全国ツアーを北海道からスタートしたれいわ新選組の山本太郎代表は21日、釧路市で初の街頭記者会見をおこなった。会場となったJR釧路駅南口には、釧路市内や近郊の市町村から100人をこえる人たちが集まり、山本代表が目指す日本社会の改革方向に耳を傾け、また参加者からもそれぞれが直面している問題や要望をぶつける真剣な交流がおこなわれた。主な内容を紹介する。
山本代表 先の参院選で私は落選してしまったが、れいわ新選組は国政政党として認められ、2人の国会議員が誕生した。ここでは釧路のみなさん、釧路以外から来られたみなさんに質問、苦言、提言なんでも私にぶつけていただきたい。この地域の状況を教えてもいただきたい。国がしなければならないことに繋がっていくと、れいわ新選組の政策にも繋がっていく可能性がある。遠慮なくボールを投げていただきたい。答えを持ち合わせていない場合もあるが、そのときは知恵を授けてもらいたい。
質問(男性) 3年前に山本太郎さんを釧路に招いてトークライブをしたときのスタッフだ。今回の選挙でも自分ができることをやったが、ポスターを貼るのも簡単ではない。地域性として保守の流れも強いのかもしれないが、2011年のときからテレビなどメディアが流す情報とネットの中の情報の温度差がある。ネットが活用できない人もいる。離れた地域からでも、孤立することなく太郎さんの活動に繋がっていける方法を聞きたい。
山本 地道にやっていくことしかない。すでに支持政党を持っている人たちや考えの固まった人を溶かしていく作業は時間がかかる。例えば、このような場に政治に興味をもっていない方方を連れてきていただくことが一つの入口になるかと思う。一人一人抱えている問題は違う。個別具体的に人人が何に興味をもっているのかを知り、そこから話していくしかない。若い世代なら奨学金問題、すべての世代に横断的なものとしては消費税の話など。政府保障で最低賃金を全国一律1500円にしていくことなど、その人がなにに興味があるのかヒアリングも含めて必要になってくる。一足飛びにはいかないが、いろんな手法を使いながら広げていくことが必要なのかもしれない。
意見(女性) 鶴居村から来た。選挙権が18歳からになり、私たちが20歳になったときは「政治の話をするなど格好悪い」という世代だった。今の10代はみずみずしくて染まっていない。だから、れいわ新選組に限らずフェアに政治について語れる場をつくって10代から政治への関心を高めていくのはどうだろうか。
意見(男性) 今回の選挙に関して、自営業なので政治的な立場をはっきりさせるのはリスクがある。でも今回、勇気を持ってSNSにあなたの演説をシェアすると若い人たちが確実に政治に興味を持った。まだ染まっていない大学生や高校生など若い世代に訴えることはとても重要だと思う。それをやっていけば若い人はその背中を見ていると思う。
山本 ここまで地獄のような世の中にしたのは誰か。子どもの約7人に1人が貧困、高齢者の5人に1人が貧困。1人暮らしの3人に1人が貧困という国。まるで希望がない。絶望に近いような状況を毎日つくり出している。これをつくったのは政治だ。私自身、この危機的状況に気付いたとき、それまで無関心だった自分に一番の憤りを感じた。だから、それまで自分がやってきた人生を横に置いて、いろんな人を国会に届けるという選択をした。地獄をもたらすのも政治なら、これを正すのも政治だ。みなさんの手の中にその鍵は握られているということを多くの人に伝えていきたい。魔法の杖はない。一人一人が繋がっていくしかない。
だが、世の中は変えられる。今回の選挙は戦後2番目の低投票率だった。半分の票が使われていないことがもったいない。その票があれば、世の中を大きく変えられる。心ある人間が権力を握ればまったく違う世の中になる。そのためにゆるく繋がっていきたい。
例えば、れいわ新選組の政策にある「消費税廃止」で困る人がいるだろうか。逆進性の高い消費税で誰が一番負担率が高いかといえば収入の低い人たちだ。
消費税が上がる度にこの国は壊れてきた。年収ごとの消費税負担割合を見ると、年収200万円未満の低年収層の負担割合は、消費税5%のときは5・5%(年収1500万円以上の高年収層は1・1%)、消費税が8%に上がると7・2%(同1・6%)、10%になると低年収層は8・9%(同2%)となる。低年収の人たちは負担率がどんどん上がるが、高年収の人は緩やかにしか上がらない。低年収ほど消費が多いからだ。逆にいえば経済活動にすぐに寄与する。国が支えるのならば低年収の人たちにバックアップをするのなら、それは生きたお金として世の中を回り、誰かの所得に変わる。
月20万円消費する世帯は、年間で約240万円を消費する(消費税10%のときの負担額は年間22・8万円)。月30万円なら360万円(負担額34・2万円)。月40万円なら年間480万円(負担額45・6万円)だ。あまりにもとりすぎではないか。消費税を廃止すれば1カ月分の収入が戻ってくることになる。増税が必要なら「あるところからとれ。ないところからとるな」だ。今日を生きるために買うものと、金持ちが道楽で買う高級品が同じ税率などあまりにもおかしい。
消費税廃止したマレーシアで知ったこと
山本 8月末にマレーシアに行ってきた。マレーシアは消費税をやめた国だ。消費税はマレーシアにとって法人税に次ぐ2番目に大きな税収だった。それを廃止することを選挙の公約に掲げ、その1年後には消費税をやめた。
その後どうなったのかを聞いた。2019年の4~9月の四半期で実質国内生産(GDP)の成長率は、前年同期比で4・9%も上がった。日本は同期で1・2%増だ。個人消費でも7・8%増(日本は0・7%増)だ。マレーシアの方がモノを買う意欲が旺盛なのだ。消費は誰かの所得になる。成長が低ければそれが回らなくなる。
マレーシアは、消費税(GST)を廃止して非課税品目を545品から5443品に拡大した。その一方で、高級なサービスを利用したときにかかる間接税(SST)を復活させた。これにより、失われた消費税分の財源の半分程度まではとり戻している。今後は、健康増進のためとして砂糖への課税や金持ちへの所得税を厳しくする方針のようだ。今後についても「経済成長をしたうえで税収を増やしていく」といわれていた。非常にまともな話だ。消費税をやめて経済を活発にさせ、そのうえで税収を増やしてまかなうという。
日本ではデフレが20年以上続き、消費が弱っているなかで消費税を上げて強制的に物価を引き上げ、みんなの賃金は上がっていない。物価は上がり実質賃金は下がっている。そのうえまた2%も上げる。こんなことをしていたら国は壊れる。
消費税を廃止すれば初年度は物価が5%落ちる。それによってどうなるかは消費税が上がったときの消費動向を見ればわかりやすい。消費税が5%から8%に上がったとき、日本の家計消費は8兆円も下落した。これはリーマン・ショック(6・3兆円下落)をこえている。3%上げただけでこれだけ落ち込む。逆に5%物価が下がれば、消費が喚起される。中小零細企業が一番助かると思う。事業者の方、どうですか?
意見(女性) 消費税は大変。稼いでも稼いでも持って行かれる。
山本 中小企業は消費税が上がってもそれを簡単には商品に転嫁できない。値段を上げるとお客さんが減る。それを自分たちで被ったり、従業員の給料、店舗も維持しなければいけない。現に話を聞いた飲食店業者でも、首が絞まったまま何年も滞納し、差し押さえをされるので税務署に「払う意志はある。ちょっと待ってください」と頭を下げに行っている。現に税金の滞納の6割が消費税だ。こんな税制はもともと壊れているというほかない。
日本に存在する企業の99%が中小零細企業だ。その首を絞めてどうやって日本が元気になるのか。日本をぶっ壊しに来ているというほかない。中小企業の従業員は全労働者のうちの七割だ。まず必要なのは日本の経済を引き上げ、みなさんの生活を引き上げるには消費税廃止が何よりも大きなカンフル剤だと思う。
意見(女性) 鶴居村から来た。私はれいわ新選組が立ち上がる前から『税金を払わない巨大企業』という本を読んでいる。安倍首相は法人税を下げるというが、現実には0・0%単位しか払っていない大企業がたくさんある。こういうことをもっと細かく査収して財源はいくらでも出てくることを知らせてもらいたい。
山本 確かに消費税8%からゼロにするためには、別に20兆円分の財源が必要だ。しかし財源を探す前に、経済成長をさせて税収を上げることを考えるべきだと思う。そのうえで財源の話をするならば、大企業がずいぶん内部留保を貯め込んでいる。役員報酬や株主配当をのぞいた純利益だ。安倍政権になってから、2012年は304兆円だったものが2017年には446兆円と過去最大に増加している。これはすべて合法的に貯めた金だ。政治を動かして労働環境を破壊して搾取して貯め込んだものだ。
内部留保を貯め込んだのは、投資先がないという側面もある。モノが売れないのに投資したり雇用を増やす人はいない。ここに無理矢理に手を突っ込むよりも法人税のあり方を変え、累進制にする。もうかれば税率が上がり、もうからなければ税率を下げる。現在は大企業も中小零細も一律だが、大企業には租税特別措置など80以上の抜け穴がある。
法人税が累進制になれば中小企業の身の丈に合った納税に変わる。米国でもトランプ政権以前はやっていた。日本でやらないのは、企業献金をくれる大企業への忖度。ただそれだけだ。
所得税も最高税率が引き下げられ、富裕層が優遇されてきた。1974年には75%くらいだったものが、2015年には45%にまで下がっている。19段階あった税率基準が7段階にまで減らされた。これを引き上げていく。
また、現在の所得税は、収入が一定額をこえると負担率が下がる仕組みになっている。年収1億円の人が28・7%でもっとも税率が高い。それ以上は年収が高ければ高いほど税率が下がり、100億円クラスになると17%しか払っていない。これは分離課税によって税率が低く設定されている株や金融資産の運用で利益を上げている人たちだ。これを所得税と同じ課税にしていく。それによって29兆円の財源が確保できるという試算もある。消費税は簡単にやめられる。
中小零細企業と人人の生活の底上げをしなければ国の将来がない。国はあっても人人は疲弊していく。消費税をなくして税制改革をすればもう少し地方は元気になると思う。
「地方創生」といいながら創生どころか衰退しているのが地方の現実だ。釧路はどうですか?
聴衆 衰退している。景気が悪い。
山本 サンマもとれないと聞いている。だが、東京には五輪でお金が入りまくり、大阪にはカジノや万博でお金が注がれる。このように三大都市圏には人やカネやモノが集まるが、地方はますます疲弊していくばかり。地方によって支えられているのが都会ではないか。北海道によって日本は支えられているのに、なにがTPP(環太平洋経済連携協定)だ、日米FTA(二国間貿易交渉)だ。ふざけたことをやっている。海外のグローバル企業や日本の大企業のために国をさんざん切り売りしている現状だ。
今やるべきことは、国内の安全保障としての一人一人の生活を引き上げていくことだ。でなければ、この国に生きている人人の生活は維持できない。その最初のやるべき課題として消費税廃止を訴えている。
そこで私は、次の衆院選で野党が共闘するうえで、「消費税5%減税」の共通政策で野党が一致するのであれば、協力していこうと思っている。私たちだけで政権をとれたらすぐに廃止をするが、それはいつになるかわからない。消費税を上げるくらいなら、まず数%でも下げることを目指す。そのためならば私たちは捨て石にだってなる覚悟だ。
ただ、これに他の野党が一致できない場合は、単独で仁義なき戦いをくり広げるつもりだ。今は野党が一致して選挙をたたかえるなら野党側の数が上回る可能性が高いと思っている。人人の生活困窮を鑑みても、政局を見ても、消費税にスポットをあてていくことが現実的な政権交代の道だ。
質問(女性) 稚内での意見交換会を聞いていて、遺伝子組み換えを私たちは食べていかなければいけないのかと不安に思った。また、大阪に放射能の水を運ぶことを大阪市長が賛成したという話を聞いたが、同じことが釧路でおこなわれたらみなさん賛成するのか。行き場がなくなったときに釧路に来るのではないか。
山本 汚染水に関していえば、松井・大阪市長の狡猾なところは「科学的に安全が認められた場合」という前提で話している。ただ今問題なのは、汚染水をトリチウム水といっているが、実際にはトリチウム以外にもたくさんの核種が含まれた水だ。このままではすべて希釈して海に放出していく気配だが、私は地上に保管するスペースを作る以外にないと思う。そして核種の放射能が弱まっていく時期を待つ以外にない。海に放出してどんな影響があるかなど長期的にしかわからないことであり、やるべきではない。汚染土についても私のホームページに議事録がまとめてあるので読んでほしい。絶対に守らなければならない放射線防護の基本は、閉じ込めて動かさないことだ。この原則を守らなければ無茶苦茶にされてしまう。
遺伝子組み換えについては「虫も食わないようなものを人に食べさせるな」ということだ。人体への影響を科学的データから調べるのにあと何年かかるのかという段階だ。それは海外の穀物メジャーの種と農薬をセットで売るということと繋がっている。この国を切り売りし、国民の健康や安全まで取引材料にして外国に差し上げていくような交渉になっている。これをなによりも止めなければならない。
免税の中小零細も課税 インボイス制の企み
質問(男性) 建設業界で働いている。今日も仲間と一緒に山本さんの話を聞きに来たかったが、建設業界はいまだに日給計算で働いているので一日休めば稼ぎがなくなる。仕事に追われなくなれば、もう少し政治に対する関心も高くなるように思う。消費税5%で野党がまとまるという話だが、今建設業界はみんな「一人親方」として会社経営者と同じような扱いで働いている。これまでは年間売上が1000万円以下の事業者は消費税は納めなくてもいいことになっていた。
ところが消費税が上がると、取引先にインボイス(消費税率や消費税額を伝える請求書)を提出しなければ今後取引しないといわれる。インボイスをとるには「消費税を払える企業になりなさい」という前提で税務署から許可をもらうことになっている。「一人親方」など実質は労働者と同じなのに「お前も消費税払え」ということだ。買い物だけでなく、稼ぎからも消費税を納めることはとても無理だ。年間300万、400万しか稼ぎがないのに、そこから30万も40万も払うお金はない。消費税がたとえ5%になってもインボイスが始まれば、これまで免税されていた多くの中小零細の人たちはやっていけない。
山本 10%増税で起きる大きな変化の一つだと思う。このインボイスは、もとは「免税事業者」だった零細事業者(フリーランス)を消費税支払い義務のある「課税業者」とする制度だ。これを発行できるのは「課税業者」のみ。「今まで払っていなかった奴らにも払わせようぜ」という話だ。こんなものはやるべきではない。決めた方はそれによる打撃など興味も持っていない。
だが、政治のパワーバランスが決まっているなかで10%引き上げは実現されるだろう。自民党は消費税増税を掲げて選挙をやって勝ってしまった。だが諦めるわけにはいかない。次の選挙で「5%に下げる」という形で全体が固まってたたかうしかないと思っている。確実に減税を勝ちとるための「5%」だ。インボイス制度を導入するのは、消費税免税が輸出補助金だと米国から指摘を受けているという側面もあるようだ。とにかく政治を変えなければいけないところまで追い詰められている。舐められているなかで、本気を見せるときが来ている。
自民党の緊縮政策は土木建築業界にも及んでいる。政府がつくる道路などのインフラ整備、公団・公社がおこなう設備投資・住宅投資の総額である「公的固定資本形成(公共投資)」は、消費税を5%に上げた橋本政権時に48兆円あったものが、小泉政権では27兆円に半減し、安倍政権になってもほとんど変わっていない。民主党政権が削ったのが3兆円だが、もっとも公共投資を削ったのは自民党だった。政府支出をしないのだから経済成長しないのは当たり前だ。
公共事業でやるべきことはたくさんある。歩道のバリアフリー化、水道事業も民間に任せるのではなく、国が責任を持って自治体にやらせるようなしっかりした予算付けが必要だ。鉄道もそうだ。民営化後のJRはどんどん廃線にして北海道の人たちが困り、代替措置でバスを出すといったが吹雪では走れない。「それが嫌なら都会で暮らせばいい」という無茶苦茶な論理だ。
移動の自由を守るのは国の仕事だ。これを分割民営化し、その結果JRでも都市部を抱える会社だけが大もうけ。そのうえ必要ないリニアまでつくろうとして「東海だけではペイできない」などと寝言をいっている。そんな余裕があるのなら、解体せずに北海道や、四国の人たちの足を守るべきだ。公的インフラを税金で守れないのなら税金を払う価値がないし、政府がある意味もない。私はもう一度国有化に戻すべきだと思っている。自民党が公共事業に対してもっとも理解があると思ったら大間違いだ。
災害は毎年起きる。やらなければならないのは本当の国土強靱化だ。だが政府は言葉だけだ。コンクリの耐用年数が期限がきているものは橋、堤防、その他にもたくさんある。そこに投資し、雇用を生み出す、国を守る、経済成長させるという意味でも、必要な公共投資はケチらずに大胆にやっていく必要がある。
意見(男性) 今まで政治を見てきたが、政治家は選挙のときだけきれいごとをいうが、終われば上から目線。だから信じられない。だから山本さんの気持ちを聞きに来た。私は突発性間質性肺炎という難病にかかっている。薬もなく治療法もないと病院からはいわれているのに、ある程度の段階にいかなければ難病指定にならない。そしてタバコだとかいろんなせいにされている。風邪やインフルエンザになると2、3日で命を落とすといわれている。
釧路で水産加工の仕事をしていたが、目まいを起こして迷惑をかけるので仕事もできなくなった。だが病院代はかかる。毎回病院に行くたびにCTとか血液検査でいくらかかると思いますか? そんな人がたくさんいる。国会議員や権力を持った人間はなにをいっても平然とイスに座っている。国民のカネであなたたち食べているんだよ、と思う。山本さんには弱い立場の人の声をいろんな地方で聞いて回って、そういう人たちに税金を使ってほしい。強い相手に喧嘩を売るときはみんなと手を組んで、弱い人を助けてやってほしい。ただ能書きをたれている人間ではなく、行動で示してほしいと思う。
山本 難病であるが病気が進行しなければ指定されない。そのなかでも医療費はかさんでいく。しかも、今の生活保護制度は、一旦すべてを失うことが前提になっている。病気の人に休んでもらうことや、なにかのきっかけで躓いた人が人生をもう一度スタートさせるということを考えるならば、すべてを失わなければ受けられない生活保護というのは大きく欠陥のある制度だと思う。そこから立ち直るにはすごく時間がかかる。家賃や医療、食費など、必要な一部分でも扶助する制度にすべきではないかと思う。何もかも失う前に救える生存保障制度をつくっていきたい。難病であるならば医療扶助でサポートするという形にしていければ苦労せずに済むと思う。
意見(女性) 江別から来た。今度の文科大臣になった萩生田氏は加計問題で名前が上がった人だ。近現代の歴史は教科書にも載らず、受験問題にも出ない。安倍首相になってからその傾向が強まり、今度は教育基本法を改定する空気すら感じる。18歳選挙権になってから、政治的な発言をすることも厳しくなり、柴田前文科相は高校生のSNSのやりとりまで「いかがなものか」といって抑制している。教育についてどのような姿勢でとりくむのか知りたい。また、憲法改正では、総理大臣の独断でものごとを進められる緊急事態条項を入れようとしている。70年余、戦争に家族を送り出したり、殺したり殺されることもなかった日本の平和を続けていくうえで、これらの動きを止める動きをどのように進めていくのか知りたい。
山本 教育に関しては、歴史修正癖のある人たちで「年金が足りなくなるから老後のために2000万円必要になる」という報告書までなかったことにした。公文書も隠したり、書き換えるので歴史的なものも改ざんしていく可能性はあるだろう。例えば、政治が国民の生活にどんな影響を与えていくのか、そのためには一人一人がちゃんと政治を監視していくべきであり、この国のオーナーは国民なんだということを認識できる教育をしていくことが必要だと思う。働いたときには理不尽やハラスメントを受けてもどのように対処すべきなのかというのも教育が必要だと思う。まして歴史の修正などありえないし、そんな教育を真に受けて社会に出て行ったら、今でさえ隣国から斜めに見られるような日本の政治がより立ちゆかなくなるような結果になる。あくまでも事実に基づいた歴史教育が必要だと思う。
緊急事態条項は、憲法改定の本丸だ。これを新設することで三権分立をやめ、分散した権力を一つにして独裁体制にする。総理大臣が「緊急事態」を宣言すれば、国会で決めるべき法律と同等の効力を持つ政令を内閣の閣議で決められる。財政も国会を通さず、地方に対してもまるで自分たちの子会社かのように指示できるというものだ。
これまでの閣議決定を見ると「安倍首相の妻・昭恵氏は公人ではなく私人」「森友学園問題をめぐり、財務省・国交省・文科省に対する政治家からの不当な働きかけは一切なかった」「島尻沖縄北方大臣が“歯舞(はぼまい)”の読み方を知らないという事実はない」「安倍首相はポツダム宣言を当然読んでいる」……どうでもいいことばかりだが、こんなカジュアルに閣議決定をする人たちが法律と同じ政令を決めていくことになる。
緊急事態条項はなくても既存の法制度で災害対応ができることは、福島や兵庫などの被災県を含む弁護士会が指摘している。災害のときには事前の準備がなければできない。必要な法整備をしておけばいいだけの話で、権力を集中させてしまったトップがポンコツならば二次被害しか生まれない。ところが再稼働した原発にしても、周辺住民の避難計画すらまともに立てられていない。原発事故から避難するために原発に向かって逃げなければならない自治体すらある。原発への弾道ミサイルについても「想定していない」というのが国会答弁だ。
しかも同じ北朝鮮からの飛翔体が飛んだときでも、大騒ぎするときもあれば、首相のゴルフ中は「影響はない」で済まされる。2018年の広島土砂災害のときも自民党は「赤坂自民亭」で酒盛りだった。災害対応で必要なのは事前の準備であり、「総理に権力を集中させろ」というのは詐欺だ。
私たちは衆院選をたたかうため、ボランティア登録、ポスター貼り、目標20億円を目指して寄付を募っている。ぜひ力を貸してもらいたい。
いつもありがとうございます。山本太郎代表の記事が掲載された新聞は
毎回、複数注文して友人に郵送しています。
どうぞ、怒涛の全国行脚白熱街頭記者会見、
文字お越しと写真を編集し本にしてください。
街頭で聴けない方々、ネットを利用していない人々には
れいわ新選組の公約の説明、多くの庶民の問題点をまとめた本が
どうしても必要(武器)になると思うのです。