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首相官邸に押し寄せる大津波

 東日本大震災の復興妨害を続ける野田首相が居座る首相官邸に、毎週金曜日の夕方大衆行動の大津波が押し寄せている。6月に入り、1万人から4万人、そして20万人、15万人とふくれあがり、60年安保斗争で国会をとり囲んだ13万人の規模を上回る大行動となっている。この行動は全国で深い共感を呼んでおり、原発の再稼働にとどまらず、国民に聞く耳のない消費税増税、オスプレイ配備、TPP参加などへの怒りとして、日本中で直接政治参加の大衆行動が始まってきたことを示している。
 民主党野田政府まできて、日本の議会制民主主義はすっかり化けの皮がはげるものとなった。いくら選挙をしても、公約とは逆のことを、しかも国益を投げ捨てるようなことを「命がけでやる」といって息巻いている。官僚機構やマスコミがそのように誘導をしていく。だれの目にも日本国民を代表する国家ではなくて、アメリカと財界の道具としか映らない。
 この首相官邸前の大衆行動は新しく力強い質を持ってあらわれている。それは「日共」集団、社民勢力、労働官僚勢力、新左翼集団、その他の踊ったり、寝ころんだり、ローソクを燃やしたりといった既存の勢力をのりこえて、大衆自身が主人公となった行動になっていることである。既存の政治勢力が旗を振ることで大衆の参加を排除し、運動をねじ曲げて、実は支配勢力の社会的な支柱となってきた壁が突き破られたことを示している。
 このだれでも安心して参加できる確固とした大衆行動の質は、広島、長崎の「原爆と戦争展」運動の質と同じであり、劇団はぐるま座の『動けば雷電の如く』『原爆展物語』をとりくむ質と共通している。さらに山口県では原発を1基もつくらせなかったが、それを阻止した豊北、上関の町民のたたかいの質と共通している。
 野田政府はアメリカに忠誠を誓って日本民族の根本的な利益を売りとばすために暴走している。それは凶暴であるが、同時にアメリカが著しく衰退して余裕がなくなっていることを暴露している。大衆的な政治斗争が政治を動かす情勢になってきた。

                                         那須三八郎

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