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経済統計学会が統計不正に声明 

 経済統計学会(会長=金子治平・神戸大院教授)は6日、厚生労働省の統計不正を批判する声明文を、総務省統計委員会の西村清彦委員長に提出した。同学会は内外の統計法、統計制度の研究も含め、公的統計がどのようにして公正性を担保しうるか、また社会的使命を果たしうるかを主要な研究領域としている。

 

 声明は、このたびの不正について、第二次世界大戦の深刻な反省から戦後うち立てられた「いかなる権力からも独立し真実性を最優先すべきである」という公的統計の原則を覆すものであると批判したうえで、国の存亡をかけて公的統計の原則をうち立てるよう求めている。声明の要旨は次の通り。

 

   〇………〇

 

 日本が近代国家としての歩みを開始して以来、一貫して公的統計はそのときどきの実態を反映する鏡、将来を指し示す道標として位置づけられ、それはいかなる権力からも自立した存在であるべきとされてきた。戦時期に公的統計がその機能を果たしえなかったことがわが国を無謀な戦争へと駆り立てたことへの痛切な反省から、戦後の統計再建にあたり基本法規として制定された統計法(昭和22年)は、「統計の真実性」の確保を最優先の目的として規定し、その法制度の下に統計行政は遂行されてきた。

 

 今回の労働統計を中心とする統計不正は、単なる調査技術上の問題にとどまるような性格のものではない。それは統計の真実性の確保という統計再建にあたって掲げた初期の目的を達成すべく設計された法制度の仕組みそれ自体の存立基盤を覆すものであり、わが国の公的統計ひいては日本という国のあり方そのものを根底から揺るがしかねない問題である。

 

 公的統計は調査の企画・実施者のみによって成るものではなく、その質の確保には地方職員あるいは実査を担当する調査員の日日のたゆまざる奮闘、なによりも被調査者である国民の調査協力が不可欠である。1970年代に表面化し、しだいに深刻さを増す調査環境のなかで公的統計がその品質を維持できているのも、統計法に基づいた統計行政に対する国民の信頼を抜きには語りえない。

 

 このような統計行政の制度的基盤を認識してさえいれば、今回のような不測の事態はそもそも起こりえないものである。このような事案が発生したことは、困難な調査環境のなか、統計作成の第一線で日日尽力している統計関係者、なによりもこれまで調査に協力してきた国民に対する冒涜以外のなにものでもない。

 

 今回の不祥事が、統計行政そのもののあり方を根底から揺るがす深刻な問題であることから、その対応を誤ればわが国の公的統計に将来はない。それは同時に、日本の統計に対する国際社会からの信用の喪失をも意味する。

 

 関係各機関に対しては、政治権力から独立していなければならないという近代統計の原点に立ち返り、また統計の真実性の確保という戦後の統計法の精神に思いをいたし、公的統計の社会的使命をあらためて確認するよう願う。同時に、公的統計の品質保証のフレームワークに則り統計作成業務を遂行することを要望する。

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