いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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オマエが行ってこい!

「メディアを懲らしめろ」「沖縄2紙をつぶせ」で有名になった自民党若手集団の一員である武藤貴也(滋賀4区・36歳)が、国会前で安保法案に反対するSEALDs(学生たち)について、「彼ら彼女らの主張は“だって戦争に行きたくないじゃん”という自分中心、極端な利己的考えに基づく」「利己的個人主義がここまで蔓延したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ」などとネットに書き込んで騒ぎを起こした。目下、自民党内の出世レースで誰がもっとも安倍晋三に気に入られるか競争が過熱しているのか、「安倍晋三」的な思想世界はこんな感じじゃないか? といった調子で背伸びしているようなのだ。
 下関に暮らしている私たちは知っている。自宅で日の丸を振っているだけなら可愛げもある若者が、極端な思想を披露しながら市議会議員に取り立てられたり、とかく右翼的言辞を弄ぶ輩が気に入られて“安倍派”若手が形成されつつあることを。しかし、どうだろうか。思想学習が足りないのか、あるいは取って付けたような屁理屈を覚えたせいなのか、天皇皇后が下関にやってきた際には、この連中が市役所の屋上から手を振って警察から叱られ、「天皇陛下を見下すとは不敬罪じゃないか?」と話題にされていた。背骨の中に染み渡った思想ならまだしも、根が浅いから“なんちゃって右翼”と呼ばれてしまうのである。政治家志望のカメレオンたちは安倍色にも染まれるし、それが時代遅れになったら次の色にも染まる事が出来るのである。
 各メディアや関係者の暴露で明らかになった武藤貴也の経歴を見て、彼もまたカメレオンの仲間だったことを痛感した。学生時代、当時の滋賀県政で反自民ブームをつくっていた嘉田県政与党グループの事務局員となり、反ダムすなわち反自民で活動していたという。当初は民主党に国会議員にしてほしいと頼み込んでいたがかなわず、県議会の自民党ボスに声をかけられると一夜にして自民党になびき、滋賀四区で当選して今に至っているのだと。政治的な節操など関係ないのだ。
 そんな武藤貴也は某紙のインタビューで、「戦争になったら、武藤さん自身が最前線で戦う覚悟はあるのか」と問われ、「他国が侵略してきたら、愛する家族や故郷を守るために戦います。しかし政治家が戦争に行くことは、国家としての意思決定ができなくなりますし、政治家は軍事技術を持っていないので、実際戦地に行くべきではないと考えますが   」と応えていた。自分は行かないが、学生たちが「行きたくない」というのは利己的という主張のようだ。「極端な利己的考え」「戦後教育の産物」。これは武藤貴也が自己を省みることの方が先だと思う。
 自民党が仮に国民世論を納得させたいのなら、安倍晋三をはじめとした自民党国会議員とその家族が率先して戦場に赴き、駆けつけ警護なり爆弾運びを担うのだと、法案に明記することだ。武藤貴也については「オマエが行ってこい!」である。 吉田充春

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