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山梨大学が独自にドライブスルー方式によるPCR検査を開始 全国の大学にも呼びかけ

 医療現場からの切実な要求にもかかわらず、新型コロナウイルスの感染症のPCR検査の拡大は抑え込まれたままである。政府などはその理由に「検査機器やRNA抽出薬の不足」「検査人材の不足」などを挙げている。これに対して、「韓国などではそれを突破していった。日本でできないはずがない。総力をあげて問題を解決していこう」と、力強いよびかけと行動が始まっている。

 

 山梨大学(島田真路学長)では「行政機関に依存はできない」として8日から、医学部附属病院が大学内でドライブスルー形式の検体採取を始めることにした。採取した検体は大学でPCR検査を実施する。検査にかかる時間も短縮し、将来的には1日に100件以上の検査ができるという。島田学長は「全国の国立大学が積極的に検査にとりくむべきだ」と呼びかけている。

 

 島田学長は2002~03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行したとき、同大医学部附属病院の感染対策委員長を務めた専門家である。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の感染者を受け入れた経験もふまえて、医療関係者向けのサイトに関連情報「山梨大学における新型コロナウイルス感染症との闘い」をシリーズで寄稿。3月初めから「PCR検査の不十分な体制は日本の恥」と主張し、早急な立て直しが必要であることを訴え続けてきた大学のホームページでも掲載している

 

 「PCR検査体制強化に今こそ大学が蜂起を!」と題する荒神裕之・同大学病院医療の質・安全管理部特任教授との共同呼びかけは、日本のPCR検査の推移をデータをもとに分析。PCR検査を地方衛生研究所・保健所にほぼ独占させてきた結果、「検査上限を世界水準からかけ離れた低値にとどまり続けさせることとなり、途上国レベルのPCR検査実施件数という大失態を招来した」と指摘している。そして行政研究機関の検査現場の献身的な奮闘に敬意と感謝を示しつつ、そこに頼ることは無理強いを強いることだとして次のように訴えている。

 

 「大都市圏で新型コロナウイルス感染症の問題が顕在化した今では遅きに失した感は否めないが、諦めるにはまだ早い。一刻も早く事の重大性を認識し、地方の国立大学こそ蜂起すべきと考える。第一種感染症指定医療機関の大学病院は全国に16施設、第二種感染症指定医療機関の大学病院は、分院等も含めて28施設存在している。まずはこれらの大学は責任を持ってPCR検査の体制強化への貢献を強く望みたい」

 

 この訴えは医療関係者の間で感動的に受けとめられている。専門家の間では、「緊急事態宣言の解除の出口戦略を見通すうえでも、検査による無症状感染者を含めた現状把握が必要だ」「検査機器や試薬は特措法で押さえることができる。行政研究機関だけでなく、民間、大学が総力をあげてこの局面を突破すべきだし、できないはずがない」「国は総力をあげて各機関が必要な資源確保に動くべきだ。最新の機械を投入すれば、国内で1日7万件の検査ができる」などの論議が活発になっている。

 

 「人が足りない」という弁解に対しても「現実を見ない空論だ。日本中にマンパワーが眠っている」との批判が圧倒している。民間の研究機関の多くが自宅待機となっている。PCR検査は新型コロナ出現で生み出された新しい手法ではなく、遺伝子を研究している機関や大学では医学部だけではなく、生物系の大学の院生も日常的にPCRをやっている。研究所から雇い止めされたポスドク(博士号取得者)も力を発揮したいと願っている。感染学、ウイルス学、微生物学、生化学などを専攻する学生を有給で募り、トレーニングして手を借りることなども求められている。

 

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