確認票を記入、チェックを受けて医師による予診確認を受けたあとに接種を受け、その後30分後の時刻を記された紙を受けとって会場内に待機した。この日ワクチン接種を受けた高齢者は274人で、前日までにキャンセルのあった8人分については医療従事者に呼びかけて接種をおこなった。
6月以降は土・日も含め毎日集団接種をおこなう。6月7~13日、6月14~20日、6月21~27日は、それぞれ1836人への接種を予定している。
市によると、国から下関市に最低限分配できるワクチン量として、4月中旬までに届いたのが5万9830回分で、その後は
5月24日の週から2週間で3万9780回分
6月7日の週から2週間で4万950回分
6月21日の週から2週間で4万2120回分
となっており、計18万2680回分が届くことがわかっているとしている。
ただ、コールセンターに電話がつながらず、予約できない状況は依然として続いており、不安なまま、さまざまな医療機関に連絡する高齢者も後を絶たない。3回目の予約日となった24日も朝から電話をかけ続けてつながらない市民が多くいた。
ある女性は、前週の17日朝、かかりつけの病院に申し込みに行ったところ、かかりつけではない高齢者3人が並んでいたという。女性が先に入ったが、すでに予約がいっぱいで「翌週にしてほしい」といわれた。しかし、24日は午前8時50分から病院に電話してもつながらず、9時20分に行ってみると、すでに「本日の受付は終了しました」との表示が出ていた。「集団接種の申し込みを頑張るか、7月以降のワクチン供給がはっきりしたら連絡する」といわれたので、それから必死でコールセンターに電話したがつながらない。仕事が始まる時間になったので、友人3人に連絡すると、かわりに電話をかけ続けてくれたという。昼頃、1人の友人から「101回かけてとれたよ」と連絡があったといい、「私はなんとかとれたが、このままではみんな予約できない」と話した。
70代の男性も、前週は仕事の合間に電話をかけてつながらなかったため、24日は休みをとったがつながらなかった。「ただいま混雑していますので、しばらくたっておかけ直し下さい」の案内を覚えてしまうほどだといった。「1日の定員が282人だというが、これほどかけてもダメとは…。知人はかかりつけに電話したが、それもなかなかつながらず、やっとつながると予約がいっぱいだということだった。次の予約がいつになるかも未定という話だ」といった。男性はかかりつけ病院がワクチン接種をしていないため、来週も電話をかけるしかないという。「もう、なるようにしかならないという気持ちにもなっている」と話していた。
「24日は娘に来てもらい、個別接種の受付先としてチラシに記載してある医療機関にすべて電話したが、断られた」という高齢者や、「両親の分を電話4台体制にインターネットも使って申し込みを続けたがダメだった」という市民もいた。
コールセンターはJTBと凸版印刷のJVが受注しており、電話は20台体制でスタートした。混乱状況を受けて市は電話を3台増やしたものの、約9万人を対象にしたコールセンターとしては圧倒的に不足している。2回目、3回目の予約開始日は受付を終了したのは午後になっている。予約枠は残っているのに電話がつながらないのがネックだ。
高齢者をはじめ市民のなかでは、「下関は田舎なのだから、集会所なども使い、自治会ごとに日時を決めて連絡するなどの方法も考えられたのではないか」「市の担当者もクタクタだろうと思う。国が“薬や冷凍庫、人手も必ず送るから、それぞれの自治体ごとに方法を考えてくれ”といえば、市ももう少し工夫ができたのではないか」などと語られており、高齢者のワクチン接種も終わらせることができないまま、オリンピックを強行しようとする国に怒りの声が強まっている。